オリンピック・東京五輪

東京五輪パラリンピックの開催に反対し、トーマス・バッハIOC会長の来日で怒りがマックスに達した抗議者たち。10日、東京・港区のホテル前でそんな40名が抗議デモを行った。その映像や写真は今、海外のメディアやSNSにも拡散している。


■日本のメディアは気遣いも?

五輪招致活動では温かいホスピタリティを、「お・も・て・な・し」として約束していた日本。しかし、バッハ会長が実際に来日したところ、豪華5つ星ホテルのスイートルームは居心地が良くても、外は「バッハ帰れ」「出ていけバッハ」「ヒロシマに行くな」のシュプレヒコールだ。

デモは無礼な行為で日本のイメージに傷がつくとでも感じてしまうのか、それとも、報じることでバッハ会長がデモを知ってしまうことが怖いのか、その話題に踏み込む日本のメディアは意外にも少なかった。


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■動画や写真も話題に

ところが海外のメディアは違った。英『ヤフーニュース』、米『MSN News』、ロシアの『RUPTLY』、『Japan Today』などが続々とアンチ・バッハを叫び、五輪中止を訴える抗議デモについて報道。

多くは大手ニュース配信会社『Newsflare』の、“’No Olympics’ protest outside Tokyo hotel of IOC President Thomas Bach(トーマス・バッハIOC会長が宿泊しているホテル前で『五輪中止』の抗議デモ)”という記事を引用し、動画や画像はSNSでも話題を呼んでいる。

デモは、民主主義国家に生きる者が不満や怒りの声を上げる当然の権利、手段であり、欧米諸国では頻繁に行われている。そのため事実を淡々と伝えるメディアばかりで、批判の報道はまず見当たらない。

■邪魔をする警察への批判も

福島県の野球とソフトボールの会場も無観客」と伝えるなか、デモについて触れたのは『JAPAN TODAY』。その記事のコメント欄では、「これは無礼だ」という声に多くのマイナス・ポイントが付いている。

一方、バッハ会長の冷血な姿勢や拝金主義を批判する声や、「Twitterで話題になっているが、警察はなぜ彼らを追い払おうとし、邪魔するんだ」という声に多くのプラス・ポイントが。ほかには「この抗議者たちこそが、日本国民のために最善を尽くして行動しているということを警察は理解できないのか」という声も多くの支持を得ているようだ。


■日本人は慎重な気質

バッハ会長には「日本は流行をうまく抑えられている。他国に比べれば感染者数など大したことない」という意識が根底にあり、日本の無観客の決断に苛立ったとも報じられている。

だが、五輪の開催で新型コロナの感染爆発が起き、来日した者がウイルスを母国に持ち帰れば、日本政府は五輪史に残る「A級戦犯」扱いされるかもしれないのだ。各都道府県の知事、市長らも含め、慎重な姿勢をとるのは当然のことではないだろうか。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

「バッハ帰れ」抗議デモを海外も報道 「警察はなぜ邪魔する」のコメントに支持多数