現在、放送&配信されている『連続ドラマW 華麗なる一族』がいよいよ佳境を迎えている。国民的作家山崎豊子の同名小説『華麗なる一族』(新潮文庫刊)を原作に、一族の繁栄と崩壊を全12話でドラマチックに描くWOWOW開局30周年記念作。6月27日に放送される第10話では、ついに主人公である阪神銀行の頭取・万俵大介が“小が大を食う合併”の最終段階として、総理大臣に会いに行く。

佐橋総理大臣伊武雅刀)に面会する大介(中井貴一

大介の長男・鉄平が専務を務める阪神特殊製鋼は、高炉爆発事故の影響で、経営の立て直しは限りなく困難な状況に。融資比率をめぐっても、銀行間の駆け引きが熾烈を極める中、万俵ファミリーの女性たちもその運命が大きく翻弄されていく。万俵の妻をはじめ、万俵家の三姉妹、さらに万俵家に嫁いだ妻たち……。それぞれがプライドと信念を胸に、人生を歩む姿は、ヒューマンドラマとしての『華麗なる一族』の大きな見せ場といえる。

大介の妻・寧子は、万俵家の家庭教師兼女執事、そして大介の愛人である高須相子との同居を強いられる。家族を思い、常に平静を保ち続けるが、その胸中が穏やかなはずはない。いわば、栄華の影に隠れた犠牲者ともいえる存在だが、単なる悲劇のヒロインに陥れない麻生祐未のきめ細かい演技は必見。何より息子と娘を愛で包む母性が、物語にとっての大きな救いとなっている。

自分の出生に疑念を持つ鉄平(向井理)に戸惑う寧子(麻生祐未)

そんな母親の愛情を一身に受けて、成長した万俵家の次女・二子は、相子が強引に進める閨閥結婚に抗いながら、情熱的な性格の一之瀬四々彦に惹かれ、恋に落ちていく。その一途な姿勢の裏にあるのは、相子への反抗心、そして愛する母の生きざまに対する拒絶の思い。若手実力派の松本穂香が、二子の負けん気の強さと複雑な乙女心を、表情豊かに演じて見せている。良妻賢母の長女・一子、天真爛漫な三女・三子とのコントラストも印象的だ。

一方的に決められた相手ではなく四々彦(工藤阿須加)に惹かれていく二子(松本穂香
妹たちには自分のような閨閥結婚はしてほしくないと内心思っている一子(美村里江)

一方、吉岡里帆が演じる安田万樹子は、次男・銀平の妻として万俵家に嫁いだ立場から“華麗なる一族”の闇を垣間見る、視聴者により近い存在だ。こちらも閨閥結婚の犠牲者だが、そこから脱しようと大胆な行動も……。吉岡にとっても、これまでのイメージを脱却する重要な位置づけの作品になったことは間違いない。

万俵家に嫁ぐが、夫・銀平からの愛を感じられず苦悩する万樹子(吉岡里帆

既に放送・配信がスタートしている本作だが、WOWOWオンデマンドではアーカイブ配信を行っており、今からでも第1話から視聴が可能。また、申込み月内であればいつでも解約可能となる無料トライアルも実施中だ。

文:内田涼

WOWOW開局30周年記念
『連続ドラマW 華麗なる一族』(全12話)
毎週日曜 夜10時 放送・配信中
WOWOWプライム /WOWOW 4K/WOWOWオンデマンド
WOWOWオンデマンドでアーカイブ配信中(今からでも第1話から視聴可能)
WOWOWオンデマンドでは無料トライアルを実施中
原作:山崎豊子『華麗なる一族』(新潮文庫刊)

『連続ドラマW 華麗なる一族』