卒業式当日にもかかわらず、仕事をするためアルバイト先へやってきた高校生。遠い会場で開催される卒業式に出席するための交通手段がないと分かり、諦めて何も準備していなかったという高校生アルバイトのために、同僚たちは急いでガウンなどを買いに行き、身支度を整えて会場へ送り届けたという。さらにこの話を耳にした地元の大学は、学費全額をカバーする奨学金を高校生にオファーしたのだ。1人の高校生の人生を大きく変えた驚きのストーリーを、『WVTM 13』などが伝えている。

米アラバマ州センター・ポイントにあるチェーンレストラン「ワッフル・ハウス(Waffle House)」でアルバイトをしているティモシー・ハリソンさん(Timothy Harrison、18)は先月27日、高校生活最後の日である卒業式を迎えた。

しかし卒業式当日、ティモシーさんはなぜかいつも通りの格好でアルバイト先に現れた。卒業式のことを知っていた同僚たちは驚き「卒業式に参加しないのか?」と尋ねると、ティモシーさんは「仕事を休みたくないんだ」と答えた。

実際のところ、ティモシーさんが通う高校の卒業式は車で30分かかる会場で行われるため、そこまで行く交通手段を用意できないと分かると卒業式への出席を諦めたという。そのため卒業式用のスーツや、ガウン、帽子も準備していなかった。この話を聞いた同レストランのマネージャー、セドリック・ハンプトンさん(Cedric Hampton)は「驚きましたよ。『卒業式に行くべきだよ』と思わず言ってしまいましたね」と当時を振り返る。

セドリックさんは当時、シフトに入っていた同僚のシャンタナ・ブレヴィンスさん(Shantana Blevins)と共にティモシーさんを卒業式に参加させるべく、すぐさま行動に移した。

2人はレストランを一時閉店すると、急いでスラックスやシャツ、ネクタイ卒業式用のガウンや帽子などを買いに行き、ティモシーさんはお店で身支度を整えた。

「会場まで行く手段もなかったし、卒業式には出なくてもいいかなと思っていました。でもみんなが用意してくれたガウンを着ると、なんだか最高の気分でしたね。」

そのように当時の心境の変化を明かしたティモシーさんは、シャンタナさんが運転する車に乗り、20マイル(約32キロ)離れた場所にある会場へ向かい、無事に卒業式に参加することができた。

セドリックさんは「卒業証書を手にしたティモシーの笑顔は、何ものにも代えがたい素晴らしいものでした」と明かしている。長い間一緒に働いてきた仲間の門出を祝いたい気持ちから、今回の素敵な話に繋がったのかと思いきや、ティモシーさんはこのレストランで働き始めてから、なんと1か月ほどしか経っていなかったという。

そしてこの話が同州バーミンガムにあるローソン・ステート・コミュニティ大学(Lawson State Community College)の耳に入ると、同大学はティモシーさんに教材費を含めた学費全額の奨学金をオファーしたのだ。

短期間でも一緒に働いた仲間に対する親切な行いによって、1人の青年の人生を大きく変えたこのストーリーが地元メディアにより報道されると、多くの人が感動しSNSなどでも瞬く間にシェアされた。

「まさか奨学金をもらえるなんて、全く想像していませんでしたよ。卒業式に出た日のことは、一生忘れられません。」

そう語ったティモシーさんは今秋、同大学に入学する予定という。

画像は『Ced Cool Hampton 2021年5月29日付Facebook「I would like to give a big shout out to my staff at the Waffle House in centerpoint.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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