このほどシンガポールのレストラン「螃蟹之家(House Of Seafood)」が食用飼育中のカニに紐をつけて路上を散歩させている様子をSNSに投稿し、物議を醸した。同レストランは2019年に“生きたカニのクレーンゲーム”を設置して大批判を浴び、ネットで炎上していた。『The Online Citizen』『Coconuts Singapore』などが伝えている。

シンガポール北東部ザ・プンゴル・セトルメントにあるシーフードレストラン「螃蟹之家(House Of Seafood)」が今月16日、Facebookに「お客様の誰もが満足できる肉厚の身にするために、十分な運動として風の吹くプンゴルビーチを散歩させています!」と記して、数枚の写真を投稿した。

写真はオーナーフランシス・ンさん(Francis Ng)と子供を含めた数名がカニのはさみにつないだ紐を握り、散歩させている様子を捉えたものだ。カニの散歩にはフランシスさんの愛犬たちも同行している。

この投稿にはオーナーへの怒りや動物虐待を訴える批判の声が相次ぎ、18日に削除された。しかし一度起こった炎上騒ぎはおさまることなく、ついにはシンガポールの動物保護団体エイクレスACRES)及びシンガポール動物虐待防止協会(SPCA Singapore)が調査に乗り出した。

エイクレスは22日、Facebookを通じて両団体による合同調査の結果を以下のように報告している。

「先日『レストランの宣伝のためにカニが歩かされていた』と多くの方からご心配の声をいただきました。」

ACRESとSPCAは21日、レストランのオーナーであるフランシス氏を訪ねて話をうかがったところ『カニはほとんど歩いておらず、少しの間、写真撮影のためにポーズをとっていただけだった』とのことでした。」

フランシス氏には、レストランでカニがどのように飼育されているかについても教えていただきました。」

のちにフランシスさんは「実際の撮影は5分程度のものだった」と語っており、カニを散歩させるに至った経緯を以下のように明かしている。

新型コロナウイルスで商売にならず、たくさんのカニが手元に残っていました。」

「カニは一日中カゴの中でじっとしています。縛られていて、とても退屈そうだったんです。」

カニを気の毒に思ったフランシスさんは従業員の手を借り、6匹のカニをかごに入れて公園に連れ出した。すると子供や好奇心に駆られた人たちが写真撮影を求めてきたという。

「螃蟹之家(House Of Seafood)」は2019年に「生きたカニのクレーンゲーム」を設置したことで物議を醸し、ネットで大炎上していた。

エイクレスは22日の投稿で、今回の騒動について以下のように遺憾の意を表した。

「螃蟹之家(House Of Seafood)は過去に生きたカニのクレーンゲームで宣伝活動を行っており、シンガポール動物虐待防止協会よりカニの取り扱い方法に関して詳細なガイドラインを提供されていました。」

「それにもかかわらずこのような騒動が起こったことは、シンガポールで生きた食用動物を扱う個人や企業の行動基準を定めることの必要性を浮き彫りにしたのではないかと思います。」

「生きたままの輸送、動きの制限(または欠如)、取り扱い、保管、屠殺、飲食店での展示などで彼らはかなり強いストレスに晒されています。」

「できる限りストレスや不快感を抱かないようすることは、動物の福祉というだけでなく、食の安全や我々消費者が食用動物の扱いを知るためにも重要なことなのです。」

画像は『Coconuts Singapore 2021年6月22日付「Claws out: Animal groups check on House of Seafood’s crabby walk stunt」(Photos: House of Seafood)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE

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