俳優の中村蒼7月16日、東京・池袋の東京芸術劇場にて「Team申 第5回本公演『君子無朋(くんしにともなし)~中国史上最も孤独な「暴君」雍正帝(ようせいてい)~』」のフォトコール&取材会に登場。皇帝役の佐々木蔵之介について語った。

【写真を見る】真剣な表情の中村蒼

佐々木が主宰し、朗読劇も含め7作品を上演してきた演劇ユニット“Team申”の11年ぶりとなる同公演。ドキュメンタリー番組の中国ロケをきっかけに、佐々木が興味を引かれた、清の第五代皇帝で、玉座に座ることなく執務室で毎日20時間働くほど勤勉、最期は過労死との仮説が有力視される埋もれた皇帝“雍正帝”の生涯を描く。

脚本は同ドキュメンタリーを制作した阿部修英、演出は劇団桟敷童子の主宰で、ドラマ「めんたいぴりり」の脚本でも注目された東憲司が務める。出演は他に奥田達士、石原由宇、河内大和ら。

中村蒼「蔵之介さんは目の奥に鋭いものを持っている」

雍正帝のパワハラを最も受け、最も罵詈雑言を浴びた実在の地方官をモデルにした青年・オルグを演じる中村は「台本を読んで雍正帝のことを知り、毎日稽古していてもこんな人いたんだって驚くばかりなんですが、ほぼ史実なんですよね…」と阿部に確認。

「でも、その雍正帝に真正面から真っ直ぐぶつかっていくオルグを演じていくことで、雍正帝と、そしてそれを演じる蔵之介に魅せられていきました」と言い、「僕は雍正帝という人物はどんな人だろうというところから入って、さまざまなことを目撃して、最終的にその正体にたどり着くんですが、きっとお客さんもそうなると思います」と太鼓判。

「佐々木さん演じる皇帝と僕の演じる地方官は、なかなか他にはたとえづらい関係なんですけども」と前置きした上で、「僕の中での蔵之介さんは目の奥に鋭いものを持っていて、目の前でお芝居していると、何か勝手に試されているような感じがあって(笑)、僕は恐縮しちゃうんですね」と語り、「皇帝と地方官という関係性は、蔵之介さんの眼力のおかげで自然と作っていけたかなと思います」と笑顔を見せた。

稽古では「ただひたすら東さんの演出にしがみついて、キャストの皆さんに置いてかれないよう夢中にやって」いたそうで、「その夢中にもがいてるかんじが、結果的にオルグの真っ直ぐさや誠実さみたいなものになればいいなと思いながら」と振り返った中村。

「初日を迎えることですごく楽しみにしています。お客さんが入ることによって新たな反応を感じるし、それを感じながら演技ができることにとてもワクワクしていて。皆さんとこの作品を共有できることを楽しみにしています。オルグと共に雍正帝の謎に迫り歴史の目撃者になってもらえれば」とあいさつしていた。

Team申 第5回本公演『君子無朋~中国史上最も孤独な「暴君」雍正帝~』は、7月17日(土)~25日(日)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて上演。仙台、石川、広島、福岡、長野、新潟、そして8月17日(火)~29日(日)まで京都府立文化芸術会館で上演。

◆取材・文=坂戸希和美

実在の地方官をモデルにした青年・オルグを演じる中村蒼/※撮影=坂戸希和美