東京五輪の開幕が目前だ。プレミアリーグからはどんな選手たちが参加するのだろうか。

 プレミアリーグの開幕は8月13日。五輪で決勝まで進めば同7日まで試合がある上、日本からイングランドに入国した後は10日間の隔離期間が発生する。こうした背景もあり、クラブ側に選手を派遣する義務がない五輪には、自らの意思とは別に参加できない選手もいる状況だ。

 イギリスメディア『フットボール365』が各クラブの派遣事情をまとめている。

※所属クラブは7月16日現在
[写真]=Getty Images

◆■アーセナル:1名

ガブリエウ・マルティネッリ(ブラジル/FW/20歳)

 2019年にブラジル4部のイトゥアーノからアーセナルに加入し、1年目に公式戦で10得点を達成したマルティネッリ。しかし負傷に泣かされた昨季は出場機会が激減し、得点もわずか「2」に終わった。五輪で再ブレイクのきっかけをつかみたいところだ。

アーセナルからは当初、DFガブリエウ・マガリャンイスもU-24ブラジル代表に招集されていたが、右ひざの負傷で離脱している。

◆■アストン・ヴィラ:1名

ドウグラス・ルイス(ブラジル/MF/23歳)

 アストン・ヴィラからは中心選手の一人が東京のピッチに立つ。準優勝に終わった今夏のコパ・アメリカにも参加し、A代表でも8キャップを有するドウグラス・ルイス。2019年に加入したアストン・ヴィラでは1年目にチームをカラバオ・カップ決勝にチームを導いた他、2シーズン連続でのプレミア残留に大きく貢献。守備的MFとして不動の地位を確立した。古巣であるマンチェスター・Cを含め、複数のビッグクラブが獲得に動いているとの噂も浮上している。

◆■ブレントフォード:0名 ◆■ブライトン:2名

トゥドール・バルツァ(ルーマニア/MF/22歳)
アレクシス・マック・アリスターアルゼンチン/MF/22歳)

 ブライトンからは中盤の2選手が参加する。バルツァはブライトンの選手としては2年前のカラバオ・カップで一度ピッチに立っただけだが、ルーマニア代表キャップはすでに「6」。2019年にはU-21欧州選手権でベスト4入りも経験している。中盤の攻撃的なポジションならどこでもこなすアルゼンチンU-24代表のマック・アリスターは、ブライトンでは攻撃の貴重な切り札。13日に行われたU-24韓国代表との親善試合では長距離弾を決めており、準備は万端の様子だ。

 なお、地元紙『ブライトン&ホーヴ・インデペンド』によれば、ブライトンはFWパーシー・タウを、U-24南アフリカ代表にOA枠で派遣することは拒否した模様。初戦で対戦する日本にとっては朗報といえるかもしれない。

◆■バーンリー:1名

クリスウッドニュージーランド/FW/29歳)

 バーンリーはスーパーエースのクリスウッドを東京に送り出した。2017年に当時クラブ記録の1500万ポンド(約22億円)でバーンリーに加入したウッド。そこから4年連続で二桁得点を達成し、全てのシーズンでクラブ得点王に輝いている。2012年のロンドン五輪にも出場。チームはグループで敗退したが、当時20歳だったウッドは同国にとって大会唯一のゴールを決め、しっかりと爪痕を残した。6月には地元紙に対し「どのカテゴリーでも国を代表することを誇りに思う。チャンスがあれば出たいけどバーンリー次第だ」と五輪に対する思いを語っていたウッド。熱い願いは尊重されたようだ。

◆■チェルシー:0名

 昨季の女子チャンピオンズリーグ(CL)で準優勝したチェルシー・ウィミンからは、オーストラリア代表FWサム・カーを含め11名が東京五輪に参加する。

◆■クリスタル・パレス:1名

ジェイ・リッチ・バグエルー(オーストラリア/DF/21歳)

クリスタル・パレスのトップチームではまだデビューを飾っていない21歳のセンターバック。しかしU-23チームでは中心選手の一人であり、昨シーズンは「プレミアリーグ2」の昇格プレーオフ準決勝で1得点1アシストを記録。決勝ではクリーンシートに貢献し、チームを同リーグの1部昇格に導いた。空中戦に強く、足元も得意で、「攻撃参加が好き」と語る長身DFにとって五輪は、パトリック・ヴィエイラ新監督にアピールする絶好の場となりそうだ。

◆■エヴァートン:1名

リチャーリソン(ブラジル/FW/24歳)

 強靭な身体の持ち主であることは間違いないようだ。ワトフォードに加入した2017年夏以降、休むことなくピッチに立ち続けているリチャーリソン。過去4年間でクラブでは計160試合に出場。2018年9月にデビューを果たしたブラジル代表でも3年足らずで32回もピッチに立っている。

昨季のエヴァートンでは公式戦40試合でプレーをし、この夏に行われたコパ・アメリカでは決勝までの全7試合に出場。休みも取らずに東京まで移動してオリンピックに参加することになる。それでも以前から、「年齢的にラストチャンスとなる今回の五輪に参加し、ブラジルの連覇に貢献したい」と語っていたリチャーリソン。望んだ色のメダルを胸にかけることができれば、さらにパワーアップしてマージーサイドに戻って来るはずだ。

◆■リーズ:0名

EURO2020にはカルヴィン・フィリップスをはじめ7人を派遣したリーズだが五輪招集者は0人。マルセロ・ビエルサ監督は2004年のアテネ五輪でアルゼンチン代表に金メダルをもたらしている。

◆■レスター:0名 ◆■リヴァプール:0名

 昨シーズンから話題となっていたU-24エジプト代表によるFWモハメド・サラーの招集問題。サラー自身もOA枠での参加に前向きだったようだが、リヴァプール側が招集を拒否したと報じられている。昨季はチーム最多タイとなる51試合に出場したサラー。しっかりとオフを満喫し、すでにリヴァプールのプレシーズンに参加している。

◆■マンチェスター・C:1名

板倉滉(日本/DF/24歳)

U-24スペイン代表へのフェラン・トーレスロドリの派遣は拒否したペップ・グアルディオラ監督。結果として、マンチェスター・Cの所属選手として五輪に参加するのは板倉だけとなった。ただし板倉は2019年1月にマンチェスター・Cと契約して以降、フローニンゲンにローン移籍をしていたために、まだプレミアリーグでは一度もプレーをしていない。

◆■マンチェスター・U:2名

アマド・ディアロ(コートジボワール/FW/19歳)
エリック・バイリー(コートジボワール/DF/27歳)

マンチェスター・UからはU-24コートジボワール代表として、MFアマド・ディアロとDFエリック・バイリーの2名が選出された。2選手の派遣はプレミアのクラブでは最多タイであり、ビッグ6の中では唯一だ。オーレ・グンナー・スールシャール監督は「誰もがオリンピックを見て育ってきたと思う。ウサイン・ボルトライアン・ギグスの活躍をね。子供の頃の夢を邪魔することはできない」と両選手を快く送り出す懐の深さを見せている。

◆■ニューカッスル:0名 ◆■ノリッジ:0名 ◆■サウサンプトン:1名

ケイレブ・ワッツ(オーストラリア/MF/19歳)

 ケイレブ・ワッツにとって2021年は特別な一年となりそうだ。今年1月19日にFAカップ3回戦シュールベリー・タウン戦でトップチームでのデビューを飾ったワッツ。その1週間後、アーセナル戦でプレミア・デビューを飾り、3月にも2度、プレミアのピッチに立った。ラルフ・ハーゼンヒュットル監督から期待を寄せられているのは間違いないだろう。イングランド生まれだが父親の母国であるオーストラリア代表を選択したワッツ。新シーズンはトップチームでのさらなる飛躍を誓う。

◆■トッテナム:0名

 Uー24韓国代表のキム・ハクボム監督は、トッテナムから許可を得ながら、ソン・フンミンを招集しなかった理由について、過密スケジュールを強いられてきた同選手を守る必要があったと説明した。『フットボール365』は“お気に入りの監督に追加”との表現で同監督の英断を称えている。

◆■ワトフォード:0名 ◆■ウェストハム:1名

ウィンストン・リード(ニュージーランド/DF/33歳)

ウェストハムから唯一の参加となるリードだが、3年以上も同クラブではプレーをしていない。ケガの影響もあり、2018-19シーズンの出場試合数は「0」に終わったリード。翌シーズンの後半はスポルティング・カンザスシティ(MLS)にローン移籍。昨季も途中からチャンピオンシップイングランド2部)のブレントフォードに加わり、74年ぶりのトップリーグ昇格に一役買った。2010年にウェストハムに加入した33歳のベテランDF。2012年にはロンドン五輪への参加を拒否したリードだが、今大会はチーム最年長としてチームを牽引する。

◆■ウォルヴァーハンプトン:1名

ラファ・ミル(スペイン/FW/24歳)

 2018年1月にバレンシアから加入したものの、ほとんどの期間をローン先で過ごしてきたラファ・ミル。ウルヴスでは加入直後に4試合に出場しただけで、ファンにも馴染みが薄い選手かもしれない。昨季はウエスカで38試合に出場し、13得点をマーク。チームを降格から救うことはできなかったが、注目を集めるのに十分な活躍はできた。ウルヴスとの契約期間は残り1年。新シーズンのプレー場所を確保する為にも五輪にかける意気込みは強いだろう。

(記事/Footmedia)

東京五輪に参戦するプレミア戦士 [写真]=Getty Images