コロナ禍において、なかなか難しい状況ではあるが、ボランティア活動や寄付活動を行ったことがある人や行いたいと思っている人は多い。両親や親戚、友人が居る都道府県サポートしたいという気持ちを持つ人も多いだろう。

 では、今住んでいる都道府県と出身地を除く「応援者」が多いのは、どの都道府県だろうか。

 ブランド総合研究所は2021年2月に『第1回 関係人口の意識調査2021』を実施。「出身者(現在居住している人を除く)」と各都道府県を応援したいと回答した「応援者(今住んでいる都道府県と出身地を除く)」を「関係人口」として、各都道府県への訪問率や定住意欲度などに関するアンケートを行った。

 今回は、応援者に注目し、各都道府県ランキング形式で紹介する。また、世代別や年収別での応援意欲度も検証していこう。

※関係人口とは、総務省の定義によると、移住した人も含む「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人のことを指している。
 調査を行ったのはブランド総合研究所。アンケートインターネットで実施し、18歳以上79歳以下から男女、年代別がほぼ均等になるように回収した。調査期間は2021年2月17日~23日で、2万508人から回答を得ている(不完全回答を除いた)。
地域貢献につながる行動について、居住者、出身者、応援者に、「ボランティア」や「観光」など地域貢献につながるなんらかの行動をしたいかについて尋ねた(行動の内容については複数回答)。それによると、居住者の約半数にあたる50.9%がなんらかの地域貢献につながる行動をしたいと回答する一方、出身者と応援者を合計した関係人口は、居住者を大きく上回る73.0%が行動したいと回答している。

福島県、熊本県が上位を独占
地域のブランド価値は災害では落ちない

 まず、地域貢献につながる行動において「ボランティア活動をしたい関係人口ランキング」の調査結果では、1位が福島県(8.7%)で2位が熊本県(7.7%)であった。また、同調査の「寄付をしたい関係人口ランキング」の調査結果では、1位が熊本県(12.5%)、2位が福島県(12.4%)で2県が上位を独占した。

東日本大震災を機に変わった地域の魅力への考え方

 関係人口が多いランキング上位の中には、震災や水害などの災害に見舞われた県が多いことがわかる。

 ブランド総合研究所の代表的な調査の一つである「地域ブランド調査」が始まったのは、2005年のことだ。地域ブランドとは、地域を主に経済的な側面から捉えたときの、生活者が認識するさまざまな地域のイメージの総体を指す。

 ブランド総合研究所の田中章雄社長は、「各地での地域ブランドに関する取り組みとしては、最初は“商品”をテーマにした取り組みが多かった。地域特有の農産品やご当地グルメなどの特産品で地域の認知度を高めようというものだ」と振り返る。実際、2007年2010年にかけては、ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」も大人気を博した。

その後、「2011年東日本大震災を機に、地域の魅力に対する考え方が大きく変化し、応援しようという動きが出てきた。それは世界的に見ても珍しいことで、『応援したい』という気持ちが地域ブランドを構築する重要なものとして確立された」と田中社長は話す。

 実際、今回のランキングでも、ボランティア活動や寄付活動で、福島県熊本県を応援したい人が増えているという結果が見て取れるだろう。田中社長によると、災害に見舞われることで地域のブランド価値は下がってしまうと思われがちだが、それは逆。応援したい気持ちに地域が応えることで、ブランド価値を高めることにつながるという。

年齢や収入と関係なく
若者層にボランティアや寄付が定着

 地域貢献につながる行動について、世代別に見てみよう。「ボランティアをしたい」と答えたのは、20代以下が5.7%、30代が5.1%に対して60代以上は3.1%だ。ボランティアは行動を伴うため、体力的な面を考えると20~30代が多いことは当然であろう。

 一方、寄付は行動よりお金を必要とする活動。そのため、お金に余裕のある高齢者世代が寄付をするイメージだが、実はこちらも若者の「寄付をしたい」率は高い。20代以下が7.3%、30代が6.3%に対して60代以上は4.0%であった。この結果からは、若者の意識が変わったことが見て取れる。

若者のほうが寄付やボランティアに意欲的な理由

 考えられる要因として田中社長は、「クラウドファンディングなどの寄付に関するプラットフォームが広がっている。お年寄りが知らない方法を若者が駆使して、寄付活動を行っているのではないか」と話す。

 また、年収別の調査結果にも目を向けてみよう。ボランティア活動をしたいと回答したのは、世帯年収300万以下が4.0%、1000万円以上は4.7%であった。そして、寄付活動については、300万円以下が5.2%、300万~500万円が4.8%、1000万円以上は6.7%と、収入が多い人の方が高いのだが、収入が少ない人であっても寄付に対する意識が低いというわけではない。金銭的余裕があるから寄付するという経済面が要因となっているのではなく、寄付活動によって応援しようという気持ちが要因として強いからこそ、こうした結果になっているのではないだろうか。

 とにかく、応援したいという気持ちが寄付につながることは明るい結果であるし、心温まる素晴らしい内容である。「現在は寄付する方法が多様化している。買い物等でたまったポイントが寄付にまわったり、ネットショッピングすることで寄付することを選択できたり……。寄付活動に対する若い人たちの意欲に気付いて、もっと広がれば良いと思う」と田中社長は笑顔で結論付けた。

ライター 西嶋治美)