誕生日、結婚、出産、卒業、就職、退職……と、こうしたイベント時には誰でも一度くらいプレゼントを贈った経験があるのではないか。しかし、プレゼントは気持ちを伝えやすい反面、ちゃんと相手のことを考えて贈らないとありがた迷惑になりかねない。

 たとえば、お返しに困る超高級品、自己満足するための手作り品、自分の趣味を相手に押し付けるグッズ生き物などの「ヤバいプレゼント」を贈る人もいる。迷惑でヤバすぎるプレゼントの実態を探った(取材・文=押尾ダン/清談社)。

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自作アイドルソング、布マスク…「手作りプレゼント」の罠

 まず迷惑になりがちな手作りプレゼントから紹介しよう。国内で初めて緊急事態宣言が出された昨年春、首都圏を中心にマスクが品薄になったのはまだ記憶に新しい。このとき一時的に流行ったのが、手作りマスクを家族や友人にプレゼントすることだ。

 広告会社で働く阿部健一さん(仮名、32歳)のもとにも、秋田県に住む叔母から「東京にはマスクがないんじゃろ?」と手作りマスクが送られてきたという。

「叔母は地域の講習会で布マスクの作り方を教わったようでした。マスクがなくて困っている甥っ子のためにプレゼントしてくれる気持ちはうれしいんですが、問題は大量すぎたこと。毎週100枚以上を送ってくるようになったんですよ。あれはマジで困りました。

 それでも、おしゃれで普段使いできるマスクだったら少しは喜べるんですが、送られてくるのは家中からかき集めた古布で作ったマスクで、タンスの匂いが染みついていたり、なかには叔母や叔父が着古した肌着を再利用したものもあって……。結局、僕が困っているからとかじゃなく、叔母自身が作りたかったんでしょうね」

 手作りプレゼントをもらって迷惑したり困惑したりした人はほかにも多い。「5年ほど前、大学を卒業するときにサークルが一緒だった男性の先輩から自作のアイドルソングを卒業祝いとしてプレゼントされ、そのあまりのヤバさに思わず絶句したことがあります」と話すのは、不動産会社で働く坂下陽菜さん(仮名、27歳)だ。

「その先輩がとあるアイドルグループについて熱弁しているときに話を合わせたことがあったんですね。それで私のことを自分と同じアイドル好きと勘違いしてしまったらしく、卒業するときに先輩が自作したアイドルソングの音源と歌詞をLINE経由でプレゼントされました。

 しかも、歌詞にはわけのわからない台詞まで入っていて、かなりパンチが効いていました。さすがにドン引きです。仮に相手がアイドル好きだったとしてもあれをもらって喜ぶ人がいるんでしょうか」

新居にアクリルケースに入った「ニシキヘビ」が

 もっとも、上には上があるものだ。ウェブ関係の仕事をしている宇田美都子さん(仮名、34歳)は、現在の夫と結婚したとき、夫の取引先からトンデモない生き物を結婚祝いとしてもらったことがある。

「全長1mくらいのボールパイソンニシキヘビ)です。もともと夫が爬虫類好きなんですが、私はヘビやトカゲが嫌い。でも、夫と仲が良い取引先の人はそんな事情を知らなかったらしく……。新居にアクリルのケージに入ったニシキヘビがやってきたときは悲鳴を上げました」

 しかし、いくら爬虫類が嫌いでも、一度プレゼントされたヘビを近所に捨てたりしたら大変なことになる。先日も横浜でニシキヘビが逃げて大騒動になったばかりだ。

「そこで仕方なくリビングの片隅に囲いを作り、私の目に触れないようにヘビを飼うことになりました。ただ、ニシキヘビの餌って冷凍したマウスなんですよ。冷蔵庫の冷凍室を開けると、常にフリーザーパックに入ったマウスが目に入る。それが本当に嫌でした。死んだ動物と食べ物を一緒に保管するなんて信じられない。

 結局、子どもが生まれたのと、ヘビが大きくなりすぎたこともあり、数年後に専門業者に買い取ってもらいました。夫に任せたので金額はわかりませんが、ヘビは大きいほど買取価格も上がるらしく、けっこうな金額になったみたいです。これも一種のご祝儀ですね。でも、ヘビのおかげで嫌な思いを散々したので、得したとは全然思えません」

退職祝いに輸入禁止のあの哺乳類を…

 同じ生き物プレゼントでも、爬虫類哺乳類とでは迷惑度がまったく違う。その意味でニシキヘビ以上にヤバいプレゼントをもらったのが、通信関連企業で営業マンとして働いている岡田純一郎さん(仮名、38歳)だ。

 10年前に、当時やはり営業マンとして働いていた会社を辞めるとき、直属の上司から“ある動物”を退職祝いとしてプレゼントされたのだという。

プレーリードッグですよ。体重が1kgから1.5kgぐらいあるリスの仲間で、めちゃくちゃ運動量が多く活動的な動物です。当時の会社は、上司が無茶な要求ばかりしてくる典型的なブラック企業だったのですが、退職を告げると強く引き止められて……。

 最終的に渋々退職を認めてもらったのですが、送別会で上司がサプライズの退職祝いとして用意したのが、ケージに入ったプレーリードッグでした」

 ちなみに、プレーリードッグ感染症を防ぐために2003年から輸入が禁止され、いま売買されているのはそれ以前に国内に入ってきた個体から繁殖されたもの。そのため個体数が少なく、価格相場は現在1匹20万円まで上昇しているといわれている。

「上司はわざわざ相模原ペットショップまで行き6万円で購入したようです。『高かったからありがたく飼え』と言うんですが、マジで開いた口が塞がりません。ようは退職祝いを口実にした最後の嫌がらせというか、ウケ狙いのネタだったんでしょう」

 ニシキヘビもそうだが、生き物プレゼントが厄介なのは、受け取った以上はずっと飼い続けなければならないことだ。もちろん岡田さんも飼わざるを得なかった。

「当時は現在の妻と同棲中だったんですが、プレーリードッグを連れて帰ったら腰を抜かすぐらいびっくりしていましたね。でも、飼っているうちに意外と気に入ってくれて、それから10年以上、プレーリードッグが天寿を全うするまで一緒に生活しました。

 ただ、半分放し飼いにしていたので、賃貸の部屋の壁を穴だらけにされ、退居するときに仲介会社からとんでもない金額を請求されたのは誤算でした。正直、元上司にもそのお金の一部を負担してほしいくらい。とにかく、結婚祝いにせよ退職祝いにせよ、生き物プレゼントしちゃダメですよ。相手がどれほど迷惑するか考えてほしいですね」

もらったテディベアに盗聴器が

 最後にさまざまな品物を日常的にプレゼントされるキャバ嬢のケースを紹介しよう。

 一条えみりさん(仮名、27歳)はコロナを機に夜の世界を引退してしまったが、それまで3年ほど歌舞伎町キャバクラで働いていた。当然、客からいろいろなプレゼントをもらったが、そのなかには迷惑でヤバいものもたくさんあったという。

「キャバの場合、誕生日とかクリスマスとかのイベント時に太客が宝飾品やブランド品をプレゼントしてくれることはよくあって、そういうのはうれしい。換金可能だから。

 迷惑なのは趣味系やオタク系のプレゼント。これは私ではないんだけど、前にスターウォーズマニアの客からダース・ベイダーフィギュアプレゼントされた子がいました。全長50cmくらいの高そうなフィギュアで、実物大のライトセーバーセットプレゼントされたって。

 けっこう昔のモデルなので、いまは10万円ぐらいするみたい。でも、マニアにとってどれだけ価値があっても、ウチらには単なる粗大ゴミ。客が店に通ってくれる間は捨てられないので、その子も『部屋が狭くなるからマジ迷惑』ってぼやいていた」

 えみりさん自身がもらったプレゼントで一番ヤバかったのは、盗聴器入りのぬいぐるみだったという。7、8年前にアイドルファンプレゼントに盗聴器を仕掛けたことがあったが、キャバ嬢に対しても同じことをする客がいるようだ。

テディベアをプレゼントされたんだけど、その40代のサラリーマンの客はしつこく口説いてくる粘着質なタイプだったから、怪しいなと思ったわけ。そうしたら案の定、盗聴器的なものが入っていた。一応お金落としてくれるから問い詰めなかったけど。

 でも、盗聴器が入っていてもいなくても、ぬいぐるみプレゼントされて喜ぶキャバ嬢なんていないと思う。クレーンゲームで取った小さいやつならいいけど、基本邪魔だから。キャバに限らず、たいていの女子はぬいぐるみもらっても迷惑なんじゃないかな」

 結局、迷惑がられないためには、プレゼントを受け取る相手のことをちゃんと考えるということに尽きるのかもしれない。

(清談社)

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