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食べたものを何でも甘くする不思議な果物「ミラクルフルーツ」
 西アフリカ原産の果物「ミラクルフルーツ」を知っているだろうか。

 それ自体は甘くないのに、このミラクルフルーツを食べた後で他の物を口にすると、甘く感じてしまうという不思議な果実だ。あの酸っぱいレモンすらも甘く感じてしまうというのだからまさにミラクルなのだ。 

【食べたものが甘く感じるミラクルフルーツ】

 ミラクルフルーツ(Synsepalum dulcificum)と呼ばれる西アフリカ原産の果実は、それ自体が甘いわけではない。

 だが、ミラクルフルーツを食べた後に酸っぱい食べ物や飲み物を口にすると、それらを甘く感じさせるユニークな特徴を持っている。
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image credit:Wikimedia Commons

ミラクルフルーツに含まれるミラクリンにその理由が

 何世紀にもわたって、西アフリカガーナ先住民族は、サワーまたはタルトの果物、食べ物、飲み物を甘くするためにこのミラクルフルーツを使用していたそうだ。

 だが、1968年まではなぜこの果物が後に食べたものを甘くするのかという原理については知られていなかった。

 後に、ミラクルフルーツに含まれる数本の糖鎖を持つ特殊な糖タンパク質であるミラクリンがその理由であることが判明すると、ミラクリンが抽出されて錠剤となり、世界中の人がユニークな「味覚トリップ」を体験することができるようになった。

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 ミラクルフルーツを食べると、ミラクリン分子が舌の味蕾に結合し、次に食べた苦味や酸味のある食べ物などを甘く感じさせる。

 この甘さの効果は、個人差があるが、だいたいはタンパク質が消費されて最大1時間は持続するという。

 ちなみに、錠剤でも果実そのままでも、食べる時は舌にこすりつけるようにするのがおススメと言われている。


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甘味料の認識を変える可能性が示唆される

 東京大学の研究者たちは、ミラクリンタンパク質は酸っぱい食べ物だけでなく、甘味料の認識を変える可能性があることを発見したそうだ。

 例えば、ミラクリンを果物または錠剤の形で摂取した後にアスパルテーム(人工甘味料)を試すと、ミラクリンが甘い受容体を抑制するため、非常に味が鈍くなったが、酸性度が弱いと受容体が活性化して、アスパルテームは通常よりもはるかに甘い味がしたという。

 こちらの実験動画を見ると、酸っぱい物を食べた時に対する効果がわかる。

Miracle Berry Taste Test- Fact OR Fiction?

 イギリスのバラエティー番組でも、冷凍したミラクルフルーツを食べる実験を行い、苦みのあるギネスビールやレモンを口にしてみたが、果たしてその効果は…?

Miracle Fruit on the Graham Norton Show - Berry taste test

 結局のところ、酸っぱいものを甘く感じるという感覚は、舌ではなく脳にそのように伝達されることでそのように感じるそうだが、そういう意味では本当に不思議なのはミラクルフルーツではなく、人間の体の方かもしれない。

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written by Scarlet / edited by parumo

 
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