丁字路交差点などで、道路のない方を向いた車両用信号機を見たことがあるかもしれません。クルマが来るはずもないのに、なぜ設置されているのでしょうか。

一方通行道路の逆走側にも

丁字路交差点などで、道路のない方に向かって車両用信号機が設置されていることがあります。一見、不要にも思えますが、誰に対する信号機なのでしょうか。

結論をいえば、これは自転車などの軽車両が従うべき信号機です。道路交通法第34条には、車両の交差点での右折方法が規定されており、自転車や原付は交差点によって、二段階右折をしなければならないことがあります。

二段階右折とは、交差点の左端を直進(十字路なら交差道路を横断)し、角に到達したら向きを変えて再び直進、横断する方法です。ここで、進む方向を変えた時に従わなければならないのが、前出した道路のない方を向く信号機です。信号機のそばに「自転車専用」と併記されていることもあります。

なお、横断歩道があっても歩行者信号機が設けられていない交差点の場合は、この車両用信号機歩行者用も兼ねます。その場合は「自転車専用」の表記はありません。

ちなみに今回のケースと似た例で、一方通行道路の逆走側に信号機が設置されることがあります。東京都は駅前ロータリーなどを除き、ほとんどの一方通行道路において自転車は対象外。そのため交差点に差し掛かった自転車のために、クルマから見れば逆走と思いがちな方向にも信号機が必要になります。この場合も、「自転車専用」と併記されます。

矢印で示した信号機は、道路のない方を向いている(2021年6月、大藤碩哉撮影)。