アメリカでは大麻(マリファナ)の合法化が進んでおり、現状では、コロラド、ワシントンDC、アラスカ、ミシガンを含む19の州が合法化された。これによりある問題が生じている。
これまで活躍していた多くの麻薬探知犬が仕事を失うこととなるのだ。
麻薬探知犬として訓練を受けた犬は、多種の違法薬物の匂いを嗅ぐことはできても、それがマリファナなのか別の薬物なのかを区別して伝えることはできない。
その為、マリファナが合法化された州では、今後犬を使うことは誤認逮捕に繋がる恐れもあるとして、麻薬探知犬の早期引退という手段に踏み切っているようだ。
Chesapeake Police retires K9s after marijuana becomes legal
同州クウェイ郡トゥクムカリ警察署のFacebookでは、1匹の麻薬探知犬が既に引退したことを報告した。
K9のアリエスが、2021年6月29日本日をもって引退したことを祝福します。娯楽用マリファナの合法化により、K9アリエスは麻薬探知犬としての活躍を継続できなくなりました。
2015年2月12日にトゥクムカリ警察署でキャリアを開始したアリエスは、マリファナやメタンフェタミン、ヘロインやコカインおよびMDMA(エクスタシー)を検出する薬物認定の訓練を受けた他、追跡と検索の資格も持っています。
今年7歳になるアリエスは、いつも非常に仕事熱心でした。
ハンドラーと仕事を組んでいた時も、仕事に行く時間をきちんと知っていました。アリエスは、何百もの刑事事件の中で数え切れないほどの麻薬の検出をし、多くの犯罪者を追跡しました。
引退後は、ハンドラーのショーン・スレート警官と一緒に、余生を楽しむことになります。もう長くて厳しい仕事も、薬を検知する作業も追跡もしなくてもいいのです。
スレート警官は、アリエスはこれからたっぷりと好きなことをして、残りの時間を楽しんでもらいたいと話しています。
アリエスの引退はとても惜しまれるものですが、アリエス、長い間お疲れ様でした!
一度訓練された犬は大麻と他の薬物の嗅ぎ分けができない
大麻合法化によって、これまでの麻薬探知犬は早期引退を余儀なくされることになるわけだが、これは犬が一度特定の動きを訓練されると、それに従事する習慣があるため、訓練し直すのが難しいという事情もあるようだ。今までの麻薬探知犬は、多種の薬の匂いを嗅ぐことはできても、それぞれがどんな種類の薬であるかを伝えることができない。
そのため、今後マリファナが合法化された州では、犬がニオイで警告を発し警察が疑いのある人物の家を捜索しても、その他の違法薬物との区別がつかなければ相手の権利侵害となり得る。
それを避けるため、警察は麻薬探知犬を使わないという結論に達したという。
例えば、バージニア州警察では7月1日からマリファナが合法化され、21歳以上の成人であれば1オンス(約28g)までのマリファナを嗜好目的で所持することが可能になったことから、既に13匹の麻薬探知犬が早期引退を強いられた。
Local law enforcement, state police to retire K9s as marijuana becomes legal in Virginia
同州警察では、現在新たな犬を購入し、訓練しているが、その費用は高く、多くの州警察が予算の捻出に困難を抱えているようだ。
引退を余儀なくされた警察犬はどうなってしまうのか?
そこが一番心配なところだが、ほとんどの犬がハンドラーの家で余生を過ごすことになるという。
written by Scarlet / edited by parumo
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