村田真優による人気少女コミックを原作に、「Snow Man」のラウール吉川愛というフレッシュなキャストで実写映画化した『ハニーレモンソーダ』(公開中)。映画単独初主演となるラウールは、漫画から抜け出たような美少年の三浦界役を、吉川は持ち前の演技力で、不器用なヒロイン石森羽花役を好演。そんな2人に、お互いの印象や撮影秘話などを語ってもらった。

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スラリとした長身に端正な顔立ち、レモン色の髪をした界は、塩対応にも関わらず学校では有名な人気者。そんな界が、中学時代に「石」というあだ名を付けられ、いじめられっ子だった羽花と出会う。少しずつ距離を縮めていく2人は、やがて互いにとってかけがえのない存在となっていく。2人の同級生役で、堀田真由濱田龍臣、坂東龍汰、岡本夏美ら若手俳優陣も出演している。

ーーお2人は初共演となりましたが、それぞれの印象を聞かせてください。

ラウール「最初に吉川さんとお会いした時、大人っぽくて“女優さん感”のある方だなと思いました。オーラがすごいのでビビってしまったのですが、意外と普通の女の子っぽい 一面もあり、ゲラゲラと笑っている姿を見て、ちょっと緊張がとけて安心しました」

吉川「最初は本当にクールな印象だったので、ちょっと話しかけづらいのかなと思いながら近くに行きましたが、全然目が合わなくて(苦笑)。私もけっこう人見知りですが、ラウールさんは私よりも遥かに上をいく方だったので、私から攻めなきゃいけないと思いました。口癖で『そうっすね~』とよく言うんですが、その話し方が私たちのなかではツボで、かわいいなと思いながら見ていました」

ラウール「ありがたかったですし、本当に申し訳なかったです(笑)。監督も含めてみんなが人見知りだったので、そのまま撮影が始まるのは嫌だとなり、トランプでババ抜き大富豪をやりましたね。そこから徐々に打ち解けていきました」

■「男気のある役なので、僕とはかけ離れています」(ラウール)

――役柄との共通点は何%でしたか?

ラウール「5%かな。あまり共通点が見つからないので、ゼロと言いたいんですが…。似てないところがほとんどだと思います。僕はあまり話したことのない女性に対して積極的にいかないし、急に『守りたい』という感情にもならない。界の男気のある性格が、僕とはかけ離れています」

吉川「私も5~10%くらいかな。私は羽花ちゃんみたいにあまり泣かくこともないし、こんなに可愛い女の子じゃないですし、どちらかというと少年っぽいと言われるので。わずかな共通点でいうと、私も友達作りがあまり得意ではなくて、狭く深く関係を築いていくタイプなところですね。本当はもっといろんな友達を作りたいのですが、そのためにどういう話をしたらいいのかもわからなくて。気軽にごはんに誘ったり、すぐに連絡ができるような友達を作るのって、すごく難しいと思います」

――では、お2人とも真逆の役を演じられたということで、やってみておもしろかった点や難しかった点を教えてください。

ラウール「どちらもありました。基本的には難しいのですが、普段なら絶対しないことができるという楽しさもあり、『多分、いましかできないんだろうな』という経験がたくさんできましたね。例えば、女の子が自分のためにお弁当を作って持ってきてくれることなんて絶対にないので、自分の人生においてかなり大事な瞬間だなと思いました(笑)」

吉川「私は試行錯誤しながら『羽花ちゃんだったらどうするのかな』と考えながら演じるのがすごく楽しかったです。今回の現場は、友達や共演経験のある方が多かったのですが、本当の私を知っている方々の前で、自分と真逆のかわいい女の子を演じることがちょっと恥ずかしかったです(笑)」

■「好きな“推し”の話になると、とことんしゃべっちゃうオタク気質です」(吉川)

――劇中で、界が羽花のことをしょっちゅう気にかける「石森係」だと宣言するシーンが胸キュンでした。お2人は仲の良いグループでいる時、「○○係」何担当ですか?

ラウール「なんでしょう?休憩中のおしゃべり係とか?僕はどんな話題を振られても、なんとなく乗っかって話せるので。例えばみんなでゲームの話をしていたら、やったことがなくても、『ああ、あれね』みたいな感じの“やったことないトーク”で参加できます(笑)」

――それはすばらしい才能かと。実際、現場でもそんな様子でしたか?

吉川「どうなんでしょう(笑)。確かに男性陣といる時は、ぐいぐい来られても乗っかって話しているなとは思いました」

――吉川さんは何係でしたか?

吉川「私はなんだろう?アニメ好きで、好きな“推し”の話になるととことんしゃべっちゃうというオタク気質だから、オタク担当でしょうか?」

――最近の推しについても教えてください。

吉川「ずっと推しなのは、『妖狐×僕SS』(いぬぼくシークレットサービス)の髏々宮カルタちゃんです。ぱくぱくといっぱい食べるシーンがあるんですが、そのシーンがすごくかわいくて癒されます…」

ラウール「ああ、カルタちゃんですよね。いっぱい食べるところとか、僕もけっこう好きですね。じゃあ、僕もカルタちゃん推しで」

――なるほど!そういう感じで会話に入れるんですね(笑)。

■「あのころの恥ずかしかった経験がなければ、いまの自分はないと思います」(ラウール)

――お2人が苦戦したシーンについて教えてください。

ラウール「僕は球技が苦手ですが、界がバスケットボールでかっこよくゴールをキメなきゃいけないシーンがあって。やってみたら、球は入るけどかっこよくないとか、逆にフォームはいいけど入らないとかで、どっちも両立させるのが難しかったです。共演の坂東(龍汰)くんにバスケを教えてもらい、何回も撮りましたね。さらに、そのあとで一番気まずいのが、女の子たちから『キャ~~!』と言われる流れです。ボールがゴールに入ってないのにみんなが毎回『キャ~~!』と言わなきゃいけなくて、『ごめんなさい』と思いながら、本当に心が痛かったです(笑)」

吉川「私は自転車を漕ぐシーンが多かったのですが、坂があまりにもきつくて、太ももがパンパンになってしまいました。監督に『もしも途中で止まったらどうなるんですか?』と興味本位で聞いたら『撮り直しだよ』と言われまして。『これは失敗できないぞ!』と、すごい顔になりながら漕ぎましたが、そのシーンはしっかり使われていました(笑)」

――界が「過去のお前がいるから、いまのお前がいる」という台詞がとても心に刺さりましたが、お2人はこの台詞をどのように受け止めましたか?

ラウール「僕も全編のなかでその台詞が一番好きだし、僕自身も同じようなことを考えたことがあります。ジャニーズに入った当初は、ピンク色ノースリーブのシャツを着るとか、いま思うと恥ずかしく感じるようなこともやっていて。特に思春期のころは、恥ずかしいからやりたくないけど、やらないとクビになっちゃうんだろうなと思いながらやっていました(笑)。でも、そこをふてくされずにやってきたからこそ、今回のようなお仕事につながったので、本当に続けてきて良かったと思います。あのころの経験がなければ、いまの自分はないと思うので、そういう瞬間もいまでは大事な思い出になっています」

吉川「私は一度芸能界を離れていたことがありまして。その間にしたいことをできたのが、一番大きかったなと思います。自分で決めて、友達と旅行に行けたこともうれしかったし、ずっとやってみたかったバイトもできました。いま思えばとても良い期間だったなと思います。そしてまたこの世界に戻ってこられて、しかもこんなにすてきな作品にも出会えたことも含めて、良かったです」

恋や友情など、キラキラした青春の輝きを存分に体現してくれた2人。ラウールいわく「エンドロールでも“追いキラキラ”があり、最後の最後までキラキラした気持ちになれます」とのこと。本編が終わったあとも席を立たずにしっかりと見届けて。

取材・文/山崎伸子

『ハニーレモンソーダ』で共演したSnow Manのラウールと吉川愛/[c]2021「ハニーレモンソーダ」製作委員会 [c]村田真優/集英社