大阪府警が電動キックボードなどの取り締まりと指導を強化しています。歩道で2人乗り、かつひき逃げ事故を起こすといった悪質な走行が増えているためですが、これまで現場での検挙は難しい側面がありました。

メーカーや品名の把握に努めてきた大阪府警

大阪市中央区南海難波駅前で2021年6月4日(金)、歩道で2人乗りしていた電動キックボードのひき逃げ事故がありました。これをきっかけに、大阪府警は違法な電動キックボードの公道走行に対して取締りと指導を強化しています。

特に違法走行が多い難波、道頓堀などを担当する南署と府警本部交通部は、合同で集中取り締まりを実施するなど、これまでにはない厳しい姿勢で臨んでいます。

●電動キックボードに「現場で青切符」 踏み切った経緯

利用者にとって電動キックボードは、これまでなかった新しい乗りものですが、取り締まる側にとっても状況は同じです。その混乱ぶりを象徴するのが“車両の呼び名”です。

ひき逃げ事故の容疑者が乗っていた車両を、読売新聞は「キックスケーター」、朝日新聞は「キックボード」と書いていますが、どちらも同じもの。立ち乗り1人乗りのフル電動車でした(ここでは「キックボード」で統一します)。市販の電動キックボードは、モーターの出力にもよるものの、ほとんどは原動機付自転車に相当し、ナンバープレートの取得、自賠責保険への加入、ヘルメットの着用、保安部品の装備などが必要になります。

呼称ですらこの状態ですから、電動キックボードの外見で、道路交通法の車種区分のどこに当てはまるか、原付か自動二輪か、あるいは自転車扱いか――違法性を問う場合には鑑定で車種を確定させることが必要でした。そのため全国の取締まり現場では、まず警告書を交付し、同じ運転者が行為を繰り返している場合に法律違反を問うのが通常の取り扱いでした。処分は後日、郵送などで運転者に知らされてきたのです。

しかし、大阪府警では取り締まりや指導を続ける中で、メーカーや品名と車種区分を関連付けることに努めてきました。一定程度の把握が可能になったことから、全国に先駆けて、その場で交通反則切符を切る検挙に踏み切ったのです。

電動キックボード無免許、酒気帯びも

6月18日(金)午後、記者(中島みなみ)も道頓堀日本橋の街頭に1時間ほど立ち、電動キックボードの走行状況を確かめてみました。結果、1時間で3台ほどの電動キックボードと5台ほどのペダル付き電動二輪車が車道の左端や歩道を走っていました。外出自粛で人は少な目でしたが、日中は歩行者専用となる道頓堀商店街での通行も見受けられました。

マナーの悪い電動キックボードの走行は、南署管内の一部繁華街で特に目立っています」。南署はこう指摘します。繁華街は人の多さもありますが、歩行者の関心が店舗などに流れ、車両と衝突する可能性が高いエリアです。

府警本部交通指導課によると、電動キックボードとペダル付き原動機付自転車に関する警告書の交付件数は、昨年1年間と比較して大幅に増えているといいます。

2020年1月~12月353件):電動キックボード22件、ペダル付き原動機付自転車331
2021年1月~5月(313件):電動キックボード72件、ペダル付き原動機付自転車241

今年6月16日~23日の集中取り締まりでは、無免許運転、酒気帯び運転の悪質な違反もありました。

・電動キックボード:無免許2件、うち1件は酒気帯び運転。整備不良7件
・ペダル付き原動機自転車:無免許3件、整備不良5件

酒気帯び運転は6月18日に発生し、運転者は逮捕されています。

「違法な電動キックボードによる重傷事故も発生しています。適法な車両を選び、違法な状態での利用はしないでください」(交通指導課)

電動キックボード自転車のかわりで、折りたたんで店に持ち込めるものもあり、駐車場所を考えなくていいことなどから気軽に使われています。しかしネット販売の解説で公道走行可能と表示されていても、運転の責任は免れません。車両選びや整備、運転は慎重になる必要があります。

歩行者にまじって日本橋をわたる電動キックボード(中島みなみ撮影)。