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「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」

6月25日発売の月刊誌「Hanada」(飛鳥新社)に掲載された、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏(75)との対談でこう述べたのは安倍晋三前首相(66)。

毎日新聞によると、共産党や社説で東京五輪パラリンピックの中止を求めた朝日新聞に対して批判したという安倍氏。五輪開催を批判する野党について、「日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか」とも述べたという。

また安倍氏は、五輪を開催する意義について「(日本人選手のメダル獲得などの)感動を共有することは日本人同士の絆を確かめ合うことになる」などと主張したとも伝えられている。

残すところ20日と差し迫ってきた東京五輪。しかし東京都新型コロナ感染者数もリバウンド傾向にあり、第5波が懸念されている。またワクチン接種も全国民に、十分に行き渡っていない状況だ。

政府分科会の尾身茂会長(72)が6月3日に、「パンデミックの中で開催するということが普通でない」と警鐘を鳴らしていたことも記憶に新しい。

コロナ禍の状況を鑑みず、“反日的な人が五輪に反対している”と決めつけるような安倍氏の発言に、ネット上では批判の声が殺到している。

《全てが精神論で、安倍さんの主観に基づく発言。反日という言葉は非国民の現代版で、国会議員、ましてやかつて首相だった人が使って良い言葉とは思えない》
《どこに反日って根拠があるのかわからん。今やらなきゃいけない理由を国民に説明するのが先では?》

■“2年延期案”を押し切って1年延期に

コロナ禍によって1年延期された東京五輪だが、そもそもその決定を下した張本人が安倍氏だ。

国内で新型コロナの感染が拡大し始めた昨年3月24日。当時首相だった安倍氏IOCバッハ会長と電話会談し、1年延期を提案。当時の報道によると、「開催国・日本として、現下の状況を踏まえ、世界のアスリートの皆さんが最高のコンディションでプレーでき、観客の皆さんにとって、安全で安心な大会とする」とバッハ会長に伝えたという。安倍氏の申し出に、バッハ会長も「100%同意する」と受諾したと伝えられた。

周囲からは“2年延期案”も出ていたというが、安倍氏が押し切ったことで1年延期が確定したという。

「大会組織委員会の高橋治之理事(77)は昨年3月に、『2年の延期が現実的だ』と主張していました。森喜朗元会長(83)は高橋理事の発言を咎めましたが、同年4月に『自分は2年延期案だったが、安倍氏が1年延期にこだわった』と五輪関連の会合で明かしていたといいます。最近では与党内部でも開催を躊躇う声が上がっています。

安倍氏は『人類が新型コロナに打ち勝った証として、完全な形で開催する』と主張していましたが、五輪開催がなぜ1年後に可能なのか具体的な根拠は示しませんでした。13年に自らプレゼンテーションし、五輪招致を勝ち取っただけに在任中に開催することが悲願だったのでしょう」(全国紙記者)

新型コロナ対策では「布マスク2枚」を配布するなどで、大きく批判を浴びた安倍氏。最終的に、山積する課題を菅義偉首相(72)に引き継ぎ、「1年延期の五輪」を残したまま辞任した。その責任を問う声も広がっている。

《「1年延期」にこだわったのは誰ですか? 誰のせいでこうなったんですかね?》
《この主張は全く無意味。1年延期で妥協してしまった自分の判断のまずさを詫びろよ! 2年にしていたらどんなによかった事か。いまんとこ何にもコロナに打ち勝ってないだろ!》