中国江蘇省蘇州市には「日本街」と呼ばれる通りがある。全長約550メートルと、さほど大きくはない商店街のような通りだが、この「日本街」は中国でしばしば「論争の対象」となってきた。中国の動画サイト・西瓜視頻はこのほど、中国で日本街に対する論争が絶えない理由を紹介した。

 蘇州市の「日本街」はその名のとおり、日本料理店や日本人向けの小売店などが集中する場所だ。チャイナタウンは世界中に存在し、日本にも複数存在するという意味では、中国に「日本街」があっても問題はなさそうだが、なぜ中国で蘇州市の「日本街」が論争の対象となるのだろうか。

 動画の中国人配信者は多くの人で賑わう夜の「日本街」を歩きながら、「ここはどこもかしこも日本料理の店ばかりだが、これは蘇州近隣に数多くの日本企業が存在するため」だとし、その企業に勤める日本人向けの店が集まって形成された通りなのだと説明した。

 そして、論争の対象となってきたのは「日本料理店が集まっていること」ではなく、「この街で和服姿で写真を撮ろうとする中国人女性たちの存在」であると強調。日本街が通りのリニューアルをすると、「まるで日本にいるかのような感覚」になる街並みが話題になり、網紅(ワンホン)と呼ばれるインフルエンサーたちを含む多くの中国人女性が日本街に来て和服姿で記念撮影をするという現象が生じたという。

 そして、中国人女性が和服姿で写真を撮るという現象に対して、「蘇州市は戦時中に日本から攻撃された地の1つであり、その蘇州で和服姿で写真を撮るなど言語道断」というのが批判の内容だったと紹介。こうした激しい批判と論争が続いた結果、この街で和服を着て写真を撮る中国人女性はずいぶん減ったと紹介している。

 動画では現在の「日本街」の様子を紹介しており、確かに和服の人は見られないが、それでも日本街そのものは非常に大勢の中国人で賑わっているのが見て取れる。和服を着ていないものの、写真撮影を楽しむ中国人女性たちの姿も多く映っていた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

今も大勢の中国人で賑わう蘇州の「日本街」が論争の対象となった理由=中国