「現代ホスト界の帝王」としてメディアで名をはせ、現在はROLAND GROUP ホールディングスのトップとして企業経営者としても活躍するROLANDが、「俺か、俺以外か。ローランドという生き方」から約2年ぶりに、2冊目となる著書「君か、君以外か。君へ贈るローランドの言葉」を上梓した。「緊張は成長痛」など、今回の書籍にも数々の名言がちりばめられているが、こうした言葉はどこから生まれてきたのか、そして今回執筆にいたったモチベーションなどを聞いてみた。

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■等身大の自分を出せるようになった、というのは自信の裏返し

――「君か、君以外か。」は、これまでと違い、過去や現在の苦労を包み隠さず書いています。1年前から始められた YouTubeも、これまで見せてこなかったROLANDさんをさらけ出していますが、どんな理由があるのでしょうか。

ROLAND 等身大の自分を出せるようになった、というのは自信の裏返しなんですよ。人によっては「私生活の切り売り」と見る人もいるかもしれませんけれど。まあ、あんまり飾らなくても自分のことを好きになれた、というのが大きい変化ですね。

――これまでは飾る必要があった?

ROLAND 飾っていたというか、ファンが喜ぶ姿を見たかったんですよ。喜ばせるためにカッコイイところを見せたいな、と思っていたんですけれど、自分が飾らなくても魅力的だな、と思うようになった結果、本の中でも「昔はカッコつけていた」「僕もそんなに大した人間ではないですよ」みたいなくだりもあるんですけれども、そういったことを自分で言えるようになったのは成長なのかな。

――こうした変化はコロナ禍の影響が大きいのでしょうか?

ROLAND 世界全体が元気がなかったので、少しでもポジティブに、世界が明るくなればいいなという気持ちで書きました。コロナ禍であったことも、この本を書くモチベーションの一つになっいてますね。

――書籍の中にある「緊張は成長痛」という言葉は、ROLANDさんのYouTubeに出演していた和田アキ子さんも納得されていた名言です。こうした言葉が出てくるのは、読書家であるゆえんかとも思ったのですが、どんな本を読まれますか。

ROLAND 総合的にまんべんなく色んな本を読みますよ。時には漫画だったり、時には小説だったり。自己啓発本も読みますし。デール・カーネギーの本は好きで読んでいましたけれど、特別この1冊がいい、というのはなかなかないかな。様々なものから吸収している、というところですね。

――本を選ぶ基準は?

ROLAND んー…。その時その瞬間に気になってしょうがないと感じるものでしょうか。特に基準はないですね。

■「カッコイイ経営者である」というのを追求したい

――ところで最近YouTubeでジャルジャルさんのコントに角刈り姿で出演していましたが、芸人さんとのコラボ動画はこれからも考えているのでしょうか?

ROLAND いや、ないですね。芸人さんとコラボしたいというより、ジャルジャルさんが好きだったから(コントに)出たんです。スタッフとも話していますが、基本的には金額どうこうよりも好きなことしか仕事にしたくない、という基準があるんですよ。ただ、たまには少し気の進まない仕事を引き受ける時もあるんですけれど。

――最近もあるんですか?

ROLAND 僕、スチール撮影が好きじゃないんです。写真を撮られるのは苦手なんですよ(笑)。

――今日の撮影でもあんなに決まっていたのに (笑)。

ROLAND …本当に苦手なんです。でも、こういうインタビューでお話するのは好きですから、総合的に見れば好きなことをやっている。今後も変わらないです。

――最近も事業を拡げていらっしゃいますが、逆境をバネにする力の源泉はどこにあるんでしょう?

ROLAND ネガティブなことがあったとしても、ポジティブな部分はないのかな、というのを探すクセがついていたのが大きいんですかね。ネガティブなものをネガティブにとらえるのは簡単なんですよ。ここを耐え抜いたら明るい未来が待っているな、と考えたら問題ないですね。

――今後、経営者としては店舗を増やすなどの展望はありますか。

ROLAND 自分の追いかけているものの最優先がお金ではないので、事業としての数値的な目標はあまりないんですけれど、「人に喜ばれるサービスをしたい」「カッコイイ経営者である」というのを追求したい。品のいい大人になっていたいというところです。

――昨年のコロナの影響で経営されていたホストクラブの閉店を余儀なくされましたが、復活は考えられていますか?

ROLAND コロナがいつ落ち着くか、というのはわからないですけれど、物件は保持しているので、時期が来れば必ず再開するつもりです。

――経営だけでなく、ご自身の語学にも力を入れているそうですね。

ROLAND 1作目を中国語に翻訳していただいて、海外の方にも読んでいただいた。日本の方に影響を与えられたのはもちろんうれしかったんですけれど、海の向こうの方も感動してくれた、というのがうれしくて。それで、直接言葉を届けられるようになればうれしいなと思って、今年から本格的にレッスンを始めました。

■自分の銀行口座が少しゴージャスになるくらいなら寄付をする

――今1作目のお話が出ましたが、その1作目も今回も、著者印税は全額寄付にされていますね。

ROLAND 1作目は印税を自分のために使おうと思っていたんですが、下心があるとなかなかうまく書けなくて。それで「どうせ書けないし、別に売れないし…」と思ってみんなのために書き始めたら、うまく筆が進んで。結果的に30万部以上売れた。なので、2作目も印税で自分の銀行口座が少しゴージャスになるくらいなら寄付をする、というのがモチベーションのひとつですね。

――今の時代、特に本という形にせずとも寄付はできそうですが、あえて「書籍」という形にしたのはどうしてなのでしょう。

ROLAND 僕は自分のことを芸能人とは思っていなくて、有名人であることにこだわりがないんです。自分がもし仮に明日いなくなったとしても、本だったら残るじゃないですか。僕を応援してくれている方へのメッセージは、いつ僕がいなくなってもいいように、この本に伝えたいことは書いてあります。

あと、3作目は考えていないです。今回も作る過程は楽しかったし、完成した本を見たらうれしいんですけど…まぁ作るの大変で…。もう一生書きたくないと今は思っていますね(笑)。

――(笑)1作目よりも大変でしたか。

ROLAND 1作目は真っ白なキャンバスに書けばいいだけだったんですけれど、2作目は僕の人となりもある程度知ってくれた中で「今更書く内容でもないな」という取捨選択の作業が大変でしたね。3作目ねぇ…書けないと思います。

――1作目が売れたからこその「生みの苦しみ」があったわけですね。

ROLAND 映画でもなんでも2作目というのは大変な生みの苦しみがあると思います。でも、「もう書きたくない」というのはそれだけ自分のすべてを振り絞ったということですからね。それくらい自分をさらけ出して一生懸命書いた本です。

取材・文=中西啓

ROLANDが2冊目となる著書を上梓/ 撮影=後藤利江