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「ほんの些細な症状を放っておくと、あとで重大な病気のサインだったとわかることがあります。自分の体の状態をよく見ておき、変化に気をつけることが大切です」

こう話すのは『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)にレギュラー出演中の総合内科専門医・秋津壽男先生。都内で秋津医院を開業している秋津先生は、先日もこんなケースに遭遇した。

「20代前半の女性が便秘の相談に来たんです。問診してみると、この半年ほどで、ぽっこりとおなかが出てきて、ダイエットをしているというんです。ウエストを見せてもらうと、たしかにぽっこり膨れています。触診してみたら、なにか球状のものに触れたので、超音波で診断してみると、卵巣が小さなスイカくらいに膨れ上がっていて、卵巣のう腫が疑われました」

その女性は、婦人科で無事、手術をして事なきを得たが……。

ウエストが膨らんできたことで、もう少し早く受診していれば、卵巣のう腫の摘出手術の痕がもう少し小さくて済んだはずなんです」

こうした症例を著書『放っておくとこわい症状大全』にまとめている秋津先生から、とくに気づきにくい重大な病気のサインを教わった。

【Q1】直径1センチくらいの細い便が毎日出る

【A1】大腸がん

一般的に便の太さは直径2〜3センチ。 これがとくに大腸の出口付近に腫瘍ができると、大腸が狭くなり、直径1センチ程度の軟らかな便しか通らなくなってきます。もし便が細くなり、この状態が続くようでしたら、病院で、大腸検査を受けることをおすすめします。

【Q2】生理が終わったのに貧血症状がある

【A2】胃がん、大腸がん

成人女性の貧血の原因8割が過多月経による出血。閉経後に、まぶたの裏が白い、歯茎が白いなど、貧血の症状が見られたら、胃や腸からの出血が考えられ、胃がん、大腸がんの可能性があります。併せて腹痛、体重減少などの症状があれば、病院で検査を受けてください。

【Q3】酸っぱいものにむせるようになった

【A3】咽頭・食道がん

刺激物を食べるとむせるのは、食道の上部の、胃に行く食べ物と肺に行く空気を分ける部位がうまく働かなくなるせい。初期の咽頭・食道がんでは、刺激物以外にふつうはむせない酸っぱいものにむせることがあり、急に酸っぱいものにむせるようになったら要注意。

【Q4】頻尿だが毎回少ししか出ない

【A4】膀胱がん

おしっこがしたくなってトイレに行くがあまり量が出ない。頻尿は加齢や膀胱炎などでも起きますが、毎回、出る量が少ない(1回10秒以内が目安)場合は、膀胱内に腫瘍ができて、おしっこをためられる量が少なくなっている可能性があり、膀胱がんの疑いがあります。

【Q5】乳首がかゆい

【A5】乳がん

下着でこすれたり、不潔にしていることで、乳首にただれやかゆみが起きることはあります。そうした原因がないのに、ただれたりかゆくなったりするのは、乳首とつながっている乳管にがんができたため分泌物が出て、ただれたり、かゆくなったりしている可能性があります。

もしこのような症状を自覚したら、自己判断したり、怖がったりせずに、なるべく早く専門医に相談することをおすすめしたい。