猫は気まぐれなどとよく言われ、単独でふらりと出かけて夕飯には戻ってくる―そんな個体も多いだろう。イギリスに住む10歳半のオス猫は今から数年前、飼い主の知らないところである“仕事”を始め、注目を集めている。『Metro』『Wirral Globe』などが伝えた。

英北西部マージーサイドイーストハムに住むクリスティーナジョーンズさん(Christina Jones)とスチュアート・ヘーグさん(Stuart Hague)は今から10年半前、農家で生まれたばかりの猫の兄弟“マックス(Max)”と“パディ(Paddy)”を飼い始めた。

しかしながらその1年後、マックスが突然姿を消し、2人は葬儀場の近くにある家に移り住むと新たに3匹の猫を自宅に迎え入れた。

そして新しい土地にも慣れた4年前、いつもふらりと家を出て午後6時頃に帰宅するパディが3日経っても戻らなかった。心配した2人は近所をまわり、ポスターを貼ってパディを探したが見つからない。するといなくなって5日目のこと、2人は自宅から徒歩5分の葬儀場「コープ・フューネラルケア(Co-op Funeralcare)」の「メイフィールズ・リメンバランス・パーク(Mayfields Remembrance Park)」で働いているという男性から連絡を受けた。

「その猫ならうちの葬儀場に毎日のようにやってくるよ。もう数年になるね。私たちがミーティングする時にも部屋にいるし、葬儀場を歩き回って訪れる人々を癒しているんだ。」

「今日、仕事に行く途中でその猫を見かけたから名前を呼ぶと、私のところに走ってきたよ。猫は今、葬儀場に来ているよ。」

なんとパディは飼い主が知らないところで“ダブルライフ”を送っており、朝食後に家を出て葬儀場を訪れると悲しみに暮れる人々を慰める存在になっていたのだ。スタッフによると、パディは遺族からの許可が下りれば葬儀に出席して仕事をする。時には斎場の一番前の席に座ったり、棺のそばを歩き、「そばにいて欲しい」と望む人がいれば静かに寄り添う。仕事がない時はオフィスでまったりとくつろぎ、餌をもらっているという。

クリスティーナさんは「正直なところ、パディが葬儀場に通っていることを知った時、驚きはなかったの」と語ると、このように続けた。

「それからのことよ。パディが葬儀場で何をしていたのかを度々聞くようになって、目から鱗が落ちたような思いだったわ。本当にたくさんの人がパディのことを知っていて、葬儀場ではちょっとした人気者だったの。パディは人懐っこいし気持ちが優しくてね。癒しの存在であることはみんなが周知していたのよ。」

またスタッフの1人は「パディは葬儀場で人々に慰め、情愛を与え、時には困難な時を過ごす家族を楽しませてくれる。葬儀を一層特別なものにしてくれるのですよ。それにスタッフの間でも人気者なのよ」と明かしており、クリスティーナさんはそんなパディを「とても誇りに思うわ」と明かした。

ただ働き者のパディは時に残業で帰宅が遅くなることもあるそうで、そんな時はクリスティーナさんがお迎えに行くそうだ。

ちなみにパディは、英最大の慈善団体「キャッツ・プロテクション(Cats Protection)」が主催する「ナショナル・キャット・アワード(National Cat Award)」に参加しており、「最も思いやりのある猫(Most Caring Cat)」部門のファイナリスト3匹の中に名を連ねている。この部門の勝者は8月5日に発表されることになっており、今年度最も優れた猫に贈られるグランプリは12日に決定するという。

画像は『Metro 2021年7月20日付「Meet Paddy – the cat who leads a secret life comforting people who are grieving」(Picture: Fabio De Paola/PA)(Picture: PA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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