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キツネを家畜化すると脳の構造が変化し飼育しやすくなる
 ロシアにはキツネ牧場とでもいうべき場所がある。ここではオオカミが犬に進化したプロセスを解明するべく、1958年からキツネの飼育が行われており、選別交配により、犬のような従順で人懐っこいキツネを生み出したり、逆に攻撃的なキツネを生み出したりもしている。

 今回、ここで選別交配で繁殖させ飼育しているキツネの脳を分析したところ、野生のキツネや普通に飼育されていたキツネに比べて、世代を追うごとに脳が大きくなり、灰白質が増加したことが判明したそうだ。

【研究所で飼育されている従順なキツネと攻撃的なキツネの脳を調査】

 『JNeurosci』(6月14日付)に掲載された研究では、2種の系統が調査されている。

 1つは、人間に対して犬のようにフレンドリーな振る舞いをするよう攻撃性の低い個体を選別し、交配を続け繁殖させた系統。もう1つはその逆で、人間に対して攻撃的に振る舞うよう攻撃性の高い個体を選別し交配繁殖させた系統だ。

 ハーバード大学の進化生物学者エリン・ヘクト氏らが、その脳をMRIで調べてみたところ、どちらの系統も、特に選別されることなく繁殖された系統や野生種に比べて、脳が大きく、灰白質も多いことが明らかになったとのこと。

 面白いのは、両系統がまったく正反対の特徴を持つよう繁殖されてきたことだ。それにもかからわず、どちらも前頭前皮質、へんとう体、海馬、小脳が大きくなっていたのである。
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研究所で飼育されているギンギツネ / image credit:Jennifer Johnson, Darya Shepeleva, and Anna Kukekova

100世代未満で脳が再編成される

 このことは動物の神経系が驚くほど素早く再編される可能性を示唆してもいるという。キツネの脳は100世代も経たないうちに変化していたのだ。

 また今回の結果から、こうした素早い変化は、少なくとも最初は灰白質の増加という形で進んでいくと推測できるとのこと。

 家畜化プロセスやそれが脳の大きさや組成に与える影響の解明は、人間の脳の進化を知る手がかりにもなるそうだ。

Top image:photo by Pixabay /References:Domesticated foxes display increased size in brain regions | EurekAlert! Science News/ written by hiroching / edited by parumo

 
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