全国各地で真夏日が記録され、熱中症対策は必要不可欠となってきた。水分補給やエアコン、涼しい服装など、日常生活での予防のポイントは幾つかあるが、中でも扇・扇子は最もポピュラーで安価な対策だろう。

ちなみに扇・扇子は、涼感を得るという目的で生まれたわけではないという。また現在の扇・扇子に至るまでに仏教の存在が欠かせなかったというが、どのような経緯をたどったのだろうか。

今回は扇・扇子の起源や歴史を紹介する。話を聞いてきたのは心に残る家族葬という葬儀サービスを全国で展開している葬儀アドバイザーだ。日本の葬儀といえば多くが仏教形式であり、扇・扇子は仏具の一つということもあり、何かヒントが得られるかもしれない。

■扇・扇子はいつ誕生したか?

まずは扇・扇子がいつ誕生したのか聞いてみた。

「はっきりと分かってはいませんが、旧一万円札聖徳太子が手に持っていた木の札(しゃく)のようなものが扇・扇子の原型と言われています。あれが徐々に形を変え、平安時代には現在の扇・扇子の原型を備えていたそうです」(葬儀アドバイザー)

扇・扇子が奈良時代(710年〜794年)に端を発していたとは驚きだ。

■どのような理由で利用されていたか

「扇・扇子は『高位の男性が持つようになった』や『呪具としての役割を果たしていた』などを理由に利用されていたという説が残っています。ちなみに男性は基本、懐にしまっていたそうですが、女性は表に出していたようです。そのため女性の扇子・扇は美しい彩色が施されたり、絵が描かれたり、装飾の一つとして利用されていたそうです」(葬儀アドバイザー)

現在の扇・扇子もシンプルなものから華美なものまで種々豊富だが、当時からその傾向はあったようだ。

■扇・扇子に経文が記され流布に一役買った

扇・扇子の発展に仏教はどう影響したのだろうか。

「平安後期、貴族階級の間では末法思想と法華経信仰が支持されていたそうなんですが、扇・扇子に大和絵とそれらの経文を記して流布に一役買ったそうです。ちなみにそのような扇・扇子を『扇面古写経』と呼び、現在でも大阪の四天王寺や東京の国立博物館などに国宝として一部残されています」(葬儀アドバイザー)

扇面古写経で画像検索すると多数ヒットするので是非見てみてはいかがだろうか。

■手動から自動に進化した扇・扇子。さて次は?

扇・扇子は風を起こすための道具ととして生まれたわけではなかった。しかし色々と紆余曲折を経て現在の形に落ち着いた。そして現在はモバイル扇・扇子として手動から自動に進化した。

扇・扇子がこの先、風を起こすための道具として進化し続けるのか、あるいはこれまで述べてきたように全く異なる目的や用途で生まれ変わっていくのかはわからない。ただこれだけの歴史がある扇・扇子が持つ古き良きものとしての性質だけはなくならないよう願うばかりだ。

●専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー

火葬料も含まれた追加費用のかからない格安な家族葬を税込み14万3000円から全国で執り行っている。24時間365日受け付けており、寺院の手配や葬儀後の各種手続きなどのアフタフォローにも対応。

記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
画像提供:ピクス

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