労働政策研究・研修機構の調査によれば、34%のサラリーマンは課長以上になれないという。だが現在、課長や部長になれているとしても安心はできない。“仕事ができないサラリーマン”認定で降格のリスクもあるのだ。

◆役職持ちも安心できないポストオフの実態

 たとえ部長などの役職持ちでも年齢によって強制的に平社員に格下げされる「ポストオフ」。今後、導入が増えそうなこの制度の実態を、パーソル総合研究所の小林祐児氏はこう話す。

「実施率は大手企業で約40%。金融業界では出向が同じような機能を果たしています。具体的には会議に呼ばれなくなり、後輩と立場が逆転し、年収も約23%ダウンします。

 また、多くの場合が実施直前に言い渡される。例外的にポストオフを免れる人がいるので、まさか自分には起こらないと思いがちですが、部下が100人いるような管理職でも容赦なく適用されます」

◆見方によってはプラスにも

 まさにこれまでの会社員人生を大きく揺るがすポストオフ。モチベーションの低下、喪失感、環境変化への戸惑いなど大きな影響を与えるそうだが、見方によってはプラスに転じることも。

「職務に対する責任が軽くなり、自由な時間が増えるので『やりたいことに取り組めるいい機会』と気持ちを切り替えることが大切です。ベテランでも現場仕事が好きな人は多い。

 ただ、こうした気持ちの切り替えを一人で行うのは限界があるので、会社と家以外で自分のキャリアについて気軽に話せるコミュニティ、つまりサードプレイスを持てているかがカギとなります」

◆仕事以外の人間関係を

 そのためには改めて自分の身の回りに目を向け、いかに行動を起こせるかが重要となる。

「子供がいる場合は、保護者の職業紹介イベントなどの学校行事に参加するのも有効です。ほかにも地域社会との交流やNPO活動など、仕事以外の人間関係を積極的に構築し、交友範囲を広げましょう」

 たとえ出世していても、終盤で強制的に仕事ができない人と同じ待遇になってしまう。この苦境を乗り切るためにも、事前の心構えが大切なのだ。

【労働問題・人事管理の研究者 小林祐児氏】
パーソル総合研究所上席主任研究員。ミドルシニア層の職場事情に造詣が深い。近著に『働くみんなの必修講義 転職学』(KADOKAWA

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/YAGI>

―[[仕事できない人]の生存戦略]―


役職持ちも安心できないポストオフの実態とは?