バルセロナが中国からの反発を受けてスウェーデンの衣料品メーカー『H&M』社とのスポンサー契約に関する交渉を打ち切ったようだ。スペイン『ara』が報じている。

『ara』が伝えるところによれば、バルセロナH&Mはトップチームのカジュアルウェアのメインスポンサーの契約締結に向けて数カ月前から交渉を行っていたという。その契約に関しては年間300万ユーロ(約3億8000万円)程度になると見られていた。

しかし、クラブ関係者筋からの情報によると、クラブの通信部門と香港にある事務所から中国政府との関係悪化が伝えられるH&Mとの契約は、クラブにとって大きなリスクを孕むとの通知があり、バルセロナは両者を天秤にかけた結果、中国市場を重視してH&Mとの交渉を打ち切ったという。

中国政府とH&Mに関しては、昨年9月に新疆ウイグル自治区において2018年頃から少なくとも57万人のウイグル族の人々が中国の強制的な労働訓練を通じて、綿花の収穫に送り込まれたという衝撃的なニュースを巡って対立。

同社は新疆ウイグル自治区に工場を持つ中国企業との取引を停止すると発表。これに対して、中国国営の『新華社通信』が「H&Mは虚偽の事実を信じ、中国人の利益を侵害している。その一方で中国でビジネスを展開しているのはおかしな話だ」と、痛烈な批判を行っていた。

その後、H&Mは「我々は全世界で自社の定めたルールのもとで透明性のあるビジネスを展開している。H&Mはいかなる政治的な立場も代表していない。中国の消費者の立場を尊重し、中国で長期的にビジネスを発展させていきたいと考えている」との声明を出したが、中国国内で大規模な不買運動が行われるなど、関係修復は不可能な状況となっている。

そういった両者の状況を受け、バルセロナはより多くの利益が見込める中国市場を重視する形でH&Mとの交渉を打ち切る決断を下した。

また、今回の決断の背景にはH&Mの約2倍のスポンサー料を得ている中国の電気機器メーカー『Oppo』との契約更新を控えていること。現在契約中の中国の保険会社『Taiping Life Insurance』からの反発を考慮したという部分があったとのことだ。

なお、バルセロナは2018年からアメリカの衣料品メーカー『Thom Browne』とカジュアルウェアに関する3年間のスポンサー契約を結んでいたが、その契約が今夏に切れることになっていた。そこでH&M社と新たなスポンサーを結ぶ予定となっていたが、その交渉は振り出しに戻ることになった。

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