緊急事態宣言が沖縄県を除く9都道府県で、6月20日に解除され、東京、大阪など7都道府県はまん延防止等重点措置に移行された。

 新型コロナウイルスに感染すると、病院やホテルなどの施設、あるいは自宅で隔離状態となる。学校や職場などの身近なところでも感染者や濃厚接触者が珍しくなくなった昨今、いざ自分や家族がそうなってしまった場合、どのような対応を迫られるのだろうか。ときには、実家などを巻き込む形になることもある。

◆娘の部活内で「陽性者」が発生

 田舎に住んでいる川口茂さん(仮名・40代)は、高校生の娘が新型コロナウイルスの陽性者となった。そのとき、気が気ではなかったという。

「娘は部活をしているのですが、まずはその中の1人が陽性者になりました。娘は濃厚接触者としてPCR検査を受けたのですが、陽性であることが分かったんです」

 娘が感染者であることが判明した日は、食事の際も部屋にこもってもらう状態だった。そして翌日、ホテル療養する人向けのシャトルバスが出るため、集合場所に娘さんを送って行くことになったという。

「ホテル療養は、きちんと管理してくださる方も在中しているとのことで、安心ではあるんですけど。そのホテルは、自宅から1時間以上も離れている場所にあるんです」

 なぜそんな遠い場所にあるのか……。それは田舎だからなのか。理由は不明だという。

◆家族は全員「濃厚接触者」

「当然、僕含め家族は濃厚接触者に該当するので、保健所の指示に従ってPCR検査を受けました。当日に検査結果が分かるからと、自宅で結果を待っていました。結果はみんな陰性です」

 陰性だったことに安心したのも束の間……。濃厚接触者ということで2週間の自宅待機を告げられた。

「すぐに職場に連絡して、事情を説明しました。なにしろ娘のことが心配で、これからの2週間をどのように過ごすかを考えたりする日々でした。無症状なので、それだけは良かったと思いましたが、高校生がひとりで、しかも自宅から遠い場所に隔離されるのは辛いですよね」

 川口さん自身には、必要最低限の買い物や外出は許されており、毎日保健所から体温や体調の様子を伺う連絡がきているという。娘は時間を持て余し「暇過ぎる」と言っていたそうで、症状が落ち着いていることに安堵の表情を浮かべる。

「娘が元気であることが、せめてもの救いです」

◆同棲中のパートナーが感染

 パートナーであるAさんと同棲中の佐藤りそさん(仮名・20代)は、5月下旬にAさんが陽性者となり、その後二度の検査を経て自身も陽性の結果が出たという。

「Aが会社の同僚2人と外食した日がありました。滞在時間は1時間ほどだったみたいですが、その3日後に同僚のひとりが体調不良をうったえ、PCR検査をしたところ陽性と判明したんです」

 Aさんは、同僚と飲食をともにした濃厚接触者として検査を受けた。すると、陽性だったのだ。

 当初は自覚症状がなかったため、自宅療養を選択したのだが……。

「濃厚接触者である私も同日に検査を受けましたが、そのときは陰性でした。Aの強い希望があり、しばらく実家で過ごすことになりました。Aをひとりにしておくことは不安もありましたが、共倒れになるよりはマシという判断です」

 この時点では、Aさんの体調は大丈夫そうに見えた。佐藤さんは安心して実家に向かったそうだ。

◆再検査の結果、自分も「陽性」と判明

「自宅療養中のAと夜になって突然連絡が取れなくなりました。心配になった私は救急車を呼びました。案の定、Aは意識がもうろうとするほど重症化しており、すぐに病院に運ばれたんです。最初の3、4日は肺炎のような症状で息もできず、個室で人工呼吸器をつけていたそうです」

 その後、快方に向かい現在の体調は良好だというAさん。一方、佐藤さんは実家に戻った翌日から、体調に異変を覚えた。最初は慣れないことによる疲れやAさんのことを心配し過ぎたストレスが原因かと思ったのだが、念のため再検査を受けた。すると……。

「私も陽性と分かりました。前日は陰性だったので正直、驚愕しました。私の実家の周辺の病院ではベッドの確保ができず、また、微熱程度の軽症だったのでホテルで安静にするよう指示を受けたんです」

 幸い、お互いが病院でもホテルでも自由な状況にあったため、Aさんとは毎日LINE通話やスカイプで連絡を取り合うことができた。

「Aは咳が止まらなかったそうで、数日間入浴もできない状況だったと言います。私は、1日2回、保健所からの電話問診があり、隔離生活が続く程度で特に不便さは感じられませんでした。

 Aは、私に対して『申し訳ない』と繰り返すばかりですが、正直お互いの感染経路は明確ではありません。仮にAから感染した可能性が高くても、同じ部屋に住んでいるのですからお互いさまなんです。Aを責める気は全くありません」

 今回の経験を通して、Aさんとの絆はより深まったと話す。

◆対応を事前に話し合う必要性

 とはいえ、まだコロナ禍は続いている。帰宅してからの生活をどうするべきか話し合っている最中だという。

「以前のように同棲することに対して、多少の恐怖心などを抱えていることは事実です。Aは家に戻り、私はしばらく実家で生活することになるかもしれません」

 まずは、お互い健康に戻ることを一番の目標に掲げ、今後のことはこれから決めていく予定だと話してくれた。

 身近な人が新型コロナウイルスに感染した場合、どのように対応するのか。実家なども含めて事前に話し合っておくことが必要なのではないだろうか。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
ライター歴5年目。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。Instagram:@chimi86.insta