第47回放送文化基金賞の贈呈式が6月30日、東京會舘で行われ、番組部門<テレビドラマ番組>で奨励賞を受賞した「その女、ジルバ」(フジテレビ系)のスタッフが登壇。主演で同・演技賞を受賞した池脇千鶴もメッセージを寄せた。

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婚約は破談、会社でも肩身が狭くなり左遷…諦めと焦り、将来への不安を抱えて力なく歩く40歳の女性・新(池脇)が偶然目にした張り紙には「ホステス募集。ただし40歳以上」の文言が。そのバーを支えていたのは、平均年齢70歳以上の元気な高齢ホステスたちだった。どんな時代も生き抜いてきた歴戦の女たちの生き様に触れた新が、人生の輝きを取り戻し始めていく漫画原作のヒューマンドラマ。

実年齢以上の二役を演じた池脇の変貌ぶりと、今を生きる多くの女性たちに大きなエールを送る作品となった点が高く評価されての受賞となった。

東海テレビの遠山圭介プロデューサーは、「東海テレビは、かつては昼ドラ、今は土曜夜のオトナの土ドラという枠で番組を製作しておりますが、昼ドラ時代から脈々と受け継がえれているのが“人間を描け”ということです。ストーリーの展開を考えるより先に、その状況に置かれた登場人物が何を考え、何をしゃべり、どう行動するのか、それこそがドラマなんだと教わってきました」とあいさつ。

「今回の『その女、ジルバ』も、40になった女性がどう行動するのか徹底的に追求して製作してまいりました。そういった番組作りの姿勢がこういった形で評価されたことをとてもうれしく思っております」とコメント。

さらに「コロナ禍でドラマの製作は現場に負担をかける形になっておりますが、出演者、スタッフの皆さん誰一人文句を言うこともなく、いいドラマを作るために一生懸命頑張ってくれました。あらためてお礼を言いたいと思います。本当にありがとうございました」と感謝を述べた。

続いて、同作で演技賞を受賞したものの、スケジュールの都合で欠席となった池脇の手紙が、所属事務所である吉本興業の藤原寛氏によって以下のように代読された。

「皆さま、こんにちは、池脇千鶴です。この度は第47回放送文化基金賞・演技賞をくださいましてありがとうございます。今日はそちらに行けなくて残念です。『その女、ジルバ』はとても引き込まれる作品で、良い物語だからこそ、オファーがあったときはとてもうれしかったですね。久しぶりの連ドラ、4カ月、体力的にはキツかったけど、現場に入ると明るいスタッフさん、キャストの皆さんに囲まれて、楽しくて仕方なかったです。感謝でしかありません。この賞は、ジルバチームのみんなで頂けたような気がします。ご褒美ですね、きっと。またいつか、のびのびと撮影できる日を夢見て。まだまだ40手前の私は、面白い作品を追いかけて行きたいと思います。本日は本当にありがとうございました

◆取材・文=坂戸希和美

池脇千鶴の手紙を代読した吉本興業の藤原寛氏/※提供写真