病気や事故などで髪を失った患者のために自分の髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」という言葉が認知されつつあるが、イギリスに住む82歳の女性も自分の伸ばした髪を寄付しようとした。しかしカットして寄付しようとしたところ、白髪だったことでどこの慈善団体からも断られてしまったという。『Cornwall Live』『Mirror』などが伝えている。

コーンウォールファルマスに暮らすシーラ・マーティンさん(Sheila Martin、82)は今月9日、長く伸ばした髪をヘアドネーションのためにカットした。シーラさんは3年前に当時57歳だった息子のリチャードさん(Richard)を膵臓がんで亡くしたことをきっかけに、ヘアドネーションのために髪を伸ばしていた。

そんなシーラさんはNPO「パンクレアティック・キャンサー・ユーケー(Pancreatic Cancer UK)」への寄付とヘアドネーションのために、今年の4月頃に御年82歳で初めてFacebookを活用して募金を集めることにした。また彼女はFacebookを通じて「髪の長さが十分か?」などヘアドネーションについてアドバイスを求めたりしていたようだ。

高齢でありながら不慣れなインターネットを活用して寄付を募るシーラさんのことが次第に話題となり、金額はシーラさんが想定していた200~300ポンド(約3万~4万5000円)を遥かに上回り、2472ポンド(約37万5000円)もの募金が集まった。

そして集まった募金とともに自分の髪を寄付するため、髪をカットすることとなった。シーラさんはなるべく髪を長い状態で寄付するために、ほぼ丸刈りに近いベリーショートにした。ところが残念なことに、どの慈善団体も彼女の髪が基準の長さに少し満たなかったこと、そして白髪という理由でヘアドネーションを受け付けなかったとのことだ。

傷心のシーラさんのことがSNSで拡散されると、地元メディア『Cornwall Live』などが彼女について伝えたことでさらに人々の関心を集めた。そのため多くの人から励ましの声が寄せられたシーラさんは、次のように語っている。

「思っていたよりも多くのお金が集まりました。数百ポンドくらいかなと思ってたんですが、それをはるかに超える金額が集まったんです。みんなとても親切で、私が通っている教会でも教会の関係者が協力して寄付を集めてくれたんですよ。」

そんなシーラさんはベリーショートにしたヘアスタイルにも慣れてきたようだが、彼女は「7つの帽子と赤毛のウィッグをプレゼントされた」とも明かしている。そしてシーラさんは亡くなった息子のリチャードさんについて次のように述べた。

「当初、がんは治療で改善できると言われていたのですが、手術して初めて末期のがんと判明したんです。自分の子供にそんなことが起こるなんて信じられなかったんですが、それは起こってしまいました。息子は初めに誤った診断をされたのです。」

「私たちが経験した苦しみを他の誰かに味わって欲しくないのです。そしてできれば、がんの研究のために少しでも多くの資金を提供できたら私としても幸せなことだと思ったんです。」

またシーラさんはメディアのインタビューで「息子さんが今のあなたのヘアスタイルを見てどう思うでしょうか?」という質問を受けて、「きっと『びっくりするほど似合ってるよ』って言うでしょうね」と答えている。

画像は『Sheila’s fundraiser for Pancreatic Cancer UK 2021年7月9日付Facebook「Before and after on the big day!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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