詳細画像はこちら

3代目308の欧州での発売は2021年11月

text:Frank Janssen(フランク・ヤンセン)
translationKenji Nakajima(中嶋健治)

 
間もなくフランス北部のソショー工場で生産を終える、現行の2代目プジョー308。運転する喜びとハンサムなデザイン、いつくかの先進性を兼ね備えた、合理的なハッチバックだったことが思い返される。

【画像】新型 プジョー308 プロトタイプ 欧州でライバルとなるハッチバックと比較 全139枚

好き嫌いで意見は分かれるものの、308にiコクピットを導入したプジョー。驚くほど小径なステアリングホイールが低い位置に伸び、ダッシュボードの高い位置にメーターパネルが置かれていた。

詳細画像はこちら
プジョー308 ハイブリッド225 e-EAT8 プロトタイプ

運転のしすさと運転席からの優れた視界、乗り降りのしやすさなどが考慮されていた。普通のドライバーの座高では、メーターが見にくいという欠点も備えていたが。

2代目プジョー308は、2014年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーに選出されている。今回試乗した次期308の欧州での発売は2021年11月の予定。現行型の栄光が、かなり昔に思われる。

現在、新しい308は最終仕上げの真っ最中。英国編集部では、ソショーから1時間ほどの場所にあるミュルーズの工場から、量産前のテスト車両をお借りすることができた。新型の生産が行われる、新しい拠点だ。

次期308は、コンパクト・ハッチバックの主要な選択肢としての地位を高めるべく、プジョーが期待を込めるモデル。エンジンはガソリンとディーゼルが用意され、308としては初めて、プラグインハイブリッドPHEV)も選べるという。

発売当初はこのPHEV版が、モデルのトップグレードに位置することになる。180psを発揮する1.6Lの4気筒ガソリンターボ・エンジンに電気モーターが組み合わさり、システム総合で225psを獲得する。

新ロゴにアグレッシブなフロントマスク

新しい308がベースとするプラットフォームは、ひと回り小さく、純EV版も選べる2082008とは別のもの。プジョーが開発した2種類の乗用車用プラットフォームで、大きい方が登用されている。

308にも純EVが検討されているが、登場は早くても2023年頃になるようだ。マイルドハイブリッド版も、同じ頃に発売されるらしい。プジョーの製品マネージャー、アグネス・テッソン・ファゲットによれば、308ではPHEVの方を優先させたという。

詳細画像はこちら
プジョー308 ハイブリッド225 e-EAT8 プロトタイプ

新しい308を観察してみる。ボンネットは比較的長く、フロントノーズ周りは垂直気味に立っている。ヘッドライトの下には、プジョーセイバーと呼ぶ、剣のようなデイライトがシャープさを強調する。

ブラックアウトされたグリル周りと相まって、顔つきはかなりアグレッシブフェラーリのような盾形フレームにライオンのシルエットが収まる、新しいプジョーのロゴがあしらわれる初めてのモデルでもある。

ドアを開いて車内を覗いてみると、ドライバー中心のデザインが与えられていることがわかる。クロスオーバーの2008と同様に、iコクピット流のメーターパネルには、表示深度が異なる3次元モニターが搭載される。

次期308のiコクピットはメーターも見やすい。デザインの遊び心は控えめで、可読性も良い。

リアシートは大人でも充分快適に過ごせそうだが、ファミリーユーザーのためにステーションワゴンのSWも計画中。登場は2022年初めになるという。

バランスに優れ新型も運転が楽しい

デザインは大幅に一新される次期308だが、小気味いい動的特性は従来どおり。ガソリンエンジンにハイブリッド用のモーターが組み合わされ、12.4kWhのリチウムイオンバッテリーを荷室の床下に搭載し、車重が大幅に増えていても。

ちなみに、通常の内燃エンジン版と比較すると、250kg以上は重くなるらしい。

詳細画像はこちら
プジョー308 ハイブリッド225 e-EAT8 プロトタイプ

新しい308のサスペンションは現行の2代目と比較して、路面の隆起や陥没を巧みに均してくれる印象。「快適性を高めてほしいというオーナーからの意見を受け、少し快適志向に振っています」。と顧客対応部門の責任者、マージョリー・ルイリエが説明する。

ユーザーの意見を取り入れつつ、競合モデルとの比較で煮詰めたのだろう。試乗車が履いていたホイールは、18インチだった。

バランスに優れ、新しい308も運転が楽しい。ボディロールは比較的多いようだ。高速コーナーでの挙動はほぼニュートラル。タイトコーナーに突っ込むとフロントタイヤが押され、アンダーステアが顔を出す。PHEV化による重量の影響もあるだろう。

そのかわり、ハイブリッドのパワートレインは反応が良い。アクセルペダルを踏む右足へ少し力を込めるだけで鋭く加速し、首が後ろに倒れる。しかもPHEVは、次期308で最も静かなパワートレインでもあるという。

12.4kWhのバッテリーで走れる距離は、最大で59kmとのこと。

完成した次期プジョー308には、2021年の秋にお目にかかれる予定。今から楽しみに待っていようと思う。

プジョー308 ハイブリッド225 e-EAT8 プロトタイプのスペック

英国価格:3万ポンド(462万円/予想)
全長:4367mm
全幅:1852mm
全高:1441mm
最高速度:209km/h(予想)
0-100km/h加速:6.5秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1633kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:12.4kWhリチウムイオン
最高出力:225ps(システム総合)
最大トルク:36.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック


プジョーの記事
【次期モデルの登場迫る】プジョー308 ハイブリッド225 PHEVのテスト車両へ初試乗
【ハッチバックと異なるデザイン】新型プジョー308 SW 欧州発表 2種類のPHEVも設定
【どれだけ積める?】プジョー5008改良新型 3列シート7人乗りSUV、パッケージの真価
【PHEV登場】プジョー508と508 SWに、プラグインハイブリッド追加 システム出力225ps

【次期モデルの登場迫る】プジョー308 ハイブリッド225 PHEVのテスト車両へ初試乗