マグネットボール(Rien Janssen/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

アメリカで4月、2歳の男の子が磁石ボールを飲み込んだことから、腹部の大手術を受けるはめになった。手術は成功したように見えたが、その後に合併症を引き起こす事態となったことを、同国の『CNN』やオーストラリアの『7 NEWS』などが報じている。


■磁石ボールを親は処分したが…

アメリカ・フロリダ州に住み、5人きょうだいの末っ子としてやんちゃ盛りのコニンくん(2)。4月のある日、この男の子が磁石ボール誤飲という恐ろしい悲劇に見舞われた。

母親のアーリントンさんは、上の子が学校から持ち帰った教材の磁石ボール『Buckyball』を、「コニンには危ないから」との理由ですぐさま処分した。しかし数時間後、コニンくんは腹痛を訴えて病院を受診。尋常でない痛みに緊急治療室へと運ばれたという。


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■小腸を切除

レントゲン検査を受けると、コニンくんの胃と小腸には16個の磁石ボールがつながって存在し、強く引き合う合う力で穴が開いていることも判明した。アーリントンさんが磁石ボールを捨てる前、すでにコニンくんはそれらを発見して飲み込んでいたのだ。

コニンくんはすぐに大病院に移され、小腸を約1メートルも切除し、胃や大腸に開いた穴を修復する大手術が行われた。1週間後には退院したが、体重の減少が著しく今月16日に再入院。下痢や栄養素の吸収不良を起こす「短腸症候群」と診断され、鼻に栄養チューブを取り付けている状態だ。

■チャレンジ動画も流行

コニンくんの誤飲事故を受け、アーリントンさんは「子供たちのSNSでは、マグネットを飲み込むチェレンジもはやっているそうです。面白半分なのでしょうが、死に至る危険も十分にあります」と注意を促している。

コニンくんを担当した医師も、磁石ボールの誤飲事故は年々増加していると説明。「腸がねじれて磁石の間に挟まれ、腸への血流を遮断すれば非常に危険です」と警告している。


■知育玩具「見た目の改善」があだに?

最近の知育玩具はビジュアル的にもかわいいものが多く、楽しく遊びながら学習ができるよう工夫されている。だが、乳幼児にそれは「かわいいお菓子」にしか見えないのだろう。

4月にはロシアで、2歳の女の子が209個もの磁石ボールを誤飲し、血便が出て病院へ。コニンくんと同じく腸内に穴が空き、修復と摘出手術を受けている。

またイギリスでは6月に、13歳少女が15個の磁石ボールを飲み込んで緊急手術を受けた。「TikTokで見かけた、舌に磁石ボールを挟み舌ピアスに見せる技を試してみた」と話しているという。

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(文/しらべぇ編集部・桜田 ルイ

世界で相次ぐ磁石ボール誤飲事故 16粒飲み込んだ2歳児は大手術後に合併症も