甘いものが大好きなオーナーが、いつでも美味しいスイーツを食べられるようにと、24時間買える「ショートケーキ缶」を北海道自動販売機で販売して話題になっています。開発したのは、株式会社GAKU。同社は北海道で有名なリゾット専門「Risotteria.GAKU」や、夜パフェ専門店を出店しています。

 そして、2021年6月11日、東京渋谷に「Risotteria®️GAKU渋谷」店がオープン。それと同時に、ショートケーキ缶やフルーツピューレを使った水玉の「ふわ缶」を、テイクアウトイートインで先行販売したところ、SNSバズり、売り切れ続出したのだとか。

 今回は株式会社GAKU・取締役専務の小笠原典剛氏に、ショートケーキ缶について話を聞いてきました。

リゾットのお店がなぜ「パフェ」を?

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Risotteria®️GAKU渋谷の外観
 もともと北海道2006年に第1号店となる「Risotteria.GAKU時計台」を、オーナーの橋本学氏が個人店として出店しました。そこから徐々に北海道で店舗数を拡大していき、2010年には株式会社GAKUを設立。

 2015年には、飲み会の後の「シメ」として遅い時間にパフェが食べられる「夜パフェParfaiteria PaL」もオープンしています。

「現在、夜パフェ北海道と東京に3店舗、大阪とフランチャイズで福岡にあります。ただ、会社としてはリゾットのお店をずっと東京に出したいと思っていたのですが、結局、夜パフェに力を入れてしまい、リゾットのお店を渋谷に出すのが遅くなってしまいました。ようやく6月11日に渋谷でリゾットのお店を出したのに、ショートケーキ缶のほうが目立ってしまいましたね(笑)」(小笠原氏)

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「Risotteria®️GAKU渋谷」の外装
 ようやくオープンしたという「Risotteria®️GAKU渋谷」は、定休日にもショートケーキ缶を販売していました。筆者がお店に到着したときは、すでに多くの人がお店の外の非常階段まで列をなしており、SNSでバズっている噂は本当だったと確信

ショートケーキ缶ができた経緯

 爆発的に人気が出たショートケーキ缶ですが、一体なぜこのようなアイデアが思い付いたのでしょうか。

パティスリーを新しく作るにあたり、テイクアウトや人と接しない営業に需要があったので、コロナ禍のニーズにあった商品開発をしようと思ったのがきっかけでした。コンセプトとしては、『24時パティスリーのケーキが買える』というものです」

 ショートケーキ缶は「鞄の中に入れても型崩れしない」と語る、小笠原氏。

 作るのにあたり、苦労した点はあるかと聞いたところ「手に取ってもらいやすいように、見た目の工夫が大変でした。ショートケーキの断面が見えるように、透明なプラスチックにしています。また、ショートケーキのふわふわ感を大切にしたかったので、ぎゅうぎゅうには入れすぎず、型崩れしないようにするのも大変でした」と回答。

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一見するとガラスかと思いきやプラスチック
ケーキ缶
ふわ缶も人気。現在ブルーベリーと柑橘、苺があります(季節により変動あり)
 現在、ショートケーキ缶は意匠登録出願中なのだとか。

当初は1日に2個しか売れなかった

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「Risotteria®️GAKU渋谷」の看板
 今でこそ口コミで爆発的に広がったショートケーキ缶ですが、発売してから宣伝はしていたものの、なかなか伸び悩んでいたと小笠原氏は語ります。

オープンしてからショートケーキ缶はなかなか売れませんでした。当然、その日に仕込んだ分、売れないと破棄になってしまうので、スタッフで持ち帰るなどの日が続きました」

 しかし、あるWebサイトが取り上げたことから、徐々に知名度が上がってきたそうです。

「売れない日々が続いたとき、オーナーから『Twitterでバズってきたので準備して』と連絡がありました。ショートケーキ缶がここまで人気が出るとは思わなかったのですが、商品に自信があったので、売れなくてもゆくゆくは商品をネット販売してニーズを高めようと考えていました」

SNSでの拡散のスピードがすごかった

 Twitterバズりだした頃、報道番組からも取材されるようになったようです。

「今の時代はSNSの普及がすごいので、拡散のスピードが凄まじいです。今はショートケーキ缶の供給が追いついていない状態ですね。また、最近YouTuberヒカキンさんが動画にアップしてくれたのは嬉しかったです」

 また、ショートケーキ缶はお店でも食べられますが、テイクアウトで売り切れてしまうようで「10時から開店ですが、12時にはもう完売してしまうので、お店ではなかなか食べられないかもしれません。お店は3階にあるのですが、一時期は1階の外まで並んでいることもありました」と言います。

渋谷店に自動販売機を置かない理由

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「Risotteria®️GAKU渋谷」店内の様子
 お店の外まで行列ができている「Risotteria®️GAKU渋谷」ですが、多くの人が自動販売機ショートケーキ缶が買えると思っていたようです。渋谷に自動販売機を設置する予定があるのか聞いたところ、このように話してくれました。

「今のところ自動販売機を設置する予定はありません。自動販売機だと凄すぎてあっという間に完売してしまうからです(笑)。あと、作るのが間に合わないんです。今のところは店頭販売でよいかなと考えています。

 平日は250個ほどで、土曜日になると400個くらいは売れています。あまりにもすごい反響なので、リゾットのお店を辞めて、ふわ缶専門店にしようかなと思うくらいです(笑)。でもリゾットも本当に美味しいんです!」

今後のGAKUは「家賃との兼ね合い」

 次は東京のどこかで、同じようなパティスリーを出すための物件を探しているとのことです。

「目星はまだないのですが、新宿・池袋で考えています。しかし、ケーキ屋だと路面店になるので、家賃との兼ね合いで決めかねています。もしかすると郊外に出す可能性もあります」

 また、ショートケーキ缶やふわ缶以外に、新しくメニューを開発しているそうです。

「実は最近北海道自動販売機で、プリン缶の新作を出しました。アルミの容器に入れたプリン缶です

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2021年7月16日北海道オープンした「pâtisserie OKASHI GAKU」の自動販売機で販売されているプリン
 プリン缶が北海道で成功したら東京でも販売されるかもしれません。今後は季節限定のフルーツを使ったふわ缶も販売予定だとか。

 また、ウイスキーなどのお酒類も販売している「Risotteria.GAKU」。最後に、コロナ緊急事態宣言で影響があったかと聞いたところ、やはりコロナ前と比べて3分の1ほどお客さんが来なくなってしまい、札幌では休業しているお店もあるとか。今はショートケーキ缶や自動販売機が救いの神なのでしょうか。

ショートケーキ缶を実食してみたら?

 帰り際、小笠原氏にショートケーキ缶をいただきました。「こちらで召し上がっていきますか?」とのお誘いにも関わらず、1人で楽しみたいのでいそいそと家にお持ち帰り。早速バズっているショートケーキ缶を食べてみました。

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自宅の壁とショートケーキ
 鞄の中に入れており、天地が逆さまになっていたのにも関わらず無傷のショートケーキ缶。缶詰のようなプルタブを引っ張って開ける瞬間、「失敗したらどうしよう」という緊張が一瞬走ります。でも無事に開けられました。

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 上から見ると、クリームが上までたっぷり入っていました。真ん中には苺がのぞいています。

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 付属のスプーンで大きな苺を確保。北海道産の苺を使っているだけあって、みずみずしくて美味しいです

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 真ん中あたりでスポンジと遭遇。クリームスポンジもそれほど甘くないので、食後でもぺろりと平らげられます。途中にアーモンドロランタンがあり、カリカリした食感で楽しく食べられました

 側面についている苺はかなり薄くスライスされています。おそらく詰める作業に苺が薄くないと、うまくデザインができないのかな? と感じました。スポンジケーキ缶は1100円(税込)で購入できます。また、ふわ缶のみメールでの取り寄せも可能のようです。コロナ下でも大成功を収めている会社の実力を目の当たりにしました。

<取材・文・撮影/大川藍

【大川 藍】

ライタースイスで滞在中にフリーランスとして目覚める。おつまみ系や占い、インテリア系も執筆中。興味のあるものならなんでも記事にしてしまう遅咲き主婦

SNSでバズり中のショートケーキ缶