気象予報士・千種ゆり子

静岡県を中心に記録的な大雨となり、土石流災害が発生してしまいました。 今がまさに梅雨の最盛期。今後の大雨について、気象予報士の千種ゆり子が解説します。


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■静岡は「長い間降り続き、結果大雨になるタイプ」

1日~3日に降った雨の量をみると、静岡県の多くの場所で400㎜を超え、県内30の観測地点のうち20地点で7月1位、うち6地点では通年の観測史上1位となるような、記録的な大雨となってしまいました(72時間雨量)。

天気予報

今回の静岡は、長い時間降り続き、結果量が多くなるタイプの大雨でした。線状降水帯のような予測が難しい現象とは異なり、長時間かけて降り続くタイプの雨は比較的予測がしやすいです。

危険な予測が出た時、いかに自分の家を離れて安全な所に避難できるか。正常性バイアスなどの心理的な方面からのアプローチや、避難(安全確保)を促す地域コミュニティからのアプローチなど、多角的に取り組んでいかなければなりません。


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■まだ静岡では土の中に大量の水分が

静岡・神奈川では、雨が弱まって1日経っていますが、いまだに土の中の水分量が多い状態が続いています。

天気予報

土の中の水は、このように雨が降り続いていますと、なかなかなくならず、土の中で火種はくすぶっていると考えたほうが良いでしょう。何かが引き金となって新たな土砂災害が発生する可能性もあります。ご自身の周囲で、考えうる最も安全な場所でお過ごしになってください。

■全国的に少なくとも1週間は雨が続く予想

天気予報

沖縄は2日(金)に梅雨明けしましたが、沖縄が梅雨明けしたらいよいよ本州付近が大雨というフェーズです。この先少なくとも1週間は断続的に雨です。場合によっては梅雨が明けるまで自宅からは離れた親戚の家などに避難することも一案でしょう。


■大雨エリアは北に

今後は大雨エリアが北に拡大し、九州北部、中国、北陸でも大雨の恐れが出てきます。今後の大雨は予測の難しい短時間の集中豪雨タイプで、避難のタイミングなどより難しくなってきます。しかも、大雨が予想されているタイミングが深夜です。

天気予報

本日中に色々な想定や対策を行い、ご自宅が危険な場所にある場合は、日中のうちに安全な親戚知人宅などに避難、自宅で過ごす場合は二階以上の崖とは反対の部屋に移動してください。

雨が怖い降り方をしてきたら、雨の予測や気象庁HP「危険度分布キキクル)」を逐一確認して、安全確認・安全確保を行ってください。

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(取材・文/気象予報士千種ゆり子

静岡県で発生した土石流災害、今後は大雨エリアが北に 気象予報士が解説