今この瞬間、私たちが暮らす地球には、時速160万キロもの猛スピードで「太陽風」が吹き付けている。
太陽風は、太陽から吹き出す極めて高温で電離した粒子(プラズマ)だ。そのような危険なプラズマにさらされても地上の生命が生きていけるのは、地球の地磁気がバリアとなって、太陽風を防いでくれているからだ。
だが死にゆく太陽は太陽風をいっそう激しく放出し、地球のバリアはこれに耐えきれず破られてしまう。このとき今生きている地球の生命は絶滅する。
しかしその後、新しい生命が誕生するかもしれない。これは『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(6月24日付)で語られている地球の、そして地上の生命の運命だ。
ギラギラと燃え盛る太陽にも寿命はある。今から数十億年後、核融合を起こすための燃料である水素を使い果たしてしまうからだ。
燃料が切れた太陽の核は自分の重力で縮んでしまう。その一方、外側の部分は膨らみ始め、水星や金星、そしてことによれば地球をも飲み込み、太陽は「赤色巨星」になる。
だがさらに10億年が経過すると、今度は崩壊して小さな「白色矮星」になる。太陽はこの状態で数十億年くすぶり続け、ついには完全に炎が消えてしまう最後の瞬間を待つ。
太陽の死後、太陽系はどうなる?
仮に地球が太陽に飲み込まれなかったとしても、その後の太陽系の姿は今とはまるで違うものになっているだろう。太陽の核が収縮することで、その周囲をめぐる惑星をつなぎとめている重力の握力が弱まる。すると膨らむ太陽に飲み込まれなかった惑星は、今の2倍ほど太陽から遠ざかる。
しかしその一方で、赤色巨星になった太陽の風は、今よりも強烈になっている。ウォーリック大学(イギリス)とダブリン大学(アイルランド)のグループが調べたのは、それが一体どのくらい強烈なのか? ということだ。
ディミトリ・ヴェラス氏とアリーン・A・ヴィドット氏は、太陽質量の1~7倍の範囲にある11種類の恒星に基づき、太陽風をモデル化。その結果、太陽が膨張する際に、太陽風の速度と密度が大幅に変動することを突き止めた。
それを浴びることになる太陽系の惑星の地磁気は、最終的にはどれも潰されてしまう。激化した太陽風に耐えて地磁気を維持するためには、地球なら今よりも1000倍、木星ですら100倍も強いものでなければならないのだという。
地球上の生命が絶滅した後、新たな生命が誕生する可能性
地磁気を失った地球の生命はことごとく死に絶える。これは悲しいことなれど、このことから宇宙の生命について面白いことが言える。白色矮星をまわる惑星の中には、生命が存在するものもあるかもしれないと推測されている。その理由の1つは、燃料を使い切った星からは、太陽風という危険なプラズマが出ないからだ。
しかし白色矮星になる前には、暴力的な赤色巨星への変身プロセスがある。仮にそこにある惑星に生命が宿っていたとしても、このプロセスによってまず間違いなく絶滅してしまう。
ということは、白色矮星を公転する惑星に生命がいたとすれば、それは一度古い生命が絶滅し、その後に誕生した新しい生命であるわけだ。
それがどんな姿をしているのかはわからない。だが、もし絶滅が運命付けられた私たちの後にも、まだまだ生命という現象が続くのだとしたら、希望のように感じられないだろうか?
References:No life will survive the death of the sun — but new life could be born after, new research suggests | Live Science / written by hiroching / edited by parumo
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