書いてあることが難しくて、何だか常に上から目線で、取っつきづらいのが新聞の「社説」です。しかし今年ここまで一番多くの人々に読まれたのは、間違いなく5月26日朝日新聞のそれではないでしょうか。

 「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」

 メディア関係者は言います。

 「業界内、みんなビックリ仰天ですよ。だって朝日新聞東京五輪のオフィシャルパートナーなんですから。書かれている内容はおおむね正論だったんですが、社内でも賛否両論さまざまだったようです。あの日以降、紙面でも何事もなかったかのようにスポーツ面のトップでは、普通にメダル候補の紹介記事が掲載されていますしね。御社は中止を求めているんじゃないの?と心の中でつっこみたくもなりますよ」

 そして国内大会と国際大会の違いこそあれど、やはり問題視したくなるのは、「それでは夏の高校野球大会はOKなのか」ということです。

 前述のメディア関係者は言います。

 「甲子園大会は全国各地から代表校が兵庫、大阪に集い、集団生活を営んだ上で、また各地へと帰っていきます。大阪と兵庫は6月20日緊急事態宣言が解除され、『まん延防止等重点措置』に切り替わるとはいえ、感染者数が下げ止まりとなっており、決して楽観視できるような状況ではない。集団生活の中でクラスターが発生する可能性もあります」

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中止で損失1.8兆円・・・世論の8割反対「東京五輪強行」の損得 https://cocokara-next.com/topic/tokyo-olympics-forced-holding/

 社説の中では「当初から不安視されてきた酷暑対策との両立も容易な話ではない」と書かれていましたが、これについても「じゃあ夏の高校野球はどうなの?」との声が上がるのは当然です。

 「暑さ対策がしっかりととられる甲子園大会に比べて、熱中症の危険が特に高いのは地方大会です。甲子園切符を懸けた決勝を中継するNHKでは、あまりの猛暑に『運動は原則中止』とのテロップが表示される中で、試合の模様が放映されるという笑えない事態も例年起きています」(スポーツ紙記者)

 感染拡大防止や酷暑の中での健康面を考えれば、問題は山積みですが、朝日新聞夏の甲子園開催に疑問を抱くことは絶対にないと、前述のメディア関係者は断言します。

 「ただでさえ部数減に歯止めがかからない現在、高校野球は安定した読者ニーズが見込める優良コンテンツ。若手記者は高校野球を通じて取材のノウハウや原稿の書き方を学ぶこともあり、社内では単なるスポーツ競技に止まらない、社員の思い入れが強い神格化されたジャンルとも言えますからね。とにかくやる、いう意味では、五輪に突き進む菅総理も、甲子園大会に突き進む朝日新聞社も、大して違いはないように見えます」

 私たちの願いはただ一つ。

 両大会が「安心・安全」でフィナーレを迎えますように。


「五輪中止」を社説でうたう朝日新聞が夏の甲子園開催に突き進む理由とは