トヨタの新型クラウンパトカーが工場から出荷され始めました。現行モデルである220系クラウンがベースで、従来の210系クラウンパトカーとは大きく異なる点も。新型クラウンパトカーの概要を探ります。

220系クラウンパトカー 工場から出荷

2021年6月、トヨタ220系「クラウン」のパトカー仕様が陸送されているところが目撃され、その様子がSNSなどにアップされました。よって、2021年(令和3)年度の警察庁予算で調達された、いわゆる国費調達分のパトカートヨタ220系クラウンがベースであることが確定しました。

すでにトヨタの公式WEBサイト内「車両レスキュー時の取扱い」というページのQRS(レスキュー時早見表)「パトロールカー」の項では、220系クラウンがベースのイラストに更新されるなどしており、220系クラウンパトカー仕様が納入されることは濃厚でした。

これにより、数年程度は220系クラウンがベースのパトカーが生産されるため、市販のクラウンセダンではない、たとえばSUVスタイルの新モデルに更新されたとしても、クラウンパトカー仕様についてはセダン型でしばらくのあいだ調達が続くのは間違いないでしょう。

現行型の220系クラウンは2018年6月に発売されました。駆動方式は後輪駆動、いわゆるFRの2WDと、全輪駆動、すなわち4WDの2種類です。パワーユニットは排気量2000ccの直列4気筒ターボ・ガソリン、もしくは排気量2500ccまたは3500ccの2種類のガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッドの計3種類が用意されています。

従来型クラウンパトカーと大きな違いが

前型210系クラウンまでは、ハイブリッドや2000cc直列4気筒ターボとは別に排気量2500ccおよび3500ccのV型6気筒ガソリンエンジンが用意されていたため、パトカー仕様は無線警ら車(2WDおよび4WD)、交通取締用四輪車(反転警光灯付き、いわゆる覆面含む)の全モデルで、V型6気筒エンジンのモデルを採用していました。

しかし、220系クラウンではV型6気筒エンジンは3500ccのモデルのみで、しかも電気モーターと組み合わせるハイブリッドのみとなってしまったことから、これまでのクラウンパトカーのような自然吸気(NA)のV型6気筒ガソリンエンジン搭載車は設定がなくなっています。

なお、2WDのFRタイプは3種類のパワートレインすべてが選べるものの、4WDタイプについては排気量2500ccのハイブリッドしか設定がないため、「無線警ら車(4WD)」についてはハイブリッド1択となるようです。

またパトカーとして、車体前面に装着されていた旭日章(警察章)については、従来のクラウンパトカーでは、フロントグリルの「王冠」部分に取り付けられていましたが、220系ではボンネット中央前端に上を向く形で付き、「王冠」マークはそのままとされています。

ちなみに、一部でウワサされていた「220系クラウンはトランク容量が規定未満のためパトカーになれない」というのは、仕様書の改訂ならびに内部容積の測定方法を変えることでクリアしたようです。

220系クラウンパトカーでは、前出のとおりV型6気筒エンジンを搭載するモデルはモーターと組み合わせるハイブリッドしかありません。また2000ccの直列4気筒エンジンはターボ付きとなるため、自然吸気のV型6気筒エンジンを搭載したモデルは210系が最後になります。

クラウンパトカーの赤色灯(柘植優介撮影)。