―[貧困東大生・布施川天馬]―


 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆『ドラゴン桜』で印象的だったヤンキー2人組



 皆さんは日曜劇場『ドラゴン桜』で一番好きだったキャラクターは誰でしょうか? 「東大へ行け!」と力強く背中を押してくれる桜木先生や、最初は嫌な奴だったのに段々と素直な気持ちを顕わにしていくツンデレの藤井遼くんなどが人気なのではないでしょうか?

 僕が一番好きなのは小橋辰徳くん、岩井由伸くんのヤンキー2人組です。彼らは第1話から登場していますが、もともとは東大専科のメンバーではありませんでした。

 彼らは、東大専科を陥れるためにSNSを悪用した嫌がらせをしたり、桜木先生をバイクで海に突き落としたり、大変なことをやらかしたとんでもない不良なのです。

 それが桜木先生に厳しく喝を入れられてから改心し、勉強にも興味を持ち始め、あれよあれよと東大専科に入ることになったのでした。

◆1年後には確実に東大合格を果たすと確信

 第1話から比べて、一番変わったキャラクターは誰かと問われれば、この2人こそ劇的な変化をしたといえるのではないでしょうか。

 彼らは共通テストの結果がよくなかったため、東大二次試験を受けることができず、来年にかけることになりました。

 共通テストの点数だけで考えれば、1年で取り返すのは非常に難しい状況ではありますが、僕は「ヤンキー2人組は来年必ず東大に合格するだろう」という確信があります。

 今回は僕が「ヤンキー2人組は必ず来年東大に受かる」と思う3つの根拠をお伝えします。

◆根拠①「東大の合格発表に行っている」



 最終回、合格発表の場で発達障害を抱える原健太くんが、意地の悪い他校の受験生に絡まれてしまうというシーンがありました。

 この窮地から原くんを救ったのが、小橋と岩井のヤンキー2人組だったのですが、よくよく考えると、この状況は非常に違和感があります。

 その違和感とは「なぜ、東大を受験すらしていない彼らが、わざわざ東大の合格発表に来ているのか」ということです。いくら親友が受験しているからといっても、受験すらしていない学校の合格発表をわざわざ見にいくことなんてありません。

 それでは、なぜ彼らはこの場所にいたのでしょうか。それは「1年後に控えている東大受験に対してモチベーションをあげるため」であると僕は考えています。

◆合格発表の「異様な雰囲気」がもたらす効果

 ドラマ本編でもあったように、合格発表の場というのは非常に異様な雰囲気が漂っています。あるところでは合格に笑い、またあるところでは不合格に泣き、さまざまなドラマが展開されるのが「合格掲示板の前」というスポットなのです。

 であるからこそ、ここは「合格した自分」と「不合格になった自分」をどこよりもリアルに想像しやすい場所でもあります。「来年、自分も合格したい」という思いを強めるためにはうってつけの場所といえます。

 東大の二次受験を受ける以前の段階で敗れた身であるにもかかわらず、あえてこの場所に行くことにより、「来年こそ負けるものか」という思いを奮い立たせていたのではないでしょうか。

◆根拠②「他人思いの行動ができている」



 第1話でこそ、桜木先生と水野先生とを陥れるためにさまざまな汚い手を使っていた彼らですが、第2話以降ではどんどん人がよくなっています。

 当初は桜木先生が使うためにバイクを持ってくるというような小間使い程度の役目しかしていませんが、話が進むにつれて、その行動に自主性が入っていくのです。

 たとえば、勉強合宿を行う回では勉強に疲れた生徒たちのために手作りカレーを振舞っていました。「ヤンキー2人組は桜木先生の舎弟だから逆らえない」という見方もあるかもしれませんが、それにしたって、わざわざ夜まで学校に居残って同級生のためにカレーを作ってあげるものでしょうか?

 さらに最終話でもその人のよさは発揮されていました。

 意地の悪い他校の受験生に絡まれている原くんを助けるシーンでは颯爽と現れ、原くんを助け出しました。しかも、その後の合格発表の場では、ほかの生徒の合格を心の底から喜んでいたのです。

◆「東大入試突破の基本技術」はすでに体得済

 作中、実際に東大入試で出題された問題を引き合いに出したうえで、「自分中心」的な視点しかない人間は東大には落ちると桜木先生が明言していました。

 それは広い視野を持って多角的な視点から物事を考えることができなくなってしまうためです。ある種、これこそが東大の求めている「思考力」の本質といえるでしょう。

 最初の頃こそ、2人は自己中心的な振る舞いしかできていませんでしたが、この1年間で、他人を思いやるということが自然にできるようになっていました。

「多角的な視点から考える」という東大入試突破の基本技術もきっと身についていることかと思います。

◆根拠③「勉強の習慣がついている」



 彼らにはまったく勉強の習慣がありませんでした。しかし、生徒のために奮闘する桜木先生や、その激励を受けて全力で勉強に取り組んでいく東大専科チームに感化されて、自分から学習するようになります。

 これこそが東大専科チームと彼らとの最大の違いになります。

 もともとは同じ落ちこぼれでも、東大専科チームはあくまで桜木先生からのまっすぐかつ強烈な啓発があってこそ、勉強に臨んでいました。しかし、彼らヤンキー2人組は東大専科チームの頑張りに感銘を受けて、自分たちで参考書を用意し、勉強するようになったのです。

◆モチベーションと主体性を兼ね備える

 勉強というものは正しい方法で努力すれば、誰でも成績が上がります。しかし、それでも「勉強が得意」という人はなかなかいないでしょう。

 それはある程度以上の長い期間、じっくりと腰を据えて取り組む必要があるためです。この「長期間継続する」ということを実現するために欠かせないのが、何よりも「自分から勉強に取り組む」というモチベーションと主体性なのです。

 その意味で、彼らは作中の誰よりもポテンシャルがあるといえます。

◆現時点での点数も実は十分に挽回可能な範囲

 現時点での彼らの点数(共通テスト430点前後)は悲観すべきものではありません。

 この記事の冒頭で「1年で取り返すのは非常に難しい状況」と表現しましたが、実は僕自身、高校3年生の春時点では450点程度しか取れませんでした。

 僕のときはセンター試験でしたが、当時の僕と最終話時点での小橋、岩井とは基礎学力に大きな差がないと予想できます。

 さらに彼らには東大専科という強力なバックアップチームがあります。同じく1年後の東大合格を目指す藤井くんもきっとまた力になってくれるでしょう。

◆「ヤンキー2人組のその後」を描いたスピンオフに期待!

 同じ目標を目指す仲間がいることがどれだけ強く背中を押してくれるかは『ドラゴン桜』をご覧になった皆さんなら十分におわかりかと思います。

 そして、彼らには何よりも「絶対に東大に行く」という強い意志があります。であるからこそ、僕は「ヤンキー2人組は絶対に来年東大に合格する」と確信しているのです。

 大人気のままに終了した『ドラゴン桜』ですが、さらなるスピンオフ作品もしくは続編などが期待されます。ヤンキー2人組のその後を描いた作品が出てほしいものですね。

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa

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