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自然界の共存関係が壊れたか?野生のチンパンジーが群れでゴリラを襲い子供を殺害
 自然界は弱肉強食の世界ではあるが、ある種のルールに従ってうまく共存している。例えば同じ類人猿であるゴリラチンパンジーは、どちらも縄張り意識が強く、ときに争うこともあるが、一線を越えるようなことはなかった。

 ところが、野生のチンパンジーゴリラを襲って殺す行動が観察された。

 『Scientific Reports』に掲載された研究によると、中央アフリカガボン共和国のロアンゴ国立公園内で、チンパンジーの群れがゴリラの群れを襲撃し、子供を殺害するという痛ましい事件が2件も報告されている。

 類人猿同士の争いで殺害にまで至ったケースが観察されたのは、事実上今回初めてのことであるそうだ。

【ゴリラを襲撃し、子供を殺したチンパンジーの群れ】



New Paper! Chimpanzee-Gorilla Lethal Coalitionary Attack

 ドイツマックスプランク進化人類学研究所の研究チームがロアンゴ国立公園で、チンパンジー約45頭を観察していた時にそれは起きた。これまで、チンパンジーゴリラは平和で穏やかな関係を保っていたのを見ていた彼らは、あまりの豹変ぶりに驚いたという。

 最初の事件が起きたのは2019年2月6日。あるチンパンジーが叫び声をあげた。観察を行っていたララ・サザン氏は、そのチンパンジーが別の群れのチンパンジーと遭遇したのだろうと思っていた。だが、その直後、ゴリラが胸を叩く音が聞こえてそうではないことに気が付いたという。

 ゴリラのオスはチンパンジーのオスよりも3、4倍体重が重い。しかしこの時、チンパンジーが27頭いたのに対し、ゴリラはオス2頭、メス2頭、子供1頭だけだった。

 チンパンジーは数にものを言わせて襲撃。戦いから52分、多勢に無勢のゴリラの大人は逃げ、母親から引き離された子供が命を落とした。
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ロアンゴ国立公園でパトロール中のチンパンジー / image credit:LCP, Lara M. Southern

 二度目の事件は2019年12月11日に発生。またしてもチンパンジーの叫び声が上がった後、27頭のチンパンジーの群れがゴリラ7頭を一斉に襲撃したのだ。

 戦いは79分ほど続き、大人のゴリラのオスとメスは自分たちと子どもを守ろうとしたが、3頭の子供のゴリラが母親から引き離されて殺されてしまった。

 しかもゴリラの子供はスのチンパンジーによってほとんど食われてしまったという。

チンパンジーの叫び声は襲撃の合図か?

 両事件に共通しているのは、ゴリラを発見したチンパンジーが叫び声をあげると、群れの仲間がそれに呼応して叫び出したという点だ。

 更に計画性がある点だ。特定のゴリラを狙うチンパンジーと、子供を母親から引き離すチンパンジーがいて、自分たちの役割が決まっているのである。
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photo by Pixabay

チンパンジーに潜む獰猛性

 ロアンゴ国立公園では、2014年から18年にかけてチンパンジーゴリラが一緒にいるところが9度観察されている。これは他の場所でもしばしば観察されていることで、両者は平和的な関係を保っているようにみえたという。

 たとえば、木に実っている果物を一緒に食べたり、コンゴでは遊んでいるらしき姿すら目撃されていると、オスナブリュック大学(ドイツ)のシモーネ・ピカ氏はPHYS.ORGで説明している。

 それゆえに2019年に2度もゴリラ殺害事件が起きたのは、研究者にとっては驚きの大事件だったようだ。

 とは言っても、どちらも常に平和的というわけではない。チンパンジーゴリラも縄張り意識が強く、ときには仲間同士激しく争うこともある。

 ハーバード大学の霊長類学者リチャード・ランガム氏によると、特にチンパンジーの場合、殺害することに興味を持っており、他のサル(ときに人間も)の殺害や狩りを楽しむのだという。そのため、チンパンジーゴリラを殺したことはさほど驚きではないと、第三者の立場で語っている。

 それでも、仮に犠牲者が出たとしても、これまで観察された事例はほぼ同じ種同士でのことだった。チンパンジーゴリラを殺害するのは前代未聞だという。

The Loango Chimpanzee Project in Gabon

気候変動による食糧不足が原因か?

今回、異種間のもめごとで死者まで出る事態に発展してしまった理由は定かではない。しかし研究グループの推測によれば、気候変動が関係している可能性があるという。

 気候変動の影響で食べ物が少なくなり、エサをめぐって競合するようになったことが背景にあるかもしれないというのだ。

 その結果、チンパンジーは敵対する同種、ゴリラを強力な競争相手とみなすようになったのではないか?とサザン氏は話す。

 だがいずれにせよ、今の時点ではただの推測にすぎない。確かなことは今後も観察を続けなければわからないようだ。

 チンパンジーゴリラも我々と同じヒト科であり高度な社会性と知能を持っている。環境に適応する為、これまでは異例とされていた行動が他にも出てくる可能性も否定できない。

References:Lethal coalitionary attacks of chimpanzees (Pan troglodytes troglodytes) on gorillas (Gorilla gorilla gorilla) in the wild | Scientific Reports / First lethal attacks by chimpanzees on gorillas observed | Max-Planck-Gesellschaft / written by hiroching / edited by parumo

追記:ゴリラゴジラと記述していた個所を訂正して再送します。

 
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