今月15日の午前11時、橋の上に立った若い女性は命を絶つためにその身を投げ出さんとしていた。通報を受けて駆けつけた消防隊員らがあらゆる方法で説得を続けるも、女性は頑なにそれを拒んだ。事態は悪化し、困り果てた消防隊員たちが切り札として用意したのは、1匹の犬だった。このセラピー犬を見た瞬間に女性は微笑み、手すりの外から戻ってきたという。4時間にわたる説得の末、一瞬で女性の命を救ったセラピー犬に絶賛の声があがっている。『Daily Paws』などが伝えた。

英デヴォン州エクセターにある橋の上で、1人の若い女性が自殺を図ろうと身を乗り出していた。この通報を受け、デヴォン州とサマセット州の消防隊(Devon and Somerset Fire and Rescue Service)や警察などが駆けつけ、女性が飛び降りてしまわないように説得を始めた。

多くの人が数々の言葉や方法で説得を続けたが、女性の意志は相当固かったようで手すりの外側に立ち、今にも飛び降りてしまいそうな深刻な状況に陥っていた。

そのような中、残された手段はないかと考えた1人の消防隊員が「“ディグビー(Digby)”を連れてくるのはどうだろうか?」と提案した。ディグビーは2018年から同消防隊に所属するオーストラリアン・ラブラドゥードルで、職務中にトラウマを抱えてしまった隊員たちを癒すためのセラピー犬として活躍している。

このアイディアに他の隊員も賛同し現場にディグビーを連れてくると、ディグビーはハンドラーのマット・グッドマンさん(Matt Goodman)と一緒に女性のそばへ近づいた。それまで隊員たちの言葉に耳も貸さなかった女性だったが、ディグビーが現れるとすぐに振り返ってその姿を確認し微笑んだのだ。

それからしばらくディグビーが消防隊の一員であることやそこでの役割について、女性とマットさんの間で会話が続いたという。そしてマットさんが「手すりの外からこちら側に来て、ディグビーと触れ合ってみないかい?」と声をかけると、女性は「そうします」と笑顔で答え、手すりの外から戻ってきたそうだ。

この時点で午後3時を回っており、約4時間も女性の説得を続けていたことになる。頑として説得を拒み続けていた女性に対し、もう為す術はないのかと諦めていた状況から一瞬で女性を救ったディグビーの活躍ぶりに、ネット上は大きく沸き絶賛の声が相次いだ。

「ディグビーは素晴らしいヒーローだね」
「素敵な話だ。こうした状況の時には必ず犬を連れて行くべき」
「ディグビーはこのような状況を専門に担当する仕事をした方がいいね」
「このアイディアを思いついた人も最高だ」

セラピー犬トレーナーの資格を持つヘイリー・バーグランドさん(Haylee Bergland)は、セラピー犬の活躍についてこのように明かした。

「セラピー犬は、危機に瀕している人と手を差し伸べる人の間で会話を生み出すきっかけとなる存在であり、今回ディグビーはまさにこの役割を果たしました。」
「セラピー犬は被災者やケアを受けている最中の人にとって偏見を持たず、会話を強制する必要もない、ただ静かに一緒にいることができる存在なのです。」

ちなみにディグビーによって救出された女性は現在、メンタルヘルス専門家のケアを受けているという。

画像は『Devon and Somerset Fire and Rescue Service 2021年6月16日付Facebook「This is Digby.」、2021年6月18日付Facebook「Thank you Digby」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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