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はじめに

この10年、パーソナルサステイナブルな移動手段という夢は、たしかに育まれ続けてきた。そう、水素燃料電池車のことだ。

【画像】トヨタ・ミライとライバル 全16枚

もっとも、多くの自動車メーカーはそこに最大限の労力を注ぎ込んできたわけではないが、導入計画を確定できなかったのは主に外的要因によるものだ。

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テスト車:トヨタ・ミライデザインプレミアム    LUC LACEY

トヨタ2014年に、初代ミライを発表した。まさしくモータリゼーションの未来を予感させる、市販燃料電池車である。この前年にはヒュンダイが、ごく少数ながら燃料電池車の生産に着手し、2017年にはホンダがクラリティFCVの2代目リリースした。

これ以前にも、メルセデス・ベンツBMWマツダなどが、パイロット版的な水素自動車をわずかに手探りで製作したことはあった。しかし、FCEVこと燃料電池を積む電気自動車が本格的に量産されはじめたのは、2010年代半ばに入ってからのことだ。

しかし、マーケットの混迷するコンディションは、燃料電池開発に注ぎ込まれるはずだった資金を失わせてしまった。電動化への投資は莫大で、もっと長期的なプロジェクトに投入するだけの蓄えが残らなかったのだ。

水素供給のインフラ整備が遅々として進まないのも、燃料電池車普及の障害となっている。先進国でさえその状況にあり、結果として実用化から後退するメーカーも出てきた。たとえばメルセデスは、長期的な水素自動車の開発・生産プログラムキャンセルし、ホンダはクラリティの生産を終了する見込みだ。

いっぽうで、希望を繋いでいるメーカーもある。その代表格が今回のテスト物件、トヨタの新型ミライだ。ライバルが次々と水素に距離を置くのに対し、トヨタは将来的に実行可能なゼロエミッション輸送の包括的ヴィジョンの一環として、このテクノロジーに関わり続けている。その中には、大型で長距離走行可能な乗用車も含まれる。

専用の燃料電池スタックBMWと共同で開発された新型で、来年後半にはミュンヘンでもiハイドロジェン・ネクストへの搭載を予定しているもの。これを含めてメカニズムは劇的に変更され、市場への普及も加速すると期待されるモデルである。

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

初代ミライは、2010年に登場した3代目プリウスとの関連が強いモデルで、累計1万台ほどを販売した。その何倍もの成功を狙っているのが、今回の2代目ミライだ。先代と同じなのは燃料と動力くらいで、それ以外は明らかに異なるクルマである。

初代ミライオーナーは、メーカーにもっと長い航続距離だけでなく、より高い快適性と実用性もほしいと訴えてきた。トヨタのほうは、はるかに高い高級感やマテリアルクオリティスタイリングの好ましさで、新型の顧客を惹きつけたいと考えた。

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後輪駆動シャシーで先代より大型化されたが、水素タンクを増設したため航続距離は延びた。ボンネット下に収まる燃料電池も、水素消費率と出力を改善した新型となった。    LUC LACEY

つまり、真に高級なプロダクトらしい熟成された魅力と、サステイナビリティ以外の動機でもほしくなるクルマが求められたのである。それこそ、メカニズムのアーキテクチャーを、プリウスではなく、後輪駆動レクサスシェアした理由にほかならない。

多種の金属の混成によるシャシーのプラットフォームは、燃料電池パワートレインに合わせた構成と補強がなされた。ダイキャストのサスペンションタワーや専用のサイドシル、バルクヘッドの環状補強によって、剛性向上が図られている。サスペンションは、四輪独立の前後マルチリンクで、スティールのコイルプリングを装着する。

また、ボディサイズもフルサイズの高級車といえるようなものになった。先代より85mm長く、70mm広いうえに、ホイールベース140mm延長されていて、占有面積はBMW5シリーズを優に超える。キャビンは、フル5シーターといっていい。ただし、トランクルームは期待したより小さい。

メカニズムのレイアウトは、大幅に変わった。水素燃料電池はパワーが12%アップし、搭載位置は前席下からボンネットの下へと移っている。圧縮された大気と反応させて発電するための水素を収めるタンクは3つで、センタートンネルと後席下の2本はホイールベース内でT字型に配置され、もう1本はトランクルームの床下に設置された。最大容量は5.6kgと、先代の5kgを上回る。

WLTPモードの水素消費率は112.7km/kgで、航続距離は最大644km。106.2km/kgで、533kmほどで息切れした先代からは明らかな進歩を遂げている。しかも、ボディサイズは拡大し、車両重量も75kg増えているうえに、投影面積の広がった前面の空力も後退していながらの数字なのだから、たいしたものだ。

リアアクスル直上に搭載される駆動用モーターも新設計で、シングルスピードトランスミッションが組み合わされる。電力は基本的に燃料電池から送られるが、モーターと後輪の上に配置された1.24kWhのリチウムイオンバッテリーが回生エネルギーを蓄え、燃料電池の電力供給で間に合わない際のサポートを行う。

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

先代のインテリアプリウス由来の、開放的だがスポーティさのないものだったが、新型はいかにもGTカーらしいスタイルになった。レクサスLSと共通のプラットフォームを採用したことを考えれば、それは驚くような結果ではない。

スカットルは高く、着座位置は低い。さらに、ワイドデジタルディスプレイセンタートンネルの高さが、ドライバーシートをより低く感じさせる。センタートンネルの下には、10000psiの圧縮水素タンクが収まっている。

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先代よりかなりスポーティな、GT的コクピットで、質感もよく、前席は快適に過ごせる。しかし、パワートレインと燃料タンクにより、後席と荷室はかなり空間を奪われている。    LUC LACEY

さらに、センターコンソールは左右非対称で、GRスープラのそれを思わせる。ドライバーをしっかりと取り囲み、包んでくれるような感覚をもたらす形状だ。

シートはソフテックスという、軽量で耐久性の高い合成皮革の表皮が張られ、ヒーターとベンチレーションを装備。柔らかさとサポート性のバランスはすばらしい。革巻きステアリングホイールの位置調整幅は広く、胸の近くまで引き寄せられる。

つまり運転環境は、ロングノーズのV8ツアラーだといわれても驚かないようなもの。しかも、ダッシュボードやドアトリムにまで張られたしなやかなマテリアルが、ラグジュアリーではないまでもプレミアム感のあるクオリティを強調してくれる。

センターコンソールディスプレイ周辺のピアノブラックパネルと、スイッチ類を別にすれば、硬いプラスティックパーツを見つけるのは難しい。コスト的にはパワートレインがかなりの比率を占めているはずだが、内装も6万ポンド(約840万円)級のクルマに相応しい仕上げが施されている。

レクサスまでは行かないまでも、トヨタとしてはハイエンド、というのがあるテスターが漏らした感想だが、けっして悪い意味合いではない。

しかし、後席と荷室はそれほどみごとな出来栄えではない。少なくとも先代からの改善はみられ、リアシートは2座ではなく3座になった。とはいえ、大柄なボディサイズのわりに、レッグルームはBMW5シリーズよりだいぶ狭い。

さらに、シート下にパワートレイン関連機器と水素タンクが配置されているので、背の高い乗員はパノラミックルーフの張り出しに髪が触れてしまう。テスラモデルSや、このクラスエンジン車なら、その点はずっとよくできている。

リアアクスル上には駆動用バッテリーと電気モーターが置かれており、第3の水素タンクは荷室下に設置される。そのため、トランクルームの容量が食われてしまい、奥行きも深さが足りず、後席の可倒機構も備わらない。

こうしたキャビンのしつらえを考えると、ミライは快適なサルーンとは呼べない。驚異的に広々としたクーペか、かなり妥協した大型セダン、といったところだ。

走り ★★★★★★★☆☆☆

ミライパフォーマンス的なポテンシャルに失望しないためには、キャビンがリア寄りの驚くほどスポーティなシルエットに抱く幻想を、走り出す前に捨てる必要がある。

20年前なら、この手のルックスのクルマにはマッチョなV8が積まれ、1937kgというテスト車の重量に見合ったパワーを発揮したはずだ。そう考えると、リアに積まれたミライモーターは期待に沿わず、馬力荷重比は95ps/tにすぎない。この数字は、いまでは中級グレードのハッチバックでも達成できるレベルだ。

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6万ポンド(約840万円)級の大型サルーンとしては満足できる加速性能ではないが、街乗りならそう不満はない。それよりもブレーキの効きをより明確で強くしてもらいたい。    LUC LACEY

それゆえ加速は、堂々たるものだが活発とはいえない。1.6kmストレートで計測したタイムは、0-97km/hが8.7秒、0-161km/hは25.5秒というもの。これに近いところでは、2019年テストしたフォードフォーカスSTラインXが、182psで8.9秒/22.8秒をマークしている。

6万ポンド(約840万円)のミライと、2万6000ポンド(約364万円)弱のフォーカスが加速性能で肩を並べるというのはどうにも腑に落ちない。しかし、唯一ともいえる競合車であるヒュンダイ・ネッソには勝っている。あちらはさらに高額なFCEVで、タイムは9.6秒/38.5秒だった。いずれにせよ、バッテリーEVが見せる、胃袋を締めつけるようなスピードは、燃料電池車ではそう楽に出せないようだ。

とはいえ、ミライが見せる控えめなパフォーマンスの性質はほとんど違和感を覚えないものだ。30.6kg-mというまずまずのトルクにより、市街地での0−50km/h程度ならば爽快で活発なスタートダッシュを楽しめる。

スロットルペダルの調整も巧みで、レスポンスには優れるが、直感的に減衰する。ここに驚きはない。メルセデスでいえばEクラス以上Sクラス未満といったサイズサルーンを操縦するには、これは重要な点だからだ。

50km/h以上の領域では、このパワートレインの出力特性がほぼ完璧にリニアな加速をもたらすことがわかる。それは、電動車一般に共通してみられるものだ。

われわれが気になったのは、ブレーキペダルのほうだ。動きがソフトではっきりせず、よほどゆっくり減速するのでなければ、重量級の大型サルーンの通例を上回るくらい踏み込まなければならない。

113−0km/hの45.9mという制動距離は妥当なので、絶対的な性能は不足していないように思うだろう。しかし、もう少し食いつきがよければ使いやすいだろうし、ずんぐりしたセレクターレバーをBrモードに入れたときには回生ブレーキをもっと強く効かせてほしいところだ。

使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆

インフォテインメント

ミライが標準装備するデジタルメーターは8.0インチディスプレイを用いるが、テスト車はよりワイドな10.1インチ画面にアップグレードされていた。これに組み合わされるセンタータッチディスプレイは12.3インチ。その眺めは、最近のメルセデスのようだ。

センターディスプレイではインフォテインメントシステムコミュニケーション系、ナビゲーションの操作ができるほか、パワートレインの作動状況を表示し、必要とあれば異なる複数の機能を分割表示できる。それぞれの機能は横方向にスライドさせて動かせるので、助手席からのアクセスも容易だ。

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インフォテインメントシステムは、ワイドセンターディスプレイが助手席側からも操作しやすく、オーディオミラーリングなどの装備も充実。しかし、BMWメルセデスシステムにはまだ肩を並べるに至らない。    LUC LACEY

Android AutoApple CarPlayは標準搭載で、トヨタダイナミックナビゲーションのサブスクリプションは3年分が車両価格に含まれる。JBL製の14スピーカーオーディオも全車に装備されている。

しかし、全般的にみれば、このクラスで最高レベルシステムとは言い難い。シャープさや反応遅れのなさは、BMWのiドライブメルセデスのMBUXと比べ明らかに劣っているからだ。

燈火類

ミライには、自動光軸調整式LEDヘッドライトが標準装備。光の広がりは良好だ。シャープレンズデザインには、トヨタの空力志向があらわれている。

ステアリングとペダル

ドライビングポジションには、なんの不満もない。高いスカットルがそう感じさせるほど、低く寝そべった着座姿勢というわけではないが、オフセットは皆無で、調整もかなり効く。

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

極めて先進的な電動パワートレインと、デジタルディスプレー満載のコクピットを備えるが、ハンドリングに関しては旧態依然としている。

もっとも、それを非難しようというつもりはない。単にサスペンションのトラベルが大きく、ボディのロールのコントロールがゆったりとしていて、21世紀に入る直前の欧州の大型サルーンを彷彿させるような上下動をみせる。

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そのルックスに反して、ハンドリングにスポーティなところはない。後輪駆動の最新サルーンより、前時代的な高級車を思わせる性格で、それはそれで悪いものではないのだが。    LUC LACEY

思い出すのはE39世代の5シリーズだ。ミライハンドリングはかすかながら心地よいオーバーステア寄りのバランスだ。とはいえ、どのBMWよりもアンダーステア傾向ではあるが。また、ステアリングは飛び抜けてわかりやすい。ただし精確で、電動アシストのラックは油圧並みのクオリティと、ひたすら一定の手応えをもたらす。

それだけではなく、気楽でいて正確な、流れるような走りも可能になる。最新のサルーンではそれを、ボディコントロールの改善を図るため犠牲にしてしまっているケースがじつに多い。

その点、このミライなら、いったんそのボディサイズに慣れてしまえば、ボートのような日本製サルーンに思い浮かべるようなほかにはない優雅さと、得られる限りの安楽さを享受できる。このクルマにはぴったりのキャラクターだと、われわれは感じた。

もちろん、その反面で、どう走らせてもドライビングを楽しめるようなクルマだとはいいがたい。たしかに、コーナリング中はスロットルで適度なバランスを保てて、広い道ではゆったりと流せるのは、とても穏やかな満足感を味わわせてくれるのだが、決して後輪駆動レイアウトらしさを発揮してくれることはない。

そのパーソナリティは、後輪駆動車としてはソフトすぎる。攻めた走りをするとグリップにほどよく余裕があることはわかるが、スロットルペダルをどう踏んでみても、鼻先の進入角は断固として穏やかなままだ。

結論として、プリウス派生のシャシーを用いて2014年に登場した初代からすれば、間違いなく改善されている。それでも、内燃機関を積んだハンドリング自慢のサルーンと比較できるものにはなっていない。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆

ミライの強みがもっとも発揮されるのは、まさしくこの分野だ。洗練性こそが、最大のセールスポイントである。

電動パワートレインなので、明らかに動力関係のノイズは無視できる。それも、絶対に。低速域では、メルセデスEQCやジャガーIペイスといった、大柄なプレミアムEVのような静けさで、滑るように走る。たとえ、Sクラスほど無感覚なまではいかないとしても。

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レクサスLSと共通のプラットフォームに、静かで開放的なキャビンが相まって、ミライはリムジン的な性格をみせる。2t近い車体にメカニズムを満載し、たったの182psで走らせるFCEVには、いかにもといった感じだ。    LUC LACEY

場合によっては、フロントに積まれた燃料電池のほうから、内燃機関的な合成されたサウンドがかすかに聞こえてくるが、ほとんど静止画のように無音なまま車は走り続ける。

おそらく20インチホイールによって、最上位グレードはやや忙しない走りになるので、ここは19インチ装着グレードにしておきたいところだ。しかし、全般的には、このサイズクルマとしてはあまりないくらい軽やかな動きをみせる。

速度が高くなっても、魅力的なゆったりした乗り心地はほとんど損なわれないが、サスペンションへの唐突な入力をきれいに処理できないこともたまにある。

しかし、購入して乗り心地以上に感心するだろう要素が静粛性だ。113km/h巡行時の計測値はたったの66dBで、これは8万7675ポンド(約1227万円)のアウディe-トロン S と変わらない。

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

先代より大きく、速く、高効率で長距離を走れるが、価格はかなり抑えられている。

2016年ロードテストを行った先代は、モノグレードで6万6000ポンド(約924万円)だった。それから5年を経て、新型は5万ポンド(約700万円)を5ポンド(約700円)切る価格からの設定となった。同程度のサイズの高級サルーンとも競合できる値付けで、ヒュンダイ・ネッソFCEVより2万ポンド(約280万円)安い。

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FCEVであるミライの残価予想は、メルセデスバッテリーEVの傑作といえるEQCには及ばないが、BMW545eよりは上だ。

この価格は、トヨタが赤字覚悟でつけたものに違いない。だが、長い目で見れば、戦略的にも財務的にもそうする価値はあるはずだ。

ユーザー目線では、大型EVのオルタナティブとなりうる、実用に適うゼロエミッションカーだ。しかも、水素の充填には数分しかかからない。EVの充電より、はるかに短時間で済む。もちろん、排出するのは水だけ。しかも、吸気中の窒素酸化物や微粒子、汚染物質を除去する、走る空気清浄機とでもいえる機能まで備わっている。

問題は、水素供給施設の少なさだ。英国の場合、5年前の3か所からは増えたが、それでも10か所しかないのだ。幸いにも身近に水素ステーションがあるなら、1kgあたり12〜15ポンド(1680〜2100円)で補充できる。自宅でEVを充電するのと、コスト的にはほぼ同じといったところだ。

スペック

レイアウト

前輪駆動から後輪駆動スイッチしたミライは、レクサスのLSやLCにも用いられる、トヨタ最大のプラットフォームであるGA-Lがベースだ。燃料電池スタックは、完全にボンネットの下に収められた。

圧縮水素のタンクは、先代から1本増えて3本になり、駆動用のモーターバッテリーはリアアクスル上に設置された。前後重量配分は公称50:50だが、テスト車の実測値は49:51だった。

パワーユニット

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GA-Lプラットフォームを採用し、後輪駆動となった新型ミライ。水素燃料は、センタートンネルに64L、後席下に52L、荷室下に25Lの、3本のタンクに分けて充填される。

駆動方式:リアモーター後輪駆動
形式:交流同期永久磁石式電動機
燃料電池:フロント搭載・個体高分子型水素燃料電池、174ps
駆動用バッテリーリチウムイオンバッテリー、1.24kWh
最高出力:182ps
最大トルク:30.6kg-m
許容回転数:-rpm
馬力荷重比:95ps/t
トルク荷重比:15.9kg-m/t

ボディ/シャシー

全長:4975mm
ホイールベース2920mm
オーバーハング(前):965mm
オーバーハング(後):1090mm

全幅(ミラー含む):2200mm
全幅(両ドア開き):-mm

全高:1470mm
全高:(トランクリッド開き):1180mm

足元長さ(前):最大1090mm
足元長さ(後):最大700mm
座面~天井(前):最大950mm
座面~天井(後):最大980mm

積載容量:321L

構造:金属混成モノコック
車両重量:1925kg(公称値)/1937kg(実測値)
抗力係数:0.29
ホイール前・後:8.5Jx20
タイヤ前・後:245/45 ZR20 103Y
ファルケン・アゼニス FK510
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:1速リダクションギア
ギア比
最終減速比:11.7:1 
1000rpm時車速:-km/h

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:61.2km/kg
ツーリング:80.5km/kg
動力性能計測時:26.9km/kg

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):134.9km/kg
中速(郊外):142.6km/kg
高速(高速道路):131.2km/kg
超高速:85.1km/kg
混合:111.7km/kg

燃料タンク容量:5.6kg(水素タンク3基合計値)
公称航続距離:644km
テスト時航続距離:370km
CO2排出量:0g/km

サスペンション

前:マルチリンク/コイルプリング、スタビライザ
後:マルチリンク/コイルプリング、スタビライザ

ステアリング

形式:電動油圧、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:12.6m

ブレーキ

前:334mm通気冷却式ディスク
後:335mmドラム
制御装置:ABS、HBA、EBD
ハンドブレーキ:電気式、自動(センターコンソール中央にスイッチ配置)

静粛性

アイドリング:-dB
全開時:71dB(145km/h走行時)
48km/h走行時:58dB
80km/h走行時:62dB
113km/h走行時:66dB

安全装備

ABSVSC/VDIM/TC/衝突前アシスト/緊急操舵アシスト、車線トレースアシスト
Euro N CAPテスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温12℃
0-30マイル/時(48km/h):3.3秒
0-40(64):4.6秒
0-50(80):6.4秒
0-60(97):8.7秒
0-70(113):11.5秒
0-80(129):15.1秒
0-90(145):19.6秒
0-100(161):25.5秒
0-402m発進加速:16.8秒(到達速度:135.2km/h)
0-1000m発進加速:30.7秒(到達速度:171.9km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
ヒュンダイ・ネッソ(2019年
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
0-30マイル/時(48km/h):3.4秒
0-40(64):4.9秒
0-50(80):6.9秒
0-60(97):9.6秒
0-70(113):13.0秒
0-80(129):18.6秒
0-90(145):26.2秒
0-100(161):38.5秒
0-402m発進加速:17.5秒(到達速度:126.0km/h)
0-1000m発進加速:32.7秒(到達速度:153.9km/h)

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温12℃
30-0マイル/時(48km/h):8.6m
50-0マイル/時(64km/h):23.7m
70-0マイル/時(80km/h):45.9m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.95秒

ライバルの制動距離

ヒュンダイ・ネッソ(2019年
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
30-0マイル/時(48km/h):9.0m
50-0マイル/時(64km/h):24.1m
70-0マイル/時(80km/h):47.5m

結論 ★★★★★★★★☆☆

FCEVセダンコンセプトカーの段階から脱しながら、まだ1台あたりの価格が億円単位だったのはそれほど昔の話ではない。おそらく、このミライでもっとも注目に値するのは、エントリーモデルが5万ポンド(約700万円)ほどで買えてしまうということである。

このジャンルにおけるほぼ最先端のテクノロジーを持ち、市場競争力のあるパフォーマンスと航続距離を備える、これほど説得力のある「セミ高級」セダンとしては、類を見ないほど低価格だ。

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結論:旧型より大きく進歩した新型ミライ。とはいえ、全般的にはまだまだ物足りないところが残っている。    LUC LACEY

しかもミライは、先代のときから、リラックスして楽に乗れるという自身のキャラクターを見つけているようなのだが、それがこのクルマにはしっくりきている。

この新型ミライをさらに称賛すべきものとしているのは、業界全体で傾倒しているバッテリーEVの余波や、それによる恩恵のないところで、トヨタがこのクルマをオペレートしていることだ。おそらく、現時点でミライの弱点を挙げるとすれば、プロダクトそのものではなく、未発達な燃料供給ネットワークだろう。

たしかに、パッケージングには改善の必要がある。また、プレミアムなゼロエミッションの長距離移動手段としては、いまだ大型バッテリーを積むEVに分がある。しかしミライは勇気ある挑戦で、将来的に受け入れられていくだろうアイテムの持ち主だ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

ミライは必要に応じて、発電時に発生した水を排出するが、メーターパネル横のH2Oボタンで強制的に排水することもできる。また、ナビゲーションで排水したくないエリアを設定することもできる。ガレージに止めておいたら床が濡れていた、というようなことを避けられて便利だ。

リチャード・レーン

ミライの現状は、Iペイスのそれを思わせるところがある。ジャガーのEVは、GTカーとしての魅力を生まれついて備えているが、100kW以上の充電ステーションが不足しているインフラの不備が、その美点を損ねている。水素ステーションの整備状況は、さらにお粗末だ。

オプション追加のアドバイス

航続距離の最大限を引き出す必要に迫られることがあるだろう。となれば、20インチホイールを履く最上位仕様は避けたい。おすすめは、中間グレードのデザインプラスだ。

改善してほしいポイント

・後席のパッケージングは改善してもらいたい。ミリ単位でスペース効率を突き詰めるべきだ。
・最優先事項というわけではないが、パワーが25%ほど増せば、さらに魅力的になるだろう。そこまでの出力を使うことは滅多になくても、訴求力が高まる。


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