箱罠

20世紀初頭にニホンオオカミが絶滅して以降、生態ピラミッドに頂点捕食者がいない日本の森林生態系。それもあってか、2019年度の鳥獣による農作物被害額は158億円に及んでいる(農林水産省発表)。

中でも、シカによる被害は53億円、イノシシによる被害は46億円とこの2種がとくに突出している状況だ。


■4種の狩猟免許

こうした野生鳥獣対策の目的を含めて、日本では網猟・わな猟・第一種銃猟(ライフル銃・散弾銃)・第二種銃猟(空気銃)の4種の狩猟免許が定められている。

わな猟で使われる道具のひとつが「箱罠」。動物が中に入ると入り口が閉じ、動物を捕獲する仕組みだが、今ツイッターでは箱罠の衝撃的な写真が話題となっている。


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■頑丈そうな箱罠が

こちらは新米ハンターまるちゃんさんが5日、投稿したツイート。投稿には「えっ…」とコメントされているのだが、そこには驚くべき光景が写されていた。

写真を見ると、金属でできた頑丈そうな箱罠の入り口が無残な姿に。しかも外からではなく内側から外に向かって曲げられているということは、捕獲された生物が力づくで脱出したようだ。

■驚きの声が拡がる

投稿には「す、凄い…」などの反響とともに「一体どんなモンスターが」「ケンシロウでも捕まえてたのかしら…」などといったコメントもあり、あまりの光景にユーザーも驚きを隠せないようであった。

また、内側から曲げられていたことから「突進して、というよりは腕力で曲げたようにも見えますね。そうすると熊?」などと考察する意見もあり、ユーザーもその正体に興味津々な様子。そこでしらべぇ編集部は、投稿者に詳しい話を聞いた。


■箱罠を壊した正体

狩猟免許を取得したばかりというまるちゃんさん。実家の畑が猪の被害にあっており、それを防ぐためと、猪肉を自分で獲って食べたいという思いから取得したそうだ。

箱罠を設置していた場所は熊や鹿は生息域範囲外なので、ねじ曲げた正体は「猪で間違いない」とのことだ。

■鼻先で70kg持ち上げる力も

ニホンイノシシは成獣の体重は60kg~100kgほど。体長は140cm~170cm前後といわれている。「猪突猛進」という言葉があるが直進しかできないというイメージは誤りで、急停止や急発進、急な方向転換も可能で時速45kmで走ることも可能といわれている。

また、鼻先で70kgの物を持ち上げる力がある上に突進力も強く、その攻撃は同じ体重の人間の攻撃よりも何倍も速いといわれており、大人の人間でも跳ね飛ばされて大けがを負う危険があるほどだ。


■ごく稀に壊されることはあるが…

ちなみに箱罠が壊されたのは今回が初めてということだが、投稿者が周りの人に聞いてみたところ、「ごく稀に壊されることはある」という。しかし今回のように、ここまで見事に壊されるはないとのことだった。

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(取材・文/しらべぇ編集部・中島隼貴

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