国の許可を得ずに有料で客をヘリコプターで送迎したとして、警視庁保安課は6月9日ヘリコプターシェアリングサービスを手掛ける会社「クリアネット」社長・佐藤秀臣容疑者(48)ら2人を航空法違反の疑いで逮捕したと発表した。

 警視庁担当記者の解説。

「操縦士の免許を持っていた佐藤は12年にクリアネットを設立。ただ、航空事業者の許可は取っていませんでした。ところがクリアネットは17年以降、ヘリコプターで都内のヘリポートと静岡県内のゴルフ場を往復するなど、500回以上のフライトで8000万円近くを売り上げていた。調べに対し、『国の許可を得るのは敷居が高かった』と容疑を認めているようです」

 クリアネットが提供していたのはヘリコプターだけではない。リムジン、クルーザー、フェラーリビジネスジェット……“セレブの象徴”を顧客にシェアしてきた。民間信用調査会社によれば、16年11月期には約1億円だった売上高が、昨年11月期には約3億円まで伸びている。

「主な顧客は投資家や企業経営者、中には芸能人も居たようですが、本当の富裕層はシェアしたりしない。同社のヘリコプターや高級車は、むしろ女性を口説きたい“小金持ち”の男性が、セレブ生活を演出するのに最適なツールとして人気を集めていました」(同前)

 さらに、顧客への説明資料では「中古機体を購入することで費用を抑える」と記すなど「節税」メリットも強調する一方、安全性は蔑ろにされてきたという。

「ヘリは落ちないけど……」佐藤容疑者の口説き文句

 捜査関係者の話。

「昨年12月には、クリアネットが管理するヘリが静岡の山林に墜落してパイロットが死亡しています。今年3月にも、長野の田んぼに不時着して客ら6人が重軽傷を負っている。保安課も事故が相次いだことで目を付けたというわけです」

 これまで「セレブ生活の演出」をビジネスにしてきたクリアネット。佐藤自身も、派手なセレブ生活に憧れがあったのだろうか。

 会社設立前の09年、30代半ばだった頃に「年収3000万円パイロット」として、恋愛バラエティ番組に出演。「ロンリーガールズ」と呼ばれる30人の女性が1人の男性とのデート権を巡って争うという内容で、佐藤も美人モデルとのカップルが成立していた。

テレビ番組では『ヘリは落ちないけど、恋に落ちる』と自らの口説き文句を披露していた。以降も女性関係は奔放でした。登記簿上の自宅は東京郊外ですが、それとは別に六本木にも部屋を持っていた。そこに女性を招き入れ、お酒を派手に飲むこともあったようです」(会社関係者)

 だが、そんな佐藤のセレブ生活も“空の白タク”営業の発覚とともに、終わりを告げることとなった。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年6月24日号)

押収されたクリアネットのパンフレット ©共同通信社