しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系)の7月5日の地上波では、しくじり学園の看板講師・カズレーザー先生による「現代アートの価値がわからず、恥をかかないためのお授業」を放送。あわせて、地上波放送直後にABEMAでは、カズレーザーの授業完全版と「お笑い研究部」の「オズワルド畠中を考える」を公開した。

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■価値がわかりにくい“現代アート”を、カズレーザー先生の視点で徹底分析

これまで、カズレーザーは人気アニメ作品やゲーム機しくじり、「ガセネタに惑わされないための授業」など異色の授業を行い、「ガセネタに惑わされないための授業」ではギャラクシー賞テレビ部門を受賞。そんなカズレーザーは、今回、自身も好きだという“現代アート”をテーマに授業を展開した。

昨年2020年、イギリスロンドンの電車内で世界的に有名なアーティスト・バンクシーの新作が見つかったが、最低でも数千万円の価値を持つ作品であるにもかかわらず、清掃員が落書きと間違えて消してしまうというアクシデントが発生。カズレーザーは、このように現代アートは価値がわかりづらいものが多いと説明する。

しかし、現代アートが何なのかわかれば「“億”で売れる絵が描けるようになるかもしれない」と生徒たちを焚きつける。

■ゴミと間違えられた作品も

今回、現代アート界で起きたしくじり事件を題材に授業を展開する中で、最初にカズレーザーが紹介したのは、2015年、イタリア北部の美術館で起きた「ボルツァーノ美術館新進気鋭アーティスト大激怒事件」。この美術館には、ゴールドシュミート&キアリという女性2人組アーティストのアートが展示されていたが、展示から数日後、ゴミと間違えられて片付けられてしまったという。

彼女たちのアートは、シャンパン空き瓶や使い終わったクラッカーなどを丸々ひと部屋に配した作品で、また、実際に展示会初日にオープニングパーティーが開かれていたことから清掃員が勘違い。2人は「ひどい出来事だ!」と大激怒したという。

カズレーザーは、なぜゴミと勘違いされるようなものに価値があるのか、それこそが現代アートに価値が生まれる3大要素のひとつだと解説。つまり現代アートは、“インパクトのある話題性”が評価される。今まで誰もやっていないインパクトのある手法と、その話題性が評価されるのだと話す。

マヂラブオードリーハライチ現代アート

なぜ美しさより話題性が評価されるようになったのか。カズレーザーいわく、そのきっかけは“現代アートの父”と呼ばれるマルセル・デュシャンが1917年に発表した「泉」という作品にあるという。「泉」は既製品の便器に架空の人物のサインを描いただけの作品で、これは芸術なのか議論が巻き起こり、作者がデュシャンだとわかるとさらに論争が過熱した。

カズレーザーは、マルセル・デュシャン以前のアート界では「見た目の美しさや高度な技術こそがアート」という価値観だったのに対し、デュシャン以降は「目に訴えかける美しさだけがアートじゃない。脳に訴えかけるインパクトこそがアート」というように基準が変わってきたと分析。

その構造をお笑いに例えると、漫才なのにほぼしゃべらないというインパクトのある手法で「M-1チャンピオンとなったマヂカルラブリーも「“漫才論争”が起きた時点で現代アート」と断言。

ほかにも「演奏しないビジュアルバンド・ゴールデンボンバー」や「大御所にもため口でグイグイいくフワちゃん」「大人数のアイドルの選挙をエンタメにしたAKB48」もアートだと説明した。

「漫才じゃない」との声が起きたこともあったオードリーの“ズレ漫才”や、ハライチの“ノリボケ”もアートだと指摘するが、平成ノブシコブシ・吉村崇だけは「…なんかありましたっけ?」と真顔。吉村は「おれは芸人じゃないっていう論争が起きてる」と自虐で教室を沸かせた。

しくじり学園の看板講師・カズレーザー先生が登場/(C)テレビ朝日