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世界遺産検定マイスター・畠山検定がご案内します

コロナ禍で行けない、行っても見られない「世界遺産」のドローンを使った最新SHOTを、世界遺産検定マイスターの解説とともに紹介! 解説してくれたのは、世界遺産検定マイスターに加え、漢字能力検定1級、知識検定1級を持つ博学ピン芸人の畠山検定(39)。

【文化遺産編】

フランスモン・サン・ミッシェル

1979年に登録された、サン・マロ湾上に浮かぶ修道院。頂上で輝く大天使ミカエルの金の像は上空からだとよく確認できる。

「大天使ミカエルがオベール司教の夢枕に立って、建立を頼んだのが建設のきっかけとも。当時は橋がなく、干満の差が15メートルほどもある危険な湾を歩くため、遺書を書いて巡礼したとか」(畠山・以下同)

ポルトガル「グラーサ要塞」

スペインとの国境近くに位置する「国境防衛都市エルヴァスとその要塞群」の1つ。18世紀半ばに建てられた。

「星形は挟み撃ちしやすく、実戦に適した形。軍事技術者ヴォーバンが設計したフランスにある世界遺産ヴォーバンの要塞群に影響を受けているとも言われます。じつはあの函館の五稜郭も同じ流れをくむ建物です」

ロシア「聖ワシリイ大聖堂」

首都モスクワにあるロシア正教の大聖堂。中央の主聖堂を取り囲む大小8つの小聖堂は、聖母マリアを象徴する数“8”を表しているとされる。

「“ネギ坊主形”とも言われる上部は、ろうそくの火や天国を表しているなど諸説あります。1560年の建設当時はこんなにカラフルではなく、18世紀になって彩られました」

フランスルーヴル美術館

世界最大級を誇るフランスの国立美術館。中庭の中央にあるガラス製の“ルーヴルピラミッド”が地下入口へつながるエントランス。

フランス国王が住んでいたルーヴル宮を増改築しているから、めちゃめちゃ広い。展示数は3万5,000〜7万点、廊下の長さは約14.5キロメートル、階段も約1万段もあるので、すべて見るのは体力勝負ですよ!」

カンボジアアンコール・ワット

クメール語で「国都寺院」という意味を持つヒンドゥー教寺院。12世紀前半にスーリヤヴァルマン2世によって建立された。高さ約65メートルの中央祠堂と4つの尖塔は神々が住むとされる須弥山、周壁はヒマラヤの霊峰を表現したとされる。

「回廊には、なんと江戸時代にここを訪れて仏像を奉納した武士の落書きが今も残っています」

イングランドストーンヘンジ

紀元前3000年に作られた巨大な環状列石の高さは約7メートル。夏至の日の太陽の位置を示す配置が取られているため、天文台や太陽崇拝の遺跡だと考えられている。

「石の一部は約280キロ離れた場所から運ばれてきたもの。また、ストーンヘンジよりさらに古い環状列石に使用された石を再利用したのではないかと最新の研究で発表されました」

エジプトピラミッド

約4500年前に建造されたクフ王、カフラー王、メンカウラー王のピラミッドが整然と並ぶギザの3大ピラミッド

「建設当時は、化粧石のように真っ白だったそうです。王墓説が主流ですが、いまだに作られた目的も建設方法も不明。農閑期の公共事業だったとも。内部には30メートルほどの空洞があるとも言われています」

【自然遺産編】

ジンバブエザンビア「ヴィクトリアの滝」

ジンバブエザンビアの国境をまたぐように鎮座。幅約1.7キロメートル、最大落差は約110メートルで、雨季に流れ落ちる水量は毎分5億リットルにもなる。

「その勢いはザンビアの言葉で“モーシ・オワ・トゥーニャ(雷鳴とどろく水煙)”と呼ばれます。雨季には水の落下地点から立ち上る水煙が800メートルの高さにまで上がり、20キロメートル先からでも見えるそうです」

マダガスカル「ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区」

“ツィンギ”とは、マダガスカル語で「先のとがった」という意味。広大な石灰岩台地が雨や地下水などで浸食され、長い時間をかけて鋭くとがった岩山へ変貌した。

「人間が住めない場所ゆえに、キツネザルやアイアイ、ネムールといったサルたちの楽園になっています。マダガスカルでしか見られない動物が見られる貴重な場所でもあります」

アフターコロナ編】

イタリア「ヴェネチアとその潟」

昨年3月、イタリア全土でロックダウンが行われ、移動制限に加えホテルや飲食店などが閉鎖。ヴェネチアでも年間3,000万人いた観光客が皆無に。しかし同時に、観光客が出すゴミや水上の交通汚染もなくなり、運河の水質が劇的に改善。市ではこの経験をもとにサステナブルな観光への見直しを始めた。

ヨルダンペトラ遺跡」

断崖絶壁に囲まれた狭い道を通り抜けてたどり着く砂岩遺跡群。海外からの観光客が途絶えたことを機に、料金を巡る観光客とのトラブルや事故が多発していた観光馬車を定額の電動車へ変更する改革に乗り出した。しかし、「馬車は伝統」「仕事がなくなる」と地元のベドウィンが反対。調整に苦慮している。

オーストラリア「フレーザー島」

長さ123キロメートル、幅24キロメートルの大きさを誇る世界最大の砂島。昨年10月、日本でもコロナ禍でブームとなったキャンプの火が原因で森林火災に発展。強風や熱波という気象条件も重なり、6週間以上も延焼した。火災被害面積は8万5,000ヘクタールを超え、オーストラリア固有の動植物が見られる森が失われた。

■日本「金閣寺

昨年12月、長年にわたって雨水や鳥害などで傷んできた舎利殿のこけらぶき屋根を18年ぶりにふき替えた。コロナの影響で参拝者が減少していたこともあり、急きょ昨年9月に前倒しで工事を開始。約4カ月で、2層と3層の屋根部分のサワラ板を約10万枚取り替え、屋根上の鳳凰の金箔も張り替えて、明るい屋根に刷新された。

【シン世界遺産編】

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島
北海道・北東北の縄文遺跡群
モンゴル・鹿石

新たな世界遺産の登録について話し合うユネスコ世界遺産委員会が7月16日から2年ぶりにオンライン開催される。それに先立ち、諮問機関が各国から推薦された“世界遺産候補”を調査。

日本からは「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」「北海道・北東北の縄文遺跡群」が登録にふさわしいとの勧告を受けた。

「順当にいけば、この2つは世界遺産に登録されます。7月の正式発表が楽しみです。国外では、文化遺産への登録を目指すモンゴルの鹿石に注目。円形、巨石という部分がストーンヘンジや北東北の縄文遺跡群の1つ、秋田の大湯環状列石と共通していて興味深い。時代や場所を超えた接点が何かあるのではと、そんなつながりを想像するのも面白いです」