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口の中に小鳥を詰められて埋葬されていた少女の謎
 ポーランドの洞窟に埋葬された少女の口の中に小鳥の頭が入れられていた。考古学者たちはこの奇妙な埋葬の謎を解明しようとしている。

 この遺骨は、1967年から1968年にかけて行われた南ポーランド、トゥネル・ヴィエルキ洞窟の発掘中、考古学者のワルデマール・フミレフスキーが発見したものだ。

 だが、今日に至るまで詳しいことはわかっていない。放射性炭素年代測定によると、この少女はおよそ300年前に亡くなったことがわかった。

【口の中に小鳥を詰められ洞窟で埋葬された少女】

 中世の時代、ヨーロッパの人々は死者を洞窟の中に埋葬するのを止めたため、この少女の例は稀有なケースといえる。

「ヨーロッパの歴史においては、一般的に洞窟埋葬は存在しない」研究チームは、5月29日付けのドイツの先史時代専門誌『Praehistorische Zeitschrift』に書いている。

 従って、ポーランドのトゥネル・ヴィエルキ洞窟で、口の中に小鳥の頭を入れられて中世後に埋葬された、少女の遺骨は例外的な発見といえるだろう。

 遺体の口に小鳥の頭を入れるのも異常な行為だ。このような状態で発見された例は、ヨーロッパではほかには知られていないという。

 ワルシャワ大学などの研究機関が、遺骨を分析したところ、この少女は約300年前に、10歳から12歳の間に亡くなったことがわかった。

 骨からは、成長が止まったような痕跡が見られ、もしかしたら代謝性疾患の結果かもしれない。外傷はなく少女の死因がなんだったのかはわからない。口の中の小鳥の頭以外、副葬品も見つかっていない。
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口の中に小鳥を入れられて埋葬されていた少女の遺骨 / image credit:Archives of Faculty of Archaeology, Warsaw University

少女は誰なのか?なぜ口の中に鳥が詰められていたのか?

 この少女は誰なのか、なぜ、このような状態で埋葬されていたのか、その謎を解くために、研究チームはさまざまな科学テストを行い、歴史の記録を調べた。

 DNA検査からは、少女はポーランドより北、おそらく現在のフィンランドカレリアロシア北西部)あたりの出身であることがわかった。

 歴史を見てみると、1655年から1657年頃、このエリアはスウェーデンのカール10世グスタフ王が率いる軍隊によって支配されていた。

 フィンランドカレリア出身の兵士たちは、よく家族を連れて従軍した。「兵士たちのほとんどは身分が低かったが、妻や恋人、ときに使用人まで伴うことは一般的なことだった」という。

 19世紀の記録によると、カレリアの人々は、森で死んだ者は、墓地ではなく森に埋葬しなければならないと信じていたという。

 「歴史的にみて、こうした習慣は、森を埋葬地のようなものとみなす宇宙観に根ざすものと思われる」研究者は書いている。

 こうしたことから、この少女は、1655年から1657年の戦争中、この地域にやってきて、洞窟がある森の中で死んだのではないかという。

 洞窟の近くには、多くの兵士やその家族が逗留していたオイツフ城がある。この戦争は、スウェーデンとその同盟国が、ポーランドロシアデンマークなどの連合国と戦った。

 だがなぜ、この少女が口の中に小鳥の頭を入れられて、埋葬されたかは謎のままだ。研究チームはこう語る。

多くの文化の中では、子供の魂は小鳥の姿をしていると考えられていた。それでも、この時代、鳥を墓に入れることはなかった。

ましてや、死者の口の中に入れることなどなかったはずだ。このトゥネル・ヴィエルキ洞窟の、子どもの珍しい埋葬例の謎は、どうにも説明がつかない

Top image:photo by iStock /References:Girl buried with finch in her mouth puzzles archaeologists/ written by konohazuku / edited by parumo

 
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