休校中に行われたユニセフのワークショップに参加する15歳のマーガレットさん。(南スーダン、2021年3月撮影) (C) UNICEF_UN0430065_Naftalin
【2021年7月6日 ニューヨーク/ジュネーブ/ナイロビ/ジュバ(南スーダン)発】

南スーダンの独立10周年を前に、ユニセフ(国連児童基金)は、同国では子どもの3人に2人に相当する450万人という記録的な数の子どもたちが、人道的支援の必要性が非常に高い切迫した状況にあると、警鐘を鳴らしました。ユニセフは、報告書『「私たちの叫びに応えて」- 緊急支援を待つ南スーダンの子どもたち(原題:” Respond to our cry – Children’s urgent needs for help in South Sudan)』の中で、独立によってこの国の子どもたちに新たな夜明けが訪れるという期待は薄れていると伝えています。暴力と紛争の繰り返し、気候変動による洪水や干ばつなどの異常気象、経済危機の悪化などにより、食料不足が極めて深刻化し、世界最悪の人道危機のひとつとなっています。最近の和平合意は部分的にしか実施されておらず、これまでのところ、この国の子どもや若者が直面している課題を改善することはできていません。

ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは、「2011年に国が誕生したときに南スーダンの子どもたちや家族が感じていた希望や楽観は、徐々に落胆と絶望に変わってきています。今南スーダンの10歳の子どもたちの多くは、暴力、危機、権利侵害に苦しみ続ける子ども時代を送っています」と述べました。

南スーダンでは約830万人が人道的支援を必要としており、これは2013年から2018年にかけての内戦時に見られたレベル(610万人から750万人)をはるかに上回っています。南スーダンは子どもの死亡率が世界でも最も高い国のひとつで、10人に1人が5歳の誕生日を迎えられないと言われています。

特に懸念されるのは、深刻な食料不安です。今年は約140万人の子どもたちが急性栄養不良に陥ると予測されており、これは2013年以降で最も高い数字です。また、これまでで最も多い30万人以上の子どもたちが、最も深刻な栄養不良状態に陥り、治療が行われなければ命を落とす危険性があると見られています。
栄養不良、下痢、発熱、嘔吐の症状があり入院していたが、治療のおかげで回復しつつある生後7カ月の赤ちゃん。(南スーダン、2021年5月撮影) (C) UNICEF_UN0475235_
また教育へのアクセスが制限され、中途退学率が高いため、280万人の子どもたちが学校に通っていません。学校に通っていない子どもの割合は、学齢期の子どもの70%を超え、世界で最も高い割合となっています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる14カ月間の学校閉鎖により、さらに200万人の子どもたちが学校に通えませんでした。

不安定な状況は続いていますが、ユニセフは、子どもたちの急性栄養不良のスクリーニングと治療を拡大するためパートナーと協力して活動しており、2021年には140万人の子どもたちを支援できる見込みです。清潔な水へのアクセスや衛生環境の改善、基本的な保健ケアへのアクセスの確保も、教育へのアクセスとともに、ユニセフの最優先事項のひとつです。

しかし、資金は依然として不足しています。ユニセフは今年、最も厳しい状況にある子どもたちを支援するために、1億8,000万米ドルを必要としています。今年の半分が過ぎた時点で、この要請に対する資金支援は3分の1に過ぎず、より広範な人道支援計画も同様に資金不足に陥っています。支援ドナーは南スーダンへの予算をすでに削減したか、まもなく削減すると通告しています。南スーダンはこれから、収穫が少なく洪水のリスクが高まる季節に入り、危機はさらに悪化するでしょう。早急に対策を講じなければ、命が失われることになります。

ユニセフをはじめ人道支援機関が十分な資金が得られなければ、子どもたちや家族には何の支援も届かないことになります」とユニセフ南スーダン事務所代表のアンドレア・スレイは訴えます。「家族を脅かし、人道的アクセスを妨げる暴力や情勢不安が広がり、十分な資金がない状態が続けば、保健センターや栄養センターは閉鎖され、井戸は修理されず、ワクチン用冷蔵庫の電力を供給する発電機の音もすぐに消えてしまうでしょう」

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ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

配信元企業:公益財団法人日本ユニセフ協会

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