6月16日、『Nintendo Direct | E3 2021』にて『パワプロクンポケットR』の開発・発売が発表された。

(参考:【写真】シリーズ10年ぶりの新作『パワポケR』

 ファンからの人気が高く、名作に数えられるタイトルも多いながら、2010年を最後にリリースが止まっていた『パワプロクンポケットシリーズ。10年越しの最新作は、時を経て高まった期待に応えられるだろうか。シリーズの魅力を入り口に、成功の可能性を探る。

■“サクセス特化”で地位を確立した『パワポケシリーズ

 『パワプロクンポケット』(以下、シリーズ名として扱う場合は『パワポケ』)は、野球に打ち込む主人公をさまざまなゲームモードのなかで成長させ、一人前のプロ野球選手を目指すスポーツ育成シミュレーションコナミデジタルエンタテインメント開発・発売の定番野球ゲーム実況パワフルプロ野球』(以下、パワプロ)の「サクセス」だけをピックアップし、ボリュームアップを施したうえで1つの作品へと仕上げたスピンオフシリーズだ。1999年に第1作『パワプロクンポケット』が発売されて以降、2011年までにリメイクなどを含めた16作がリリースされている。本家のサクセスとは一線を画するひねりの利いたシナリオが、『パワプロファンをはじめとする多くのプレイヤーに受け入れられ、現在もなお名作シリーズの1つとして愛され続けている。

 今回発表となった『パワプロクンポケットR』は、10年ぶりとなるシリーズ最新作。第1作・第2作をベースリメイクされた3つのサクセスシナリオ極亜久高校編」「ドリルモグラーズ編」「戦争編」のほか、最大4人での協力プレイに対応する新しい育成モードサイバーバル」などを収録した。過去作同様、育成した選手でチームを編成して試合をおこなうことも可能で、こちらも最大4人による対戦・協力プレイに対応している。発売日は今冬となる予定だ。

■「シンプルさ」「やりこみ度」「中毒性」が無二の魅力に

 『パワポケ』の魅力は、シンプルながらやりこみ度の高いゲーム性にある。同シリーズの各タイトルには、それぞれに異なる複数のモードシナリオが実装されているが、「主人公の能力を成長させ、プロ野球選手を目指す」という根幹の目的は基本的に変わらない。そのため、タイトルが変わったり、攻略が進んだりしても、プレイヤーはずっと「より能力の高い選手の育成」を目標に、時間を費やしていくことになる。

 人によっては、こうしたプレイ感を「作業」と捉える場合もあるが、ファンにとっては「決められたレギュレーションのなかで、知識・技術・経験(と、少しの運)を頼りに育成を突き詰めていくこと」が、同シリーズ中毒性となっている。1人の育成にかかる時間が短く、プレイが一区切りとなるまでの目処をつけやすい点も、この魅力とは好相性だろう。

 パワプロ3で初めて実装されて以降、もっとも遊ばれていると言っても過言ではないほどの看板モードとなったサクセス。その魅力を120%に膨らませたシリーズが『パワポケ』であるのだから、支持の大きさにも頷ける。

■共通の性質を持つヒット作たちが整えてきた“成功”への下地

 ゲームカルチャーの歴史を紐解いていくと、同様のゲーム性をベースヒットしたタイトルが、ジャンルをまたいで複数存在していることに気づく。「読み物ベースではない恋愛ゲーム」を一般化した『ときめきメモリアル』、育成シミュレーションの王道『モンスターファーム』などはその最たる例だ。最近では、『ウマ娘 プリティーダービー』の躍進も記憶に新しい。同タイトルは、『パワプロ』のサクセスモードと類似するシステムゲーム性の根幹に据え、2021年を代表するヒット作となった。

 このような背景からは、『パワポケR』成功の可能性が見えてくる。前項で説明した『パワポケシリーズの持つ魅力は、“時代やジャンルに縛られない普遍的なもの”であるとわかるためだ。

 『モンスターファームシリーズからは、第1作・第2作が2019年2020年リマスターされており、『ときめきメモリアルシリーズからは、2021年10月に最新作『ときめきメモリアル Girl’s Side 4th Heart』がリリースされる。『ウマ娘 プリティーダービー』を含めた各作品・シリーズの話題性と注目度を見る限り、「シンプルさ」「やりこみ度」「中毒性」といったキーワードは、今の時代にもフィットするものと考えられる。

 10年ぶりの最新作は、『パワポケ』の歴史に恥じないタイトルとなれるだろうか。期待は高まるばかりだ。

(結木千尋)

『パワポケR』