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(写真:アフロ

「『富岳』での試算結果では、国立競技場の客席スタンドで、全員がマスクをした状態、さらに観客の間に空席を設けることで感染リスクが下げられることなどがわかりました」

7月6日の定例記者会見で、こう語ったのは文部科学省の萩生田光一大臣(57)。東京五輪パラリンピックのメイン会場である新国立競技場での新型コロナの感染リスクについて、萩生田大臣の指示のもと理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」で飛沫感染を解析したという。

6月に実施された政府やIOC、大会組織委員会などによる5者協議では、観客人数を「上限1万人」とする方針が決定。そのことから萩生田大臣は、会場内の観客人数を1万人としてシミュレーションしたという。

解析の結果として、「客席後方から風が吹いている条件では感染リスクは限りなくゼロに近い」と説明した萩生田大臣。続けて、「客席の前方から風が吹いている条件では、仮に1万人動員した場合の新規感染者数の試算は1名に満たない程度」と述べた。

さらに萩生田大臣は、「観客にはマスクをしていただき、席を空けて座っていただく前提なので、国立競技場に限っては極めて感染拡大は抑えることができるということが科学的にも証明できた」とも主張したのだった。

■コロナ禍では相次ぐ要請でエンタメ業界が苦境に……

「富岳」が昨年6月と11月に続き、3期連続で世界1位となったことにも触れ、解析結果に自信をのぞかせた萩生田大臣。だが五輪開催直前になって“五輪会場は安全”とのアピールは、コロナ禍で様々な要請に応じてきた国民に受け入れられるのだろうか。

昨年以降、多くのイベントや舞台、映画館などは、萩生田大臣が挙げた“人数制限・着席・席間確保・マスク着用”といった条件のもとで運営を行ってきた。

「昨年2月に安倍晋三前首相(66)が大規模イベントの中止・延期を要請したことを機に、エンタメ業界は打撃を受け続けています。その後も緊急事態宣言が出される度に、多くの運営サイドは政府や自治体の方針に従って感染防止策を講じてきました。

今年4月に発出された3度目の宣言下では、イベント開催は原則無観客に。いっぽうで宣言延長に伴って、劇場や演芸場などは有観客での営業が許可されました。ですが1,000平方メートルを超える映画館などは、引き続き休業要請の対象とされたのです。区別の根拠が不明瞭なため、『なぜ映画館だけがダメなの』といった声が殺到していました。今回の萩生田大臣の説明ですと、“五輪だけ特別”と受け取られかねないでしょう」(プロモーター関係者)

“「富岳」のお墨付きがあるから五輪は大丈夫”と言わんばかりの萩生田大臣に、ネット上では「納得がいかない」との声が相次いでいる。

《今までの自粛は何やったん》
《ちょっと待って。それじゃ映画館って閉めなくても良かったんじゃない?》
《今まで根拠なしの自粛を各方面に強いといて、オリンピック近づいたらこれですか。どんだけご都合主義やねん》
《これまであれほど劇場やライブハウスやホールに厳しい規制かけといて、五輪開幕直前になったら「スパコンで試算したら一万人でもほぼ感染確率ゼロっす」って、さすがにあんまりじゃね》