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暗闇が怖い理由が明らかに。脳のメカニズムの問題だった
 真っ暗で何も見えないことに恐怖を抱く人は多い。子供だけでなく、大人にとっても暗闇は怖いもので、恐怖症のレベルにまで達している人もいる。

 だがそれには理由があるらしい。人間の脳がそういう風にできているというのだ。『PLOS ONE』(6月16日付)に掲載された研究では、光や闇に応じて脳の偏桃体(へんとうたい)が活動を変化させることが確認されたそうだ。

【光を浴びることで恐怖を感じる脳の偏桃体の活動が抑制】

 偏桃体は感情を処理し、恐怖反応を制御するアーモンドのような形の領域だ。オーストラリア・モナシュ大学などの研究グループは、被験者23人に光か闇を体験してもらい、そのときの偏桃体の反応をfMRIで観察した。

 30秒間、中程度の光(100ルクス)・薄暗い光(10ルクス)・暗闇(1ルクス未満)のいずれかの明るさを浴びた時、恐怖の中枢がどう変化するかを観察した。

 実験の結果、いずれの明るさでも光を浴びると偏桃体の活動が抑制されることが観察されたという。ただし抑制される度合いには違いがあり、明るい光(中程度)の方が強く抑制されることが確認されている。
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ヒトの脳における扁桃体の位置。赤い所が扁桃体。 / images are generated by Life Science Databases / WIKI commons

 またそれだけでなく、光を浴びると偏桃体と前頭前皮質の腹内側部との機能的なつながりが強化されることもわかったとのことだ。

 どうやら暗闇ではビクビクと怯えている偏桃体だが、光を浴びると活動が抑制され、落ち着きを取り戻すようにできているようだ。
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photo by Pixabay

光と脳の関係

 なお光や闇が脳の活動と関係しているということは、以前からよく知られた事実だ。例えば私たちが寝る時間を判断する手がかりは明るさの変化だ。

 また光を浴びることで、パッと目が覚めたり、気分がよくなることだってある。うつ病の治療として、光療法なんてものも広く行われているくらいだ。

 ただしそのメカニズムはまだよくわかっていない。おそらく鍵を握るのは、「内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)」と呼ばれる細胞であるという。この細胞は目から進入した光を受け止め、脳のさまざまな部位に伝えている。

 詳しい仕組みを解明するために、今後はこのipRGCが偏桃体とどのように作用するのか調べる必要があるとのことだ。

References:Afraid of The Dark? Blame Your Brain, Not Monsters Under The Bed/ written by hiroching / edited by parumo

 
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暗闇が怖い?その理由が明らかに。脳の扁桃体が反応していた