オリンピック・東京五輪

東京五輪パラリンピックの競技会場がある自治体の児童や生徒に、現地観戦の機会を設ける「学校連携観戦プログラム」。東京都目黒区教育委員会は22日、このプログラムへの不参加を決定し、各学校に通知した。しらべぇ取材班は、その背景について聞いた。


■意向調査を実施

目黒区では当初、区立小中学校の全児童・生徒、幼稚園・子供園の5歳児(計約1万3千人)を対象に、7月27日から9月4日までの間にオリンピック観戦をする予定だった。

実際に目黒区には、オリンピックの卓球(東京体育館)、陸上競技オリンピックスタジアム)、パラリンピックの水泳(東京アクアティクスセンター)、車いすラグビー国立代々木競技場)などが割り当てられていた。

しかし、新型コロナ感染状況を鑑み区内のすべての校長と園長に対して、プログラム参加への意向調査を実施。


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■ほとんどが不参加の意向

すると、ほとんどの校長や園長から不参加の意向が示されたという。「参加させたい」という意向も一部あったそうだが、その校長からも「保護者から不安の声があがっている。また、教職員への感染も心配」といった不安の声が寄せられたとのこと。

中止決定を受けて、保護者からは「中止にしてくれて安心した」との意見がさっそくあがっているそうだ。

■都医師会も止めたほうが良い

東京都医師会の尾崎治夫会長は、22日の会見で「児童・生徒の観戦は、やはり止めたほうが良いという意見だ」と述べた。学校連携をめぐっては、教員らが行動を管理することで感染リスクを下げられるとして、観客上限の数とは別枠になっている。

ただ、安全に引率できないといった理由などから、キャンセルする自治体が相次いでいる。


■都教委としては中止にしない

東京都教育委員会は、このような事態を踏まえ改めて各市区町村教委に意向を確認する方針。教委オリパラ担当は、取材に対して「やるかどうかの判断は、各教委や学校に任せるのが都教委の一貫したスタンス

このため、組織委員会が学校連携プログラム中止を発表しない限り、都教委として中止にすることはない」と話す。

また、「オリンピック時の交通状況や地域住民への配慮から、観光バスを使わずに公共交通機関を利用することを求めている。そのため、各学校で学年を分けて移動するなどの感染防止への工夫がみられる」と述べた。

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(取材・文/しらべぇ編集部・おのっち

東京都目黒区立の小中学校が五輪観戦中止決定 教委は「全校長から不安の声が」