FWマーカス・ラッシュフォード、MFジェイドン・サンチョ、MFブカヨ・サカイングランド代表3選手にまつわる壁画に人種差別的な落書きがされたようだ。イギリスメディア『スカイスポーツ』が18日に報じた。

 ラッシュフォードサンチョ、サカの3選手は11日に行われたEURO2020決勝のイタリア戦でPK戦のキッカーを務めたが、無念の失敗に終わっていた。EURO準優勝の大躍進イングランド中に期待と希望を与えたチームの一員にもかかわらず、3選手は試合後にオンライン上で人種差別的な誹謗中傷の被害に遭っていた。

 決勝直後にはマンチェスターにあるラッシュフォードの壁画が一部破壊されていたが、今度はイングランド北部のダーリントンにある壁画が16日から17日になる夜中に人種差別的な言葉で汚された。壁には「黒いスリーライオンズ(3匹のライオン)とは一緒に戦えない」などとの落書きがされ、地元警察も調査を開始している。壁画は地元市民が17日のうちにペンキを上塗りして修復したという。

 ダーリントンの壁画は、決勝後に人種差別を受けた3選手へのサポートを示すために、世界初の黒人プロサッカー選手として知られるアーサー・ウォートン氏の壁画のとなりに作られた。白い壁にイングランド代表のスリーライオンズのロゴと赤い数字で3選手の背番号(17番、25番、11番)が描かれている。

 落書きがされる前の16日には反人種差別団体『Stand Up to Racism』が壁画の前でデモを行い、ひざをついて人種差別に抗議していたようだ。翌日に落書きを受け、同団体はTwitterで「臆病な人種差別者が夜中に憎しみを広めようとした。私たちは人種差別を非難し、アーサー・ウォートン財団と連帯して戦います。私たちは多数派であり、臆病な人種差別者は歓迎しない」とつづった。

 約1週間前の決勝後にはマンチェスターにあるラッシュフォードを称える壁画が落書きによって一部破壊されていた。これに地元市民たちは愛ある行動で対抗。「ヒーロー」や「ロールモデル」などと記されたハートマークの張り紙や、応援のメッセージを壁画に多数貼付け、落書きされた部分を覆い隠した。修復完了後にも同選手へのサポートは止まず、続々と支援と連帯のメッセージが集まり、壁画は数百枚にも及ぶ張り紙などで覆い尽くされた。

ラッシュフォード(左端)、サンチョ(中央)、サカ(右端)[写真]=Getty Images