ユーロ2020のラウンド16、ベルギー代表vsポルトガル代表が27日にエスタディオ・オリンピコ・セビージャで行われ、ベルギーが1-0で勝利した。

グループBを3戦全勝で首位通過したベルギーと、“死の組”グループFを3位通過した前大会王者のポルトガルによる、今ラウンド屈指の強豪対決。

エデン・アザールの完全復活は待たれるも、ルカクとデ・ブライネの好調コンビの活躍によって前評判通りの強さを見せるベルギーは、ディフェンディングチャンピオンとの一戦に向けてフィンランド戦で温存した一部主力をスタメンに復帰させ、現状のベストメンバーで臨んだ。前線はルカクを最前線にE・アザール、デ・ブライネが2シャドーに入り、3バックはアルデルヴァイレルト、ヴェルトンゲン、ヴィッセル神戸DFフェルマーレンとオーバー30のベテランが並んだ。

一方、グループFをフランス代表、ドイツ代表に次ぐ3位で通過して連覇に向けた最初の関門を突破したポルトガルだが、第2関門では優勝候補との厳しい対戦となった。2-2のドローに終わったフランスとの最終節からは先発2人を変更。セメドとダニーロに代えてダロトとパリーニャを今大会初先発で起用し、前線は右からベルナルド・シウバ、クリスティアーノ・ロナウド、ジョタの3トップとなった。

強豪同士による一発勝負ということもあり、互いに極力リスクを冒さずにチャンスを窺う慎重な立ち上がりとなる。開始6分にはレナト・サンチェスのスルーパスに抜け出したジョタがボックス左で最初の決定機を迎えるが、ここはDFアルデルヴァイレルトの寄せもあってシュートを枠に飛ばせない。

以降は中盤での潰し合い、外回りの攻防が目立ち、互いに相手の集中した守備を上回るような攻めを仕掛けられない。それでも、25分にはボックス手前右の好位置でFKを得たポルトガルがゴールに迫る。C・ロナウドが強烈な右足のシュートを枠の左隅に飛ばすが、これはGKクルトワが冷静にはじき出した。

一方、アタッキングサードでの質と連携がしっくりといかないベルギーも30分を過ぎて見せ場を作る。36分、相手FKを撥ね返してのロングカウンターから中央を持ち上がったルカクがパリーニャのファウルを辞さない対応を振り切ってボックス付近まで運ぶが、ここはフィニッシュまで持ち込めず。直後には右サイドからカットインしたムニエが右足アウトにかけた意表を突くミドルシュートを放つが、これは枠の左に外れた。

徐々に試合に動きが出始めた中、前半終盤の42分にスコアが動いた。波状攻撃からボックス手前左でムニエの横パスを受けたT・アザールが右足を一閃。ややアウトにかかったシュート回転のボールが右に重心を置いたGKルイ・パトリシオの逆を突く形でゴール左に突き刺さった。

T・アザールの鮮烈な一撃によって1点リードで試合を折り返したベルギーだったが、立ち上がりにアクシデント発生。前半終盤にパリーニャのタックルで左足首を痛めていたデ・ブライネがプレー続行不可能となり、メルテンスが緊急投入された。

後半も前半の流れを踏襲するように拮抗した状況が続く中、早い時間帯に追いつきたいポルトガルは55分にモウティーニョ、ベルナルド・シウバを下げてフェリックス、ブルーノ・フェルナンデスを同時投入。

より攻撃的な戦いを見せる前回王者は58分、右サイドから切り込んだC・ロナウドの斜めのパスをゴール前で受けたジョタに絶好機もシュートを枠の上に外してしまった。それでも、以降は相手にカウンターチャンスを与えず、完全にベルギーを押し込むところまでは持っていく。

後半半ばから終盤にかけては攻めるポルトガル、守るベルギーという構図の下、球際のバトルが強調される白熱の攻防が繰り広げられていく。

ベルギーの集中した守備を前にあと一押しが足りないポルトガルだが、82分にはB・フェルナンデスの右CKをルベン・ディアスがドンピシャのヘディングで合わすが、これはGKクルトワのビッグセーブに遭う。続く83分にはボックス中央でクロスのこぼれに反応したラファエウ・ゲレイロが右足のシュートを放つが、これは惜しくも右ポストを叩いた。

その後、ハムストリングを痛めたE・アザールがデ・ブライネに続き負傷交代するアクシデントに見舞われたベルギーに対して、ポルトガルが決死の猛攻に打って出るが、最後までゴールをこじ開けることはできなかった。

この結果、ポルトガルの連覇を阻んだベルギーが初の欧州制覇に向けて大きな関門を突破し、ベスト8進出を果たした。一方、競り負けたポルトガルはC・ロナウドの代表最多得点新記録樹立もしばしお預けとなった。
なお、前大会王者を破ったベルギーは7月2日にドイツのミュンヘンで行われる準々決勝でイタリア代表と対戦する。

ベルギー 1-0 ポルトガル
【ベルギー】
T・アザール(前42)

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