原付扱いのペダル付き電動バイクナンバープレートを隠すことで、法的にも自転車として認められるようになる装置、グラフィットの「モビチェンリリース前の製品をキャッチしました。駐車の扱いなども、「自転車」になるようです。

「状態が変化するモビリティ」に一定の解釈が与えられる

基本は原付バイクナンバーを隠せば自転車。合法的に2モードで公道走行ができるglafitグラフィット、和歌山市)の切替装置「モビチェン(モビリティカテゴリーチェンジャー)」の市場リリース直前の製品を捉えることができました。

モビチェンは、2021年4月に警察庁が事務局となる有識者検討会で“状態が変化するモビリティ”を可能とする装置として位置付けられ、今後の道路交通法改正案で、新しい交通ルールとして盛り込まれる予定です。

国内初のモビチェンは、この夏にも申込者の手元に到着する予定の車両「GFR-02」に、まずは対応。そのプロトタイプは今年5月に都内で開催された展示会でも公表されていました。この記事で紹介するモビチェンはさらなる進化系で、完成度は市場直前の状態にまで磨き上げられています。

グラフィットのモビチェンを紹介する前に、まず“状態が変化するモビリティ”を簡単に説明します。

現行の道路交通法は車両区分によって通行できる場所や適応されるルールを定めています。乗用車では一方通行の区間でも、自転車が逆走にならないのは、自転車には自転車ルールが適応されるからです。

グラフィットの最初の製品「GFR-01」は、EV原付バイク原動機付自転車1種)でしたが、自転車としても使えるペダル付きなのが特長でした。しかし、電欠(電池切れ)でバイクとして動かない状態でも車両区分が原付バイクの場合、現行の道路交通法では自転車として用いることができません。

誰のためにもならないルールではないか――グラフィットの鳴海禎造社長が構想し、規制改革を3年越しで働きかけた結果が、“状態が変化するモビリティ”を認めさせること。そのための原付モード自転車モードを切り替えて走行できる装置を作ることでした。

こうした経緯から、この夏にグラフィットが予約者にデリバリーする「GFR-02」も、そのままの状態では原付バイクとしてしか使用できず、オプションナンバープレートの上にモビチェンを取り付けることで、2モード走行がはじめて可能になります。

放置駐車も「自転車扱い」に

「原付と自転車では交通ルールに大きな違いがありますが、モビチェンを作動させた状態では、走行中も駐車中も完全に自転車としてみなす、と警察庁から直接、連絡をいただきました」と、鳴海社長もさらにモビチェン効果に自信を深めています。警察庁は、自転車モードならば放置駐車についても対象外とする見解を出しています。

では、公道走行のスタイルを変える画期的な装置が、どのように変化しているのか、比較してみましょう。最も大きな違いは、モード切り替えがより確実で便利に変化していることです。警察庁モード切り替えが成立する条件として以下の3つを挙げています。

・第三者からモードが識別できる。
・停車中にしか切り替えできない。
モードを超えた動力を供給しない。

モビチェンの場合、ナンバーを表示させていれば原付バイク、シャッター機構でナンバーを隠せば黒字に白の自転車を示すピクトグラムが表示されますが、下から上にシャッターを上げる仕組みなので、意思に反してシャッターが勝手に下がることはありません。しかし、操作が簡単でなければ、シャッターを引き上げるのは面倒に感じるかもしれません。このため片側のレバーをさらに大きくして、シャッターと連動させ、レールに沿ってテコの原理で軽く引き上げられるようになりました。

また、停止中にしか切り替えられないことを確実にするため、モビチェンは左右のスイッチを同時に押してシャッターを引き上げます。灯火スイッチにもなっているそのボタンは、シリコンカバーが付いて大きく押しやすく、触れた感じもソフトになりました。スイッチタッチの改良は、モビチェンの評価を決めるカギになります。

シャッターは金属製で、黒の塗装も上質感があります。装着後の厚みは15mm程度に抑えられ、外観もすっきりしています。

「GFR-02」は19万8000円(税込)です。2モード走行を可能にするモビチェンは別売りですが、価格は未定。初回デリバリーはともに夏頃を予定しています。「GFR-02」の初回予約は終了し、次回の予約時期は未定です。

モビチェンでナンバーを隠した状態(中島みなみ撮影)。