中国のポータルサイト・新浪に22日、重慶市の地下鉄女性専用車両を設置しないと発表したことについて「それでこそ、女性の権利が守られている」との見方を示す記事が掲載された。

 記事は、重慶地下鉄が今月14日、「ラッシュ時に女性専用車を設置する予定はあるか」との市民からの質問に対して「当面は設置する予定はない」との回答を発表したと紹介。その理由について「女性専用車の設置は、ルールを守る男性に対する差別、不信につながる」、「女性専用車でない車両を女性が使いにくくなる」、「公共資源の浪費、交通の利便性低下につながる」という3点が挙げられたと伝えた。

 そして重慶地下鉄の見解に対して「正しいと思う」と賛同するとともに、上記の3つの理由に加えて「女性専用車の設置は、実は女性を低く見ていること、女性の権利侵害の表れなのである」との見解を示している。

 その上で、日本を含めて女性専用車が設置されている国の多くは男尊女卑の伝統的な思想が根強いという共通点があると指摘。世界に先駆けて女性専用車を設置した日本について「男性が女性と同じ車両に乗るのは恥ずかしいことという旧来の認識、そして痴漢の被害が頻発する中で女性を守るため」という2つの理由があるとの分析した。

 一方で中国では早い時期から男女平等の思想が普及しており、男女が同じ車両に乗ることは当然と考えられているとしたほか、日本で電車の中で痴漢などの犯罪が頻発するのは社会における女性の権利保護が不十分ではなく、性犯罪を断じて許さない社会環境が十分に整っていないからだと主張。中国では痴漢犯罪率が低い上、犯罪に対する取り締まりも非常に厳しいため、わざわざ女性専用車を設ける必要がないのだとの持論を展開している。

 記事は、女性専用車の設置について「表面的には女性を保護しているように見えるが、実際のところは『女性は非常に面倒で、特別にケアしなければならない』というメッセージを社会に向けて発信することになり、女性を貶めることに繋がるのだ。だから、重慶地下鉄が女性専用車を設置しないということは、社会において女性の権利がしっかり守られていることを意味するのである」と結論付けた。
 
 女性専用車設置の是非を巡っては、中国国内でも考え方が分かれているようだ。実際に痴漢の被害が発生している以上は女性専用車の設置を検討すべきだろうが、「女性の権利が十分に保護されていない社会だからこそ痴漢事件が頻発し、女性専用車を設置せざるを得ないのだ」という考え方にも一理あるのではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)

重慶地下鉄が日本に習わず「女性専用車両」不設置、むしろ女性の権利尊重の表れだ=中国メディア